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「私はこの道に向いていますか?」に対する3つのアプローチ

占い師として、鑑定の現場でよく聞かれるご質問、それは…

「私は、この道に向いていますか?」

単に「向き、不向き」を聞いているだけのように聞こえますが、実はこの質問に潜む意図は以下の3つに分類されると、個人的には考えます。


これらは、ご相談者さんが発する表面的な言葉を聞いてすぐに判断できる時もありますが、ヒアリングを進めながら細かいニュアンスを拾い続けていくなかで初めて分かることもあります。つまり「第一声」と「主訴」が、かけ離れている場合です。

だから私は、占い師とはいえ、表面的な情報だけで鑑定を急がずに、まずはご相談者さんの本当の意図を探ることに注力します。

それでは、それぞれの意図を深掘りしていきましょう。



1. ポジティブな意図: 「この道だ!」と明確に分かっていて、飛び込む後押しをしてほしい

ポジティブな意図とは、「誰に何と言われようとも、私はこの道でどうしてもやっていきたい。でも、自分以外の他の誰かに『向いているよ』とお墨付きをもらいたい!」というもの。

私は基本的には、ご本人に「やってみたい」という意思があるなら、それを尊重して背中を押すスタンスです。向いているか向いていないかは、究極的には他人が決めることではなく、当の本人が腹落ちすべきこと。私はそう信じているからです。

そもそも大前提として「誰が何と言おうとこの道を進む!」と言っている人に、「その仕事、向いていません」と言うのは極めてナンセンス。そういう人には、まずその道で生きてもらうのが先決です。

ですのでこういった方に対する鑑定は「その道に進むか、進まないか」を見るのではなく、「どうやって進み、結果を出すまで継続していくか」にフォーカスします。占い師である私は、その人が持って生まれた星からいくらでもアドバイスできますからね。


2. ネガティブな意図: 「この道じゃない!」と明確に分かっていて、辞める許可がほしい

一方、ネガティブな意図とは「この道では、とてもじゃないけどやっていけない。でも、辞める決断を下す勇気はない。だから誰かに『十分頑張ったよ』と、辞めることを許可してほしい」というもの。

こちらも背中を押してほしいニーズですが、「辞めることに対して」背中を押すパターンです。

誰かに「辞めていいんだよ」と言ってもらいたくて、藁をもすがる気持ちで占い師の元へ来られる方は非常に多いもの。

こういう人は、これ以上頑張ったら、心も体も壊れる、というギリギリのところで踏ん張っています。頑張り続ける理由を聞くと「家族を養うため」「他に行くところがない」などなど。本人としては「やむにやまれない」と思い込んでいるフシがあります。

でもここで、本人に起こっているのは、実は認知の歪みでしかありません。
つまり、本人にとって「やむにやまれぬ事情」を解決するためには、今の仕事を続けることだけが唯一の道ではないということです。
転職すればあっさりと、より良い条件が手に入ることもありますからね。

追い込まれると、人はいとも簡単に心理的視野狭窄に陥ります。
それを解きほぐすのは、家族や友人、上司では難しい場合もあります。そんな時、誰が登場するかというと…占い師です!
なんせ、何のしがらみもない関係性であり、そもそも会話が成立している土台が、なんとも非科学的な「占い」ですからね。思い込みをぶっ壊すには最適です。

さらには、その人の星を見ることで、上手くいかなかった理由を資質と現状とのギャップから探れますので、次に同じ轍を踏まないための対策も打てるのです。


3. ハイブリッドな意図: 「この道であるようでもあり、ないようでもある」という違和感の正体を探りたい

「これだ!」であろうが「これじゃない!」であろうが、明確に分かっている人はまだいいのです。でも実際には、そういう白か黒はっきりした意図がある人は少ないもの。一番厄介で、かつ、最も多いパターンがこれです。

「持って生まれた星(資質)をそれなりに使えている気はするものの、どこかで違和感も感じる。でも我慢できないほどでもない。」

何ともどっちつかずな状態ですね。おそらく世の中の多くの人たちは、こんな思いをどこかに抱えながら生きているのではないでしょうか。

ちょっと頑張れば、根性で続けられなくもない。でも、確かに存在している違和感から目をそらし続けていたら、体や心に支障をきたす結果になった。
まるで、真綿で首を絞められ続けてきたかように…。



