アジャイルチームのフロントエンドエンジニアとして、UXエンジニアでありたいと考えている話
こちらは「エンジニアリングに興味があるデザイナー、デザインに興味があるエンジニア Advent Calendar」9日目の記事です。
atama plusでWebエンジニアをしている鈴木です。学生時代にデザインを学び、社会人からWebエンジニアとして働いています。
この記事は、「フロントエンドエンジニア」とカテゴライズされるであろう私が、どのようにデザインと関わろうとしているかについて書いています。
「フロントエンドエンジニア」をめざして
私が社会に出てエンジニアとして働き始めた2016年は、ES2015が大幅サポートされたNode.js v6が公開された年でした。
激動だったと噂の2014~2015年を乗り越え、こちらの記事 で書かれているようにフロントエンドの開発環境が安定してきた頃です。
UIデザインとSPA開発に興味があった私は、こうしたフロントエンド技術の盛り上がりや大きく変わるWeb開発の波に魅了されました。
この頃から、フロントエンドエンジニアという言葉を転職市場などでも見かけるようになりました。フロントエンドエンジニアとして期待されるバリューが定まってきた状態です。
社会人1年目から目指したいキャリアが見つかったのは幸運でしたが、同時にどこか違うかもという悩みもありました。
市場と合わせるために、先人が開拓してくれた「フロントエンドエンジニア」像に寄せただけではないかと。
アジャイルチームのエンジニア
自分の悩みを知りたくて、ある日読んだ『アジャイルサムライ』という書籍。職能横断型チームの各メンバーは専門性を持ちつつも役割を固定せず、プロダクトを良くするために何でもするらしい。
そうしたものづくりのやり方が眩しく思えました。そこで書かれているようなチームで働きたいとも。
そんな思いを抱えていた社会人4年目、教科書に載っているようなアジャイル開発を、地で行こうとしている会社と出会います。
それが、atama+という学習アプリを作るEdTechベンチャーのatama plusでした。
職能横断型のチームが小さく実験し、プロダクトが使われる現場に出向いてユーザーを観察し、改善を繰り返す。
そうしたものづくりの姿勢を肌で感じながら、私は自身の学生時代のデザイン活動を思い出していました。
私にとってデザインとは何であったか
大学のデザイン授業で、とても記憶に残っているものがあります。
それは千葉のある地方駅に出向き、そこに暮らす人や役所の人からヒアリングしながら、地域の課題を解決するデザインを考えるというフィールドワークでした。
デザインとは何か「オシャレに見た目を整えること」と想起しがちですが、実際には地道なヒアリングや実験や観察を繰り返し、たくさんのフィードバックをもらいながら、課題を解決したり生活が楽しくなるような提案をすることだと学びました。
なんとなくフロントエンドエンジニアは、画面を構成するコードを書く機会も多いためデザイナーに近い気持ちにもなりますが、私にとっては「ユーザーの課題を解決するための試行錯誤」こそが一番大切なデザイン活動だったのでした。
そしてデザイン活動とは、デザイナーだけが行うものではなく、ものづくりを行うすべての人が心がけたい姿勢であると考えています。
新プロダクトに寄せて
私はいまatama plusで新しいプロダクトを開発しています。これからPMFを見つける段階で、atama plusの新たな柱になるかもしれません。
そこでは私を育ててくれたフロントエンドエンジニアという専門性を活かして、Next.jsやChakra UIやSWRといった技術を採用しており、パフォーマンスやアクセシビリティを低コストで考えやすくなることを狙っています。
たくさんの観察を行い試行錯誤を繰り返すことこそ、私が果たしたい役割であり、その時間を作るために技術を使っています
おわりに
フロントエンドエンジニアとして専門性を高め、今だとRustなどを駆使しつつOSSに貢献する人たちには頭が上がりません。
Reactを代表するフロントエンド技術の発展により、私の毎日の仕事は間違いなく楽しいものになりました。
一方で私がやりたかったことは、Webフロントエンドに専門性を持ちつつそれを活かしたデザイン活動だったのだと思います。モダンなツールたちにWebベストプラクティスの実現をサポートしてもらいつつ、実験や観察といった試行錯誤に自身をフォーカスすることに価値があると信じて。
ところでatama plusではデザイナーをUXデザイナーという役割で採用していますが、atama plusでは見た目の工夫よりも、学生が勉強に集中できるとか、楽しく勉強できるといった学習体験に強くフォーカスを当てています。
そうしたUXデザイナーという名称には、atama plusのものづくりの姿勢が良くあらわれていると考えています。
そして私もフロントエンドエンジニアという専門性を活かしながらも、ものづくりの姿勢として、UXエンジニアでありたいと考えています。
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