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sumika Live Tour 2021『花鳥風月』

2年ぶりのsumikaのライブだった。

コロナ禍でメンタルが削れた2020年に一番縋りたかった(情けないね)バンドだったけど、彼らは有観客ライブをやらないという選択をしていた。

2020年3月以降のアリーナツアーが延期になり、振替公演である2021年1月のさいたまスーパーアリーナ5daysも中止になった。ツアー「Dairy’s Lamp」は行われなかった。

そんな中で2021年3月に生まれたアルバム「AMUSIC」があまりに美しくて、狂ったように聴き込んでいた。早くこのアルバムのツアーに行きたいとずっとずっと思っていた。

1年間有観客ライブがない中で作った、インストなし16曲1時間4分(すごいボリューム!)のアルバムの意味をずっと考えていた。あんなに人たらしで人が大好きなバンドが1年間観客の顔を見ずに制作に向き合った結果、やりたい音楽が溢れたんだろうなと思って、すごく愛おしくて、同時に寂しかった。

つまらない感想だけれど、収録曲が全部好きだった。ポップなんだけれど、前のアルバムと比較してsumikaの毒の部分が見え隠れしていて、2021年だから生まれたアルバムなんだろうと思った。

だから、このツアーはなんとしてでも絶対に行きたかった。それがやっと叶った!

ライブを待ち侘びた期間の分だけ前置きが長くなってしまったけれど、以下ライブの感想を。


終わった後一番に思ったのは、やっぱりsumikaのライブは、即席の一体感が最高に幸せだなということだ。敢えて私が好きな他のバンドの歌詞をそのまま使ったけれど、sumikaのライブは「それもいいじゃん最高じゃん皆でやろうぜ」って思わせてくれる。

特に一番覚えているのは、Shake & Shakeの2Bで演者も全員楽器を弾かずに手拍子をしていたところだ。

この部分はガラッと曲調が変わってシンセが入るところなんだけれど、まさか全員楽器を手放して客席と一体になるとは!これだけ振り切って「演者」と「観客」の壁をぶっ壊せるのは凄い。

そもそもsumikaって、ライブでサポートメンバー呼んでるし、レコーディングで管弦入れまくってるし、ゲストアーティストとコラボしていたりするし、「内」と「外」っていう概念があまりない。

参加した人皆んなが楽しく、幸せになれる場所を提供するのがsumikaのメンバー4人っていう感覚がある。人柄的にもプレイヤーでありサポーターという感じがする。

今回のゲストメンバーはベースの井嶋さん(イジー!)とギターコーラスの三浦太郎さん(from フレンズ)だったんだけれど、二人とも最高に楽しそうで、目が離せなかった。

特に、今ツアーは三浦さんがゲストで入っているのがめちゃくちゃ良い。ギター3本、コーラス3人になるので音が厚いし、コーラスだけの曲のときはキメに合わせながらニコニコと自由に踊っているのが最高だった。片岡さん曰く「バンドとしての大先輩」が後ろで少年みたいにはしゃいでいるの、凄くいい。

というかシンプルにコーラスがうまい。キーボードのおがりんも元々別バンドでボーカルやってたから、ボーカル経験者3人なんだよね。惰星のマーチとか、ジャジーな曲でのハモリがめちゃくちゃ気持ちよかった。

あと、今回のセットリストはかなりドキッとした。Late Showで完全にクライマックスだと思ったら、ライラを入れてくるとは。あの疾走感のある曲の後に毒のある曲をぶち込むことを、sumikaがしてくるとは思わなかった。普段は大団円で終わることが多いので。

Late Showの落ちサビ前アレンジは鳥肌立った。
「気持ちの名前はなんだっけ」の歌い方が切実でぶっ刺さった。その後のラスサビはもう走りまくってた。sumikaにしては珍しいくらい走ってた。

そう、昨日のsumikaはめちゃくちゃ走ってた。演奏もMCも、言い方がアレだけど、ちょっと荒かった。でもそれが凄く良くて。言うなれば、普段は取り乱さない人が余裕をなくしてその人の素の部分が見える、みたいな。

