『ラグタイム』について
0919マチネ 日生劇場
本当に何も事前情報のないまま観に行きました(時間と場所とざっと見た出演者がよかった)
大きく外れはないだろうと期待して観た演目は、はるかに期待を超えていました。見くびっていて申し訳ない……。
あとで見たら藤田俊太郎氏の演出でした。そりゃあ好きなはずだ。とんでもなく上質なはずだ。
何も知らぬまま見始めた身としては、それぞれがそれぞれの行動について語ってから始まるというのがとても親切で自然と入りやすい。また、その語り口が「お父さんは」「お母さんは」とどこか客観的なのが感情はいったん置いておいて世界観が理解できる。あと、最終的には誰にも起こりうることだと思える。
さらにお一人ずつでも作品背負える方々があちらこちらに……もう、なにひとつストレスなく観られた。演目が重たいしずしりと伝えてくるものなのに、すごく落ち着ける。心地よささえありました。以下つらつらと
・人種の衣装が分かりやすい。3時間通して、すべてが説教くさくなく分かりやすい。あからさまではないけども親切。
・土井ケイトさん、お名前に聞き覚えがあったと思ったらラビットホールで4月に観ていた!妹さんでした。なんなら天保十二年のシェイクスピアにもいらっしゃった(どちらも藤田演出だ)
・その土井さんがサポートする、弟東さんが井上グループに行った時のシーンすごかった。あれは唸った。東さん本当に言いたかったことをその場にいないはずの土井さんが歌い、実際に東さんが絞り出せたのは違う言葉。こんなことを、何でもないようにさらりとやっちゃう??衝撃でした。
・「あなたさまも」で丁寧さも芯の強さも上品さも表せちゃう安蘭さん。全然押し付けがましくなく、それでも理想を貫ける。
・立場や環境変わっても何も変わらない石丸さん。たいへん尊い。
・遥海さんの魂の叫びに震えた。あとでルーツにゴスペルがあると知り納得。素晴らしかったです。
・井上さんはずるい。NESMITHさんのあの説得はある意味王道なのに(説得力はあった。すごかった)、それを死を覚悟し後に繋げる決意をさせるまでのながれがとてもよかった。そして息子について教えてと言った井上さんに、具体的な様子を伝えられない川口さん切なかった。かろうじていい子!というのは言えてよかった……。
・オケピが2階建ててあんなに奥に広がりを見せていたとは。
・本当によいものを観た