25年の人生において一番忙しかった日①

もう2022年も終わりに差し掛かろうとしている。
今年、というかタイトルの通りいままでの人生で一番忙しかった一日を書き記そうと思う。

11月某日
私は演劇の大会に向けて準備に勤しんでいた。
大会が終われば、私個人の結婚式を予定している。
このたった二行だけで、わかる人にはとんでもないスケージュールということはお分かりいただけるのではないだろうか。

そもそもなんでこんなハードスケジュールになってしまったのかを説明させてほしい。
11月の大会は県大会。つまり、地区大会で選ばれた学校のみが出場できる大会である。
私が勤務している学校の演劇部は、まあ自分で言うのも何だが、そんなに強いわけではない。
昨年なんか「台本を作った劇団の公演を見たことあるのですが、それとまんま一緒。真似をするだけではだめだ」とダメ出しされちゃったほどだ。
だから今年は完全に気を抜いていた。というかやさぐれていた。

「まぁ~?どうせまねっこしかできませんしぃ~?好きなものやらせてもらいますよぉ~?どうせ真似っこって言われて大会なんて進めないんだから、お客さんが笑えて自分たちも楽しいやつにしますよぉ~」と大人らしからぬやさぐれかたをして、生徒にも「好きなものを選んでいいよ。好きなようにやりなさい」と伝えていた。
大道具もいたって簡単。
だって、大道具作れないし。
照明もいたって簡単。
だって、照明効果とか難しくて狙えないし。
もうなんかかっこよくお客さんに笑ってもらおうぜ!いえー!

そして地区大会後、私は冷や汗をかいていた。「客受けが良くテンポがいい。男女が逆転している配役もとても現代の問題をとらえている。」などとまあ有難いことに評価していただいた(されてしまった)のである。

あー、県大会いけちゃったー。すげーな。みんなすげーよ。去年の評価どこいったんだよ。なんだよ。全然評価されたじゃん!!などと喜ぶのも束の間、他校の先生方から「どういう基準で審査したのか開示してほしい」との声があがったのだ。

それもそのはずだ。大道具がすごいところ、照明効果がすごいところ、演出効果がすごいところ、台本がすごい教育的なもの。すごい学校がたくさんある中で、大道具含めた演出も特に凝ったものがなく、お客さんのウケだけを狙った作品…つまり弱小校が笑いだけ取ってついでに賞状もとったとなれば、県大会出場常連校の方々が怒るのはたやすく想像できる。

そんなこんなで様々な議論がメールで送られてくるたびに、私は胃が切り刻まれる思いで画面を眺めていた。というか胃が切り刻まれた。最後の方には「もう勘弁してもらえませんかね…」と、仲のいい先生に泣きついていた。

そして、異例も異例。「審査を審議する会」が設けられた。
すいません。うちなんかが出場してしまってほんとすいません。
そんな胃をみじん切りされる思いで、集合場所に向かった。
私は2番、1番はもう一つの出場校だった。
な、仲間だー!!とおもい、「なんだか申し訳ない気持ちですねぇ…」なんて声をかけると「審査員が決めたことに口出すなんて!」とその先生は怒っていた。それもそうだ、と思いつつも、自分の学校に自信がない+面白さだけで出場したという自覚がある私は「ははは~」と笑って流した。情けない。

教員歴がそんなに長い私ではないが、大会のあとの会議でこんなに「おめでとうございます」を言われない学校はあっただろうか。たぶんない。
あんなに大会運営のところでは優しかった先生たちとの距離が日本とブラジルくらい遠く感じた。
せめて話しかけてくれ…腫れ物に触れるように扱わないでくれ…。

会議は重々しく開かれ、結局審査結果は変わらないまま大会は終わった。
最後の最後まで「おめでとう」とは誰からも言われず、会議は終わった!くそ!すいませんでした!

まぁ、そんなこんなで誰にも祝福されない大会進出が決まった。
誰も幸せにならない…なんでだ、なんでだよぉ…。プレッシャーもすごいし…。

決まったことは仕方ない。県大会に向けて頑張るぞぉ!と気持ちを切り替えスケジュール帳を開き予定を書き込むと、2日後に何やら太文字で予定が入っていた。

え…まって…。

2日後結婚式やんけ!!!!!!!!!


こうして私の地獄のスケジュールが始まったのである。

続く


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