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アンビグラムに初心者が1ヶ月本気で取り組んでみた

こんにちは。みなさんはアンビグラムをご存知でしょうか。

ざっくりといえば、こんな感じのいわゆる「逆さにしたりしても読める文字」のことです。すごいですね。

私自身、こういったものを作るすごい人たちがいることはなんとなく知っていながらも、自分で作るという発想は全くないまま日々を過ごしていました。
しかし、とある機会に試行錯誤しながら作ってみたところその過程が予想以上に面白く、夢中になって取り組んでいるうちに少しずつ上達してきました。今後アンビグラムに興味を持った方の参考になればと思い、この1ヶ月の経過を記録しておきます。





きっかけ

当初のきっかけは、9月に公開された難問クイズ企画「ΣQ」に取り組んでいた際、出題者のΣさんに誘われたことでした。Σさんは現在のアンビグラム界における中心的人物のひとりです。

ただこのときはちょっとしたお誘いへのアンサーとして軽い冗談のつもりで作ったため、この時点でアンビグラムにしっかり取り組むつもりはありませんでした。

自発的にアンビグラムを作ったのはその数日後、10月1日の「みんビグラム」が最初です。みんビグラムは同じお題をもとにみんなでアンビグラムを作る月1の企画で、作りやすそうなお題だったため再びドットで制作してみました。

日付的にもキリが良いので、この記事ではこの日をアンビグラムを始めた日としています。



とりくみ

このあたりで徐々にアンビグラムの面白さに気づきはじめたため、本格的に制作してみようと思いました。前述のΣさんが主催されているDiscordサーバー「アンビグラム情報局」に入り、毎週設定されるお題やしりとりを参考に言葉を考えました。

アンビグラム情報局の毎週お題に初投稿した「収容所」

当初はCanvaを使用していましたが、細かい文字のニュアンスを作るのには物足りなく感じ、10個くらい作ったところでAdobe Illustratorに乗り換えました。

その後は、「過去のアンビグラム作品をいろいろ見て刺激を得る→なるべく新しい手法を取り入れつつ作品を作ってみる」というループを回す生活が続きました。
過去の名作アンビグラムを探す際は、いがときしんさんの主催する「月刊アンビグラム」やXのハッシュタグ「#アンビグラム」、有力なアンビグラム作家さんの記事(例えばオルドビス紀さんかささぎさんタコぬさん)などが参考になりました。またΣさんのアンビグラム関連リンク集アンビクイズにはアンビグラムに関する幅広い情報が網羅されており、非常に参考になりました。
自分で作品を作ってみる方法としては、過去のアンビグラムを分析して様々な手法を学びつつ、基本的には「ひたすら試す」という泥臭いやり方をしていました。ノートやメモアプリにいろいろ書き散らして、いけそうだと思ったらあとはイラレでいじくり回して何とかするという感じですね。この辺りはフロクロさんいんふぃにてぃさんtakaさんの記事が参考になりました。

同時に初めて触るIllustratorの勉強や、フォント・タイポグラフィ・作字・アンビグラムの分類などについて調べたりする作業を並行して行いました。

この頃に作ったものでは、「飛ぶ」「記号」あたりがアンビグラム界隈の方にも良い反応をもらえて嬉しかったです。



できたもの

最終的に(厳密にはアンビグラムでないものも含みますが)10月の間に約80個の作品を作り、自分でも納得のいくレベルのものもいくつか作ることができました。
一番いいねをいただけたのは見出しにもなっている「光沢」ですね。

これはアンビグラムとしてはシンプルなものですが、よりアンビグラムらしいものとして「急速充電」や「手術」、「雑」、「安息日」などは良いものになったと思います。

「急速充電」180°回転
「手術」旋回型。「手」が袋文字になっている
作るのが難しいとされる90°回転で、可読性も高くできた「雑」
「安息日」。無限に敷き詰めると敷き詰め方を切り替えることができる並進重畳型と呼ばれるタイプのアンビグラム

総じて、アンビグラムの技術自体も重要ですが、文字の顔というか、手触りみたいなものを大事にすることが良い作品を作る上で大切だと思うようになりました。対応として成立していても、たとえば冠の下の部分が冠から飛び出したりすると非常に見た目が悪くなったりして、そういうものはけっこう没にしてしまいます。



ふりかえり

1ヶ月でゼロの状態からここまでこれたのは、アンビグラム界隈の方々が良い人ばかりだったということが非常に大きいと思います。拙い頃からRTやDiscordのスタンプで反応をいただけたのは本当に嬉しく、原動力になりました。
逆にいえば、拙いものでも臆せずどんどん公開してきたのが成長の要因になったかなと思います。

最初の頃はこんなものを出して怒られないかなどと思いながら公開していましたが、拙いものから勇気を出して投稿していかなかったら今のレベルまでは到底及んでいなかったと思います。この記事を読んでいる方にも、ぜひ気軽に作って公開してみていただきたいと思います。

いろいろ作っていくにつれ、「これはアンビ化できそうだな」と感じる言葉が増えていったのは上達を感じられて面白かったです。直近で作った「南極」「止まれ」あたりは見た瞬間に作れそうだと感じましたが、これはアンビグラムを始める前では絶対に感じられなかった感覚だと思います。

「南極」。どんな省略であれば許されるかという感覚は大事
道路風の「止まれ」。
このレベルで身近にある単語はもう何回も作られているらしい

今でもまだアンビグラムにするのは難しそうだと感じる言葉のほうが遥かに多いので、今後さらに増えていくことが楽しみです。



これから

当面の目標は、先述の「月刊アンビグラム」に載ることです。来月号にも応募はしてみましたが、毎号非常に優れた作品ばかりなので採用されるかどうかはわかりません。載っていなかったら笑ってください。
長期的には、制作ペースはこのあたりでひと段落させつつ、より良いものを作っていきたいところです。複雑な漢字や長い言葉をアンビグラムにするのはまだまだ未熟で、上手な方々の作品はまだ遥か遠いレベルにあるので、もっと上を目指したいですね。
いずれは日本語アンビグラムの発展に少しでも貢献できたら嬉しいですが、言うまでもなく先人たちの工夫と技術の積み重ねは凄まじいものがあり、それをさらに押し進めるのは簡