幼馴染みとの対話

家族ぐるみでの付き合いがある幼馴染み・マナちゃんがいる。小学校までは同じ学校だっったが、彼女は女子校、私は他の共学に進んだため、親同士は仲が良くても、しばらく顔を合わせる機会もなかった。
彼女はここ一年半ほどオーストラリアにワーキングホリデーに行っていて、そこで日本人の彼氏が出来たらしいと親づてに聞いていた。

しかし先週、母が「マナちゃんの彼氏、韓国人だったんだって!」とニュースを伝えてきた。オーストラリアで出会った韓国人のボーイフレンドと10ヶ月前から付き合っており、今でも遠距離恋愛を続けているという。

オーストラリアにいる最中はボーイフレンドが韓国人だということは家族に隠していたらしいが、ビザが切れて帰国してから、結局家族に話したらしい。お母さんもお父さんも大変驚き、「ダメ、ダメ、早く別れなさい」「韓国人の彼氏が日本に来ても日本語を喋られないんだから貧乏になるよ」とネガキャンのオンパレードらしい。

私の目は爛々と輝き出した。「ママ、私、マナちゃんと会わなきゃ!」

お互い「是非話をしたい」ということで早速近所のカフェで話をした。数年ぶりに顔を合わせたマナちゃんは元々色白で清楚なタイプの美人だったが、時折生来の気の強さも顔を覗かせ、より一層魅力的な女性になっていた。

マナちゃんの両親は彼氏との付き合いに猛反対で、マッチングアプリや街コンで新しい人を見つけろと進めてくるとのこと。

しかしマナちゃんは「でも、韓国人男子の優しさ、気遣い、情熱、身だしなみに一度慣れてしまったらもう日本人男子とは付き合えない」と言う。実際問題、同感である。

寒い冬の日のデートでは先に待合せ場所に着いて待っていてくれ、私が到着すると「はい、これ」と暖かい缶コーヒーを持たせてくれる。コロナで会えない時期にはプレゼントの詰まった段ボールをEMSで日本まで送ってくれる。日本男子に、こんなことを息を吸うように(ここが重要である。彼らはそれを当たり前だと思ってやっているのである)出来る輩がいるだろうか。

「でも私が韓国に住んでも、彼が日本に住んでも、お互いが大変な思いをするし…」「でも好きなんだよね…」「祖父母にはまだ韓国人と付き合ってるって言ってないんだ…それに、オッパも、親戚には日本人に付き合ってるって言ってないって…」「ちゃんと子供を産んで養えるだけの稼ぎができるのか…」と、ひたすらお互いの悩みと想いに頷き合う1時間半だった。出会った場所やシチュエーションは違えど、日韓カップルの悩みは将来の不安、差別感情、日韓関係と、多くが共通している。

それらの問題は結局自分たちがリスクをとって結婚し、対面して初めて対処できるものだから今ああだこうだ言っても仕方がないのだが、同じ悩みを共有できる仲間のなんとありがたいことか。

最後に、「大企業に勤めている日本人と結婚したらどんなに楽だろう」と二人で嘆息する。しかしお互いに「でも、そんな人生欲しくないよね…」と苦笑いするのであった。
韓国人男子の大好きな(偏見かもしれないが)アイスコーヒーを飲んでいた私たち。話終える頃には氷もすっかり溶けていた。

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