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NHK夜ドラ『あなたのブツが、ここに』の手話のお姉さん=大城桜子さんとの出逢い
私のSNSをフォローしていただいている方には、私がここ最近、NHK夜ドラ『あなたのブツが、ここに』にハマっていることを、重々ご承知のことだろう。
最近ありがたいと思うのは、昔に運営していたような非商用の個人ブログ(その延長がこのnote)ではなく、いただいている売文仕事の中で(つまり原稿料をいただきながら)「推し」を紹介できることだ。
こんな風に推しに推すのだ。「小林信彦チルドレン」の三つ子の魂は55歳まで続く。
さらには「推し」を「押す」。押し付けがましく、自分の記事を繰り返し繰り返し、SNSなどでプッシュする。この時代、ライターは書くだけでは仕事は終わらない。書いて・押して・押して、ナンボだ。
そんなことをして実際の閲覧数がどれほど伸びるのか、正直私にはさっぱり分からないのだが、それでも届くべき人に届くとうれしい。今回はそんな話。
『あなたのブツが、ここに』に出演中の「手話のお姉さん」(主人公で宅配ドライバーの亜子のお客さん)の大城桜子(おおしろ・ようこ)さんが、インスタグラムで私の記事について、言及してくれたのだ。
評論家のスージー鈴木さんの「月間エンタメ大賞」のコラムが瞬間風速1位を取りましたのでシェア✨
https://toyokeizai.net/articles/-/620679?display=b
毎日欠かさず観ているNHK夜ドラ「あなたのブツが、ここに」が、評価大でとても嬉しいです。この作品に関わっているろう者としても皆様に広く受け入れられているのはとても有難いです。
大城桜子さんのプロフィールにはこう書かれている――「ろう者/重度難聴/俳優/日本手話/聴力120db Over」。つまり、ろう者役の大城さんは、実際のろう者なのである。
色々調べると、彼女はすごい人で、プロフィールにもあるように、東京2020パラリンピックの開会式にメインキャストパフォーマー/手話ガールズとして出演されたようで、またNHK Eテレの『バリバラ』にも出演されていたそう。
そして、今回の『あなたのブツが、ここに』出演については、この記事で紹介されている。
思い出したのはもちろん、ここにも書いた、今年(おそらく)ナンバーワンの傑作映画『コーダ あいのうた』のことだ。あの映画では、『あなたのブツが、ここに』の大城桜子さん同様、主人公の家族である3人のろう者を、実際のろう者が演じて、話題になった。
上の読売新聞の記事からの引用
NHKの桜井壮一チーフプロデューサーは「荷物の届け先には障害者もいることを当たり前の情景として演出したかった。障害者自身が演じることで、しぐさや間合いが自然になる」と話す。
さて、先の東洋経済オンラインの記事で、私はこう書いた。
ところがどうだ。『あなたのブツが、ここに』は、「コロナあり前提」どころか、コロナ給付金詐欺に始まって、パワハラ、セクハラ、いじめ、自殺、毒親、ストーカー……と、コロナ禍を軸としたダークネスがフルスペックの「全部入り」。
要するに、このドラマの「現実感」「現実との密着性」を魅力の本質としたのだが、その魅力に、大城桜子さんを起用するというリアリティも寄与していたのだと知る。
こんな出逢い、こんな発見があるのだから、SNSとかネットとか、世の中で言われるほど悪いものではない。本当にそう思う。
大城桜子さんのインスタグラムにリプライしたところ、ご本人から、こういうメッセージが帰ってきた。
アメリカのように、耳が聞こえなくても、自然にドラマや映画に出られるといいなと願っています
心の中に流れてくるのはブルーハーツの『人にやさしく』だ。平成時代に量産・濫造された、表面的な「がんばろうソング」とは一線、いや根本的に異なる地平にすっくと立つ、あの歌。
でもよく考えたら、いやいやいや、がんばんなきゃならないのは、まずは私だ。何いってんだよ――という、当たり前のことに気付かせるのも、名曲『人にやさしく』の凄み。
「聞こえてほしい――大城さん、そして私、さらにはみんなにも――ガンバレ!」
そして『あなたのブツが、ここに』の主人公・亜子にもミネケンにも、聞こえてほしいと思うのだ。