果樹って奥が深い…~北海道仁木町で農業インターン~
変わってきた価値観
無人島、広島、屋久島、奄美大島での経験を経て、この時にはかなり考え方が変わってきた。
この頃からの私のモットーは、
“ 楽しさ ” よりも“ 経験・学び ” に時間とお金を使う!
この頃できたこのモットーは今も変わらず自分の軸となってるもの!
現場でいろんなこと知れるのが楽しい!
参加者同士が初めましての状態で始まって活動を共にすることでお互いの考え方を知ったり、価値観を広げていくことが楽しい!
参加していくうちに自覚していなかった自分の良さを知ったり、全国各地に友達ができて、今もつながっていることが楽しい!
って思うようになった。
もうこの時には、自分がいろんなところに行っていることを人に言うのも嫌じゃなかったし、誇らしくもあった。1人で何もできない内弁慶がだいぶ変わったなと思う。
あとは…
奄美大島を経てから”田舎に住むっていいかもしれない”と思い始めた。まだこの頃は今みたいにガチじゃなくて面白いんじゃね?みたいな出来心。他人に言うほどまでじゃないくらい。
何かしたくてたまらない
春休みの3月に奄美大島に行ってからは、4月から大学が普通に始まった。
どこかに行く楽しさに芽生えてしまい、GWにどこかに行くということができなかった私はどこかに行きたくてうずうず。
夏休みの始まる8月まで待てなくて、毎日授業中に、忙しい中でもできそうな何かを探してた。
そこで見つけたのが社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」
人口減少・少子高齢化により人手不足に悩む地域・農家さんのもとへ、地方創生やフードロス問題に興味がある学生に行っていただき、未収穫となっていた一次産品の収穫をはじめとした農業体験により、フードロスの削減を目指す活動です。
このインターンシップは、1週間程度、定期的に全国各地で開催されている。事前課題や事後課題が課されるものの、期間中の滞在費、インターン先までの交通費が補助されるところが魅力!
募集してた沖縄県石垣市と北海道仁木町の両方に応募して、仁木町に行けることになった。
仁木町へ
仁木町と聞いて、ピンと来る人がどれくらいいるんだろう?
私は名前も場所も知らなかった。
場所は小樽の奥って感じ。
豪雪地域に指定されているが、根雪期間が短く、霜も少ないので農作物の栽培に適してる。 かんきつ類などの南国産を除いてほとんどの作物が栽培可能。
北海道は東京と比較して涼しく、私が夏にしては暑くないなと思う気温で、仁木町の人は最近で1番暑いと言っていた。びっくり。
お世話になった場所はNiki Hills Winery
生産したぶどうをワインにするところまで行ってる他、さくらんぼも栽培。高齢化によって手放される可能性があった農地や耕作放棄地をぶどう畑にしている取り組みも。ワイナリーだけでなくガーデンや畑、日帰りツアーなどより足を運んでもらえるようにする工夫がたくさんあった。
1週間、作業のメインはさくらんぼ。収穫・選果・梱包まで行った。
やってみて思ったこと「さくらんぼについて何も知らなかった、考えたことなかった」
思えば、国産さくらんぼって身近にない。スーパーでもさくらんぼはお高めの果物だから、あまり買わないし、勝ったとしてもアメリカンチェリーなどの外国産。国産のさくらんぼなんて、貰い物でしか食べたことなかったかも。
知らなかったさくらんぼの世界~収穫と栽培~
さくらんぼの収穫の基本は、脚立を使って実をとる。これが意外と大変。
さくらんぼの木のいろいろなところに実がついているので何度も脚立の場所を変更して登りなおしたり、枝を少し引っ張ってみたり、体を思いっきり伸ばしたり…。一か所にいるだけ全然では全ての実が取れない!!!
一概にそうではないと思うんだけど野菜は、収穫の時は大体地面に足がついてるし、無理して体を伸ばすこともあんまりないし、野菜の収穫よりも大変に思えた。さくらんぼの収穫は3Dで、野菜の収穫は2Dかなって思った!