ところで西洋占星術では、以下のような様々な要素が複雑に絡んできます。

・10天体(自分の中にいる10人の役者たち)
・12サイン(各役者がまとう12種類のキャラクター性や役どころ)
・12ハウス(各役者の活動する12の舞台)
・4感受点(その人の第一印象や、目指している社会的頂点など、重要な4つのポイント)
・天体間の角度(役者同士の関係性)

あらゆる組み合わせを総合的に判断して、その人の資質を見ていきます。
ですから「私は山羊座です」という、いわゆる太陽星座だけでは、複層的な一人の人間はとても語ることはできません。

ちょっとした違和感を感じる時というのは、置かれた場面や仕事内容などにきちんとハマって機能してくれている天体もあるものの、別の天体は全く満たされておらずフラストレーションが溜まっている、という、アンバランスな状態であることが考えられます。

もちろん、与えられた場面で一生懸命頑張っていく中で、能力が開花したり、周囲に評価されたりして、ご本人が腹落ちする場合もあります。

でも、どうしても決定的な違和感が払拭されず、自己肯定感が低下したり、最終的には心身に影響をきたすほどになってしまうような場合は、やり過ごしたり頑張り続けたりしても、いいことは決してありません。

そんな時は、複数の天体の要望を満たすべく、キャリアチェンジをお勧めする場合があります。ご相談者さんの中でも、思い切ってキャリアチェンジをした途端、水を得た魚のようにイキイキする方は、よくいらっしゃいます。

ちなみに、私がまさにそうでした。
私の「表の顔」の星、つまり太陽は、とにかく明るいコミュニケーションが大好き。ですから外資系IT企業での法人営業職はそれなりに順調にいってしまっていたのです。

でも、いつもどこかで、どうしようもない虚しさを感じていたのです。

その虚しさの正体とは、私の「裏の顔」の星、つまりでした。
こちらは、目の前のたった一人の人と、極めてプライベートな領域において深く関わりたい、という想いが強い星だったのです。

太陽と月とはつまり、表と裏であり、光と影です。
どちらかが片手落ちだと物足りなさを感じるこの二つの星。
私は長いこと、このバランスが取れる仕事を探し続けていたように思います。


「仕事は、太陽と月を両方満たせ」

これは、西洋占星術でよく言われることです。
ちなみに、両方同時に満たす仕事が見つからなければ、副業などで別々に満たしても構いません。要は両方満足させることが重要なのです。


さて、そんな私が副業占い師になってみたら…、なんということでしょう!
お相手の人生にじっくり関わりながら、深いコミュニケーションが取れるではないですか!

それもそのはず。誰にも打ち明けられないようなことをさらけ出してもらえるのが占い師。皆さん丸裸でぶつかってくるわけですから、がっつり深いコミュニケーションが取れて、月を満足させ続けられる日々になったのです。

ちなみに現在、私の太陽は、昼間の派遣事務職の仕事に加え、週末の占い講師活動で満たしているので、いい感じでバランスが取れています。IT企業の正社員だった頃は、副業どころではないほど忙しかったので、人生が「太陽だけ」になってしまって、疲弊していたということですね。

「太陽だけ」でコミュニケーションしていた頃には感じることができなかった充実感が、今はあります。こればかりは、やってみないことには想像できないもの。外資系企業の正社員から、思い切って「派遣社員+副業占い師+占い講師」という三足のわらじへのキャリアチェンジをして良かったと、心から思います。


まとめ

ということで、「わたしはこの道に向いていますか?」と聞かれた時の、私が取るアプローチは以下の通りです。

ご本人がどうしたいか?を深く探る
・ポジティブ/ネガティブ/ハイブリッドを判断する
ポジティブ/ネガティブなら背中を押す
ハイブリッドなら複数の星をバランスよく生かすための方法を、ご相談者さんと共に探る

ご相談者さんが主体的な人生を送ることを最優先に考えると、占いであってもこんなふうになる、という一例でした。

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