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ミッドライフ・クライシスは「ライフキャリア」で乗り越える!


あなたは、「キャリア」と聞いて、何を思い浮かべますか?

どこの企業に勤めているか?
どんな役職についているか?
どんな職種に携わっているか?

おそらく、多くの人にとって、キャリアとはこうした「仕事に関すること」が真っ先に思い浮かぶと思います。

このように、キャリアを仕事だけで定義することは、勢いのある30代半ば頃までなら普通にあり得るでしょう。しかしながら、それ以降の世代になるにつれ、この定義をそのまま持ち越すと、いずれ確実に閉塞感を味わうことになります。

勢いのある世代以降とはすなわち、ミッドライフ(中年期)です。
どこまでも行ける可能性に満ちていた時代が終わり、良くも悪くも可能性の幅が現実的な落ち着きを帯びてくるのが、このミッドライフ世代なのです。

では、ミッドライフ世代は、キャリアをどう定義づけ、また、どうやって閉塞感を乗り越えるべきなのでしょうか?



人生は果たして、仕事だけなのか?


仕事一筋で頑張ってきたビジネスマンが、昇進できなくてモチベーションが下がった、とか、定年退職と同時に鬱になってしまった、なんていう話はよく聞きます。

でもそんなことが起こってしまうのは、そもそも「人生=仕事」になってしまっているから。


「同期がどんどん昇進していったなかで、管理職になれなかった自分のキャリアは失敗だと感じる。」

「一流企業に勤めることができなかった自分は、有名企業に行った友人の前では引け目を感じてしまう。」

「65歳でキャリアが終わった後には、『自分は何者でもない』と感じてしまうであろうことが目に見えている。」

「人生=仕事」になっている人にとっては、仕事で評価されないことや、仕事そのものを失うことは、人生を失うことと同義なわけです。ならばその喪失感たるや相当なものでしょう。

ところで、今や人生100年時代
65歳で「何者でもなくなって」しまい、その状態で30年以上生きなければならないとは、なんたる拷問でしょう。

そう、キャリアに関する現在の捉え方は、人生100年時代には全くそぐわないものなのです。

そしてその、キャリアに関する現在の捉え方というのは、誤解が含まれたまま広く認識されてきたものともいえます。

今、その誤解は正しく認識しなおされるべき時に来ているといえるでしょう。

「キャリア」の本当の意味とは?


私たちが「キャリア」と呼んでいるものは、実はキャリアの「一部」に過ぎません。

それは「ワークキャリア」、つまり仕事に関わる世界におけるキャリアだけを指す、極めて狭義なもの。

では、「ワークキャリア」とは別のキャリアとは、いったい何でしょうか?

いや、「別の」というより「ワークキャリアを包含する、もっと大きな視点のキャリア」という方が正確でしょうか。

それは何かというと、「ライフキャリア」なるものです。

特にミッドライフ(中年期)以降では、このライフキャリアを構築することこそが、より幸福感を感じられる鍵になるのではないかと、私は思います。


ライフキャリアとは?


ライフキャリア —― 直訳すると「人生のキャリア」です。

人生には、仕事だけではなく、家族や親戚との関わり、地域での活動、趣味、大人になってする学びなど、あらゆるアクティビティがありますよね。

ライフキャリアとは、それら全てを通して蓄積してきた経験値のことをいいます。


ライフキャリアは虹のように


さて、ライフキャリアを語る上で外せないのが、「ライフキャリア・レインボー」です。

これは、アメリカの経営学者であり、キャリア理論研究者でもあったドナルド・スーパーが1950年に提唱したもの。人生全般にわたるキャリアを、虹のような図で表したものです。


https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/11/04/1312817_05.pdf


この虹の一番外側には、年齢と、それぞれに対応する発達ステージが記されています。

生まれてから中学生あたりごろまでは「成長」し、高校生から新入社員時代で自分のやりたいことや適性、向いている仕事を「模索」します。その後、自分なりの生き方を「確立」して、軌道に乗ってきたらそれを「維持」する。そして人間誰しも、「衰退」していく…という具合です。

そう、年齢を追うごとに人生のフェイズはうつろって当たり前なのです。

そして、虹の内側に記されているのが、「ライフロール」と呼ばれる、生涯における人生の役割です。

「子ども*」「学生」「余暇人」「市民」「労働者」「配偶者」「家庭人」「親」「年金受給者」

これらの9つの役割を、私たちは生涯を通して演じていくのです。
(*子ども:親に養育される立場としての子どもと、親を介護する立場としての子どもの両方を含む)

この図を見ていると、いくら働き盛りの30代~50代であっても、人生を「労働者」としての役割だけに捧げることは不自然だということがハッキリ分かります。

これら複数の役割が虹のように重層的に関わり合うことによって、その人の人生全体のキャリアとなる。それが、ライフキャリアの考え方です。

とはいえ、キャリア教育が導入されてまだ日が浅い日本には、このような考え方はまだまだ受け入れられていないのが現実でしょう。特に、今の40代以降の多くはキャリア教育を学校で受けたことがない世代のため、「上昇してなんぼ」という価値観がいまだに根強いのではないでしょうか。

でも、40代以降というのはまさに、ミッドライフ・クライシスに陥りやすい世代でもあります。クライシスに陥っていながら、上昇至上主義の中で生きなければならなかった時の辛さは、今でも思い出したくないくらい、私にとっても苦い思い出です。


