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むかし、むかしのことじゃった。 森の一本道を、ものすごい勢いで走る少年。 少年は、亀の甲羅を被り、荷車を引き、わき目もふらず、タッタッタっと、ふもとの村を目指していた。 この少年、名前を太郎と呼んだ。 浦嶋の爺 帰郷編 ふもとの村は、太郎のふるさと、母(かか)さまと父(とと)さまが暮らす静かな村だった。 家の近くまでくると、たくさんの村人が太郎の家の周りに集まり、ざわざわしていた。 なにごとかと、太郎は荷車を置き、家の前まで走り寄った。しかしたくさんの村人が立ちふさが
海の向こうに不老不死の楽園があると言う 深海を泳ぎ進む青年 かつて青年はその楽園で かけがえのない人と出会い結ばれた 楽園に住む乙姫さま だが青年は地上の世界に残してきた両親のことが気がかりで、ひとり楽園を後にする 乙姫さまは深く悲しみ泣いた 青年は両親に無事な姿を見せたら直ぐに戻るから安心しなさいと、乙姫さまの涙をぬぐった 「わかりました」乙姫さまは、そう言うと玉手箱を取り出し、 「私にまた会いたいとおもうなら、けして開けないでください」と言って青年に渡した あ