さくらんぼは収穫した後も気を付けなければならない。
収穫してかごに入れる時に「傷み」を作らないために優しく置く。
雨に濡れたり、直射日光に当たるとダメになってしまうので、収穫した後も圃場に置いておく際は日影や雨よけができるところに置く。
お客様の下に届くまでにいい状態が維持されるように収穫時から気を付けるそう。
同じ種類のサクランボでも木によって実の大きさや味が全然違った。
日当たりや管理の仕方で大きく変わるから。
より大きく、色づきが均等でよい色味、虫食いや腐りが少ないと、選果の時間も大幅に減るから作業効率化のためにはより良い実を付けさせることが大事!だそう。
せっかく良く育てても、虫食いや腐りがあると頑張った意味をなさなくなってしまう。
しかも良いサクランボがたくさん実ったとしても、人が手で取るには高さや時間に制限があるからすべて取ることは厳しいそう。
ううん、難しい……
知らなかったさくらんぼの世界~選果・販売~
選果
選果は収穫したサクランボを目で見て、さくらんぼ1粒1粒見て傷や腐りのチェック、サイズ別に仕分ける。その後はパック詰め。
良い状態のさくらんぼがお客様の手元に届くために、目に見える「傷み」や「虫食い」だけでなく、出荷されている間にカビてしまわないように「柔らかさ」まで見なければいけなかった。
小さな傷のあるものや、サイズが小さいものはパックで安く売り出す。
小さな虫食いや大きい傷などは正規品にならずに廃棄か格安で農協に買い取ってもらい、そのさくらんぼは一般消費者にそのままの形で届くことなく加工に回される。
後者の場合、安く買取ってもらうので農家側は殆ど儲けにならない。
私「じゃあ規格外商品を農協に売る値段より市場に安く出せば?正規品よりは値段低くなるし、消費者も安く買えるし、儲けも増えてwinwinじゃん!」
「規格外の商品を通常の市場に出すと正規品の価値がなくなってしまうので安易に一般消費者に安売りすることはよくない。」
ううん、難しい……。まだ食べられるのに見た目や期限等で捨てられてしまう農作物を農家側にも儲けが出て消費者にもより良い形で届けられるシステムが必要なのかなぁ……。
販売
全く同じ質のサクランボでも詰める箱、売り方によって値段が大きく異なる。売り方は大きく2つあった。農協とギフト。
農協は1パック200~400円と安くなってしまうが、一日の出荷量の上限がなく、選果の手間が少なかったりもあり利用しすい。
一方ギフトは1パック400円~、農協と比べて高価に販売することができるがその分の手間などはかかるし、出荷量が予測しにくい。
また、これからやろうと思っているものは、さくらんぼを1粒1粒仕切られた木箱につめて売るというもの。高級チョコレートを食べるような感じでワインを飲みながらサクランボをつまめたら……という思いを込められている。
この1パックの値段はギフトよりもさらに高く売れる。だけど手間などがあり売るのは更に難しい。
“値段”と”手間・出荷量の予測のしやすさ”は反比例してしまう。
自分の栽培したサクランボと消費者のニーズなどを細かく把握して最大利益を追求していっているそう。
なんか面白そうだなと思った。
自分の気づき
果物と野菜の違い
果物は野菜と違って花や実のある場所がバラバラだから収穫などの作業を機械化したくてもコストの回収が見込めづらい。
けど限られた地域でしか作れないものもあるし付加価値等を付けることで高級品化は野菜より狙えるから販売はしやすい。
どっちがいいとかではなく、一長一短だなと思った。
消費者の声
生産者にお客様の声が届くのは稀である。なぜか?
消費者は美味しいと思ったものがあっても生産者への連絡やコンタクトをとることはしない。今までの人生で美味しかった・良かった商品の感想や思いを届けた人がどれだけいるだろうか?
むしろ、不良品の文句などは消費者から生産者へ届きやすい。
悲しい世界だなぁ……
生産者はどうやってお客様の声を汲んでいるのか?
生産者は商品のリピート率などで判断するしかない。行った仕事がリピート率などの数字になって成果が現れた時にやりがいを感じるそう。
どうリピート率を上げるか、新商品を売り出していくかが販売の面白みでもあるそう。
消費者の高評価や感謝の気持ちが生産者に届く仕組みがあればいいのになぁと思った。
学生と現実
大学で農学を専攻し、複数の農家さんのところに農作業のお手伝いには参加したことがあるので農業やフードロスに関しての課題はある程度知っていると思っていた。
実際に現地の方にお話を聞くと、課題は農家ごとに異なること、販売の仕方や流通にも工夫が必要だということ、自分が既に知っている農業の当たり前は他の学生には全く新しいことだったことが分かった。
多く話を聞いて思ったことは、学生のこれをやりたいという学生の理想と実際にそれができるのか、求められているのかという現状は大きく異なるということ。机上の空論。
フードロスや地方創生に興味があるという学生は私の周りに一定数いるが、農家の現場や地方に知らない人たちが多い。
問題を解決していくには自分がその現場に赴き、「知る」ということが一番大切であると思った。その後にどうするかを考えることが大事だと思った。
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