ミッドライフ・クライシスは誰にでも訪れる


 さて、中年と呼ばれる年齢期の頃、誰もが多かれ少なかれ経験するのが、中年の危機、ミッドライフ・クライシスです。

この危機感の原因は人によって様々ですが、ワークキャリアに関しての一例としては、このような感じでしょうか。

ほんの数年前までは、バリバリ仕事ができていたし、何事にも前向きにチャレンジできていた。

それが、ある一定の年齢を過ぎたころから、そのペースではとても続かないということを思い知るようになった。

若い後輩たちはキラキラと輝いていて、眩しくもあり、脅威とすら感じ始めた。

だから、自分もなんとかしなきゃと焦ってはいる

でも、重い腰はなかなか上がらない

自分はこのまま枯れていくのだろうか…。

あなたにも、思い当たるところはありますか?

私の場合は、ちょうど産休・育休を挟んで、外資系IT企業に職場復帰したころ。高齢出産だったために、産後うつ・育児ノイローゼに追い打ちをかけるように、中年の危機がやってきてくれました…。

あの頃の私が、「ライフキャリア」を知っていたら、職場復帰した時期にあんなにもみじめな気持ちにならずに済んだことだろう、と思います。

ただし、私の場合は、「ワークキャリア」だけの人生に早々に見切りをつけたことで救われました。その理由は、西洋占星術を学び、占いという武器を手に入れることができたからです。

占い師の副業を始め、週末には地元で占い講師をやるなど、人生における様々な役割活動の場所を獲得できたことで、必然的に「ライフキャリア」としての生き方にシフトできたのです。

もしも、それができずにいまだにモーレツ社員の生き方を続けていたとしたら…。

私の場合は確実に健康面への影響を回避できない状態に陥っていたという確信があります。


ミッドライフ・クライシスは、単なる星の「気づかせ」


ミッドライフ・クライシスでは、これまでの自分のやり方では立ちゆかなくなることが、最初のつまづきポイントとなります。

でも、従来のやり方に固執していても、つまづく回数が増えて傷だらけになり、立ち上がれなくなることだってあります。

そうなった時、あなたの「キャリア」は終わるのでしょうか?

ミッドライフ・クライシスに陥ると、どうしても「自分はもうダメなんだ」とか、「自分のキャリアは終わったのだ」と思いがちになるもの。

でもそれは、年齢が変わることでステージが変わっているだけであり、また、演じる役割の種類が増えたり、比重が変わったりしているだけ

つまり、方向性を変えるべき時がきたことに対して、「気づかせ」が入っているにすぎないのです。

これは、星の配置からも言えること。どんな人にも生き方に変容を促すために、星が揺さぶりをかけてくる時期があります。

その状態を、当の本人は「危機的状況」と認識しているだけなのです。


12色のすべてを、あなたのキャリアにする


さて、西洋占星術では、その人が生まれた瞬間の上空の10天体の配置を平面に落とし込んだホロスコープをもとに、その人の資質を観ていきます。

このホロスコープは、円が12分割されており、それぞれの区域を「ハウス」と呼びます。このハウスは、私たちの星々が活躍する舞台背景です。

そして、1ハウスから12ハウスまで、違った場面があてがわれています。
簡単にいうと、以下のとおりです。

▪️1ハウス:自己表現の場所
▪️2ハウス:「手に職」系のスキルを生かせる場所
▪️3ハウス:近しい関係の人とのコミュニケーションや学びの場所

▪️4ハウス:家庭や居場所
▪️5ハウス:趣味やクリエイティブな活動をする場所
▪️6ハウス:労働、奉仕、貢献をする場所
▪️7ハウス:対人関係、パートナーシップの場所
▪️8ハウス:ごく親しい人との間の閉じられた場所、祖先から引き継ぐ場所
▪️9ハウス:高度な専門知識を身につける場所、未知なる場所
▪️10ハウス:社会的なステイタスを表す場所
▪️11ハウス:同じ志を持つ仲間たちと集う場所
▪️12ハウス:精神世界や深層心理を扱う場所

そして、西洋占星術の鑑定は、基本的にはどの天体が、どんなキャラ設定で、どのハウスに位置しているのかを見ることです。

さて、ライフキャリアレインボーでは、「家庭人」や「労働者」など9つのライフロールがありました。これは、西洋占星術の12ハウスにも通じるものが大いにあると、私は考えます。

占い鑑定の現場でも、特にミッドライフ世代のご相談者さんに対しての鑑定の際には、仕事のご相談であっても、私は仕事に関するハウスだけを観ることはしません。それよりも、12ハウスを複層的に観ていきます

なぜなら仕事に直接関わらないようなことでも、実際にはその人の生き方を語る上で、なくてはならない要素は山ほどあるからです。

そしてこれこそが、ライフキャリア・レインボーの考え方と一致するのです。

12色の輝きは、虹のようにその人の生き方を彩ります。その虹の彩りは人それぞれ違うものであり、それは本当に美しいものです。

その人固有の美しい彩りこそが、その人だけのライフキャリアといえる
のではないでしょうか。

日本にもっと、ライフキャリアの考え方が浸透していき、焦りや不安ではなく、「自分の資質そのもの」を認めることで幸福感を得る人が増えることを、私は祈っています。

なぜならそれこそが、ミッドライフ・クライシスを乗り越える鍵であり、人生100年をイキイキと生きる秘訣になると、私は信じているからです。


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