本人たちもそれには気づいていたようで「今日はメンバーみんな普段と違うところに力が入っていることが分かる」と前半のMCで言っていた。

後半のMCで、片岡さんはその理由が分かったと言っていた。「次のツアーの日程を組んでいるんだけど、次にここに来る予定がまだ立っていない。そういう人達の前でどうしたらいいかわからない」と。

未発表の次のツアーの予定とか言っていいの!?とも思ったけれど、なんて誠実なんだろうと思った。無責任に「またいつか会いましょう!」と言えば済むことだけれど、それを良しとしないのは彼らの美徳なんだろうと思った。そしてその気持ちが演奏に出るのも、また誠実な(誠実すぎる!)音楽家だなと。

この片岡さんのMCに対して、ギターの準ちゃんが「また来ればいいんだよ!」とニコニコ答えた。それを聞いて片岡さんは「そうだな!ホールかアリーナかライブハウスかどこがいいんだろう……全部行けばいいか!(うろ覚えです)」と言って大きな拍手が起こった。

こんなに優しいバンドについて行かない理由がない。sumikaのライブに行くと、自分も人と人の繋がりを信じて、誠実であろうと心から思う。


それから、sumikaは座って聴くパートの選曲が良い。座ってじんわり感じた方が良く聴ける曲をしっかり選んでいる。

ピアノとコーラスだけの、溶けた体温、蕩けた魔法は何回聴いても感動してしまう。おがりん作曲のメロディは本当に美しい。歌詞がなくても十分なのに、片岡さんの詞が乗るとさらに美しくなる。

傷を付けあって それでも近づいて
嘘偽りのない 温度を感じて

この曲のテーマが、自分に圧倒的に足りていない部分だからとてつもなく刺さってしまう。多くの人に聴かれてほしい曲だな。

そして、座ってゆっくりゾーンが明けたあとの一曲、惰星のマーチ。この場所に置いてくれたの大正解だなあ。クライマックスに向かっていく感じがした。

この曲は初めてアルバムで聴いたときから本当に好きだった。ジャズ調でかっこいいし、最後Aメロで締まるのがお洒落。ライブは同期でどんな感じになるんだろうと思ったけど、やっぱりsumikaのライブの同期はめちゃくちゃ音が良くて「生」っぽい!すごいなあ。いつか生楽器で聴いてみたいと思った。

ああ、2年ぶりのsumikaのライブは語っても語り尽くせない。祝祭はこの先何年も大事にしたい名曲だなと思ったし、おがりんメインボーカルのわすれものは声の伸びが程よい規模のホールに響いて最高だった。

2年間のライブの空白を一番感じたのがイコールだった。2年前に横アリで観たライブで新曲として発表されて、その映像がMVとしてYouTubeにアップされていた。その曲を聴き込んだ状態でライブで目撃するまでに2年かかった。会いたかったよ!

2時間15分の盛りだくさんなセットリスト、お腹いっぱいだ。ありがとうございます。

敢えて物足りなかったことを言うなれば、Lamp聴きたかったな。開催されなかったツアー名を引き継いだ曲だし。

でも一曲目がLampでなくJasmineってのは、2021年の新しいsumikaを見せてやる!って感じで振り切ってて良かった。Lampはまた次回に期待!

また全国ツアーが開催されるのが楽しみだなあ。
それまで、sumikaの音楽と言葉を大事に取っておくよ。

アンコール終わりに片岡さんはいつも肉声で「愛してます」と叫んで帰る。曲の途中で「ああ〜楽しい〜」「大好き」と心のままを言葉にする。

自分はそういうことをするのが苦手だけど、片岡さんを見ていると、たまには心のうちを溢してもいいかななんて、柄にもなく思った。

sumikaの音楽が本当に大切で大好きだから、長生きしてずっとずっとライブしててください!
愛してます!また会いましょう!


最新フルアルバム、AMUSICについての素晴らしいインタビューはこちらから


(これは完全に余談だけど、すってぃーさんがサポートのときこのsumikaの空間でどんな雰囲気を醸し出していたのかめちゃくちゃ気になる。いじーさんはニコニコいじられキャラで完全に馴染んでいるのだけど)

おわり

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