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【企画記事】おばあちゃんのセーター

今日は企画に参加させていただきます。


編み物、と聞いて思い出すのはおばあちゃんだ。

私のおばあちゃんは、私が物心ついた時には杖をついていて、ゆっくり歩き、ちょっとぽっちゃりしていて、思い出す顔はいつも目が一本線になるような笑顔。
私とお兄ちゃんは、「おばあちゃんのぽたぽた焼き」というおせんべいのイラストが、おばあちゃんそっくりだねとよく言っていた。

得意な事も料理、裁縫、畑仕事と、いかにもだった。
そんなおばあちゃんは、冬になると編み物をしていた。
2本の棒を使うやつだ。
 
家の中には、色とりどりの毛糸…ではなく。
あるのはいつも同じ色だった。
赤と白。
紺色と深緑。

そしておばあちゃんはセーターを作ってくれた。
ちょっとチクチクする手編みのセーターだ。

私が赤を基調にしたもの。
お兄ちゃんが紺色を基調にしたもの。
そこに差し色として、白や深緑が入っている。

私の実家の滋賀県は、私が幼かった頃は今では考えられないくらい雪が降った。
子どもの膝くらいまで雪が積もる。
学校に行く時は、前の子の長靴の後に足を入れるように進まなければいけなかった。

そんな寒い季節を乗り切れるように、おばあちゃんは作ってくれていたのかもしれない。


次の年になると、私達は成長した。
袖や裾が短くなる。
すると、おばあちゃんはセーターをほどいて編み直した。
驚くほど、ピッタリサイズに変身して、セーターが出来上がった。

そんな事を繰り返すうちに、お兄ちゃんも私もセーターを着なくなった。
かっこ悪いだの、チクチクするだのと文句を言ってタンスに仕舞い込んだ。

おばあちゃんは何も言わなかった。


それから数年経ち、中学生になった私は初めて編み物をした。
かぎ針編みというやつだ。

編み物は難しいと思っていた。
そんな時に友達が「1本で編めるよ。」と言って、自分で編んだというお花を見せてくれた。

可愛いお花だった。
外側の色が違う色になっていて、ちょうどコースターになりそうな大きさだった。
これからお花を繋げていくのだと言う。
簡単だよ、の言葉に作ってみたいと思った。

驚いたことに、うちにもかぎ針があった。
お母さんはかぎ針編みをするのだと、その時に知った。
余っているから、と言って一本くれた。
そして、私のセーターになっていた赤色と白色の毛糸が余っているので、それもくれた。
わーい、あとは編むだけだ!

私は友達に本を借りて、編んでみた。
すると、私にはまずその本がうまく読めなかった。
日本語なのに、まるで意味がわからない。
図の指も、全然理解できない。

なんどもやって、ほどいて、諦めて、もう一度して。

編み物って、スイスイ編んでるイメージだ。
ちょっと鼻歌なんか歌いながら、手を動かしていたらどんどん編めていく…そう思ってた。

でも、違う。
難しい。
できない。
編むだけって、全然編むだけじゃない。

しばらく経って、私はちょっと歪んだお花を手にした。
不格好だけど、自分が作った。
それが嬉しくて、でも上手く出来なくて、複雑な気持ちでそっと引き出しにしまった。
友達には「うまくできなかったー」と言ったような気がする。


おばあちゃんが編んでくれていたセーターは、本当はすごいものだったんだって思った。
当たり前に着てたけど、全然わかってなかったな。



今度、実家に帰ったら、毛糸玉がまだないか探してみようと思う。



#私と編み物

今回の企画は、あやしもさんの記事で知りました。
私は、企画記事にはほとんど参加したことがなくて…。
でも、今回は参加してみたくなって、させていただきます。

自分でも忘れていた編み物の記憶を思い出せました。
素敵なきっかけをありがとうございます!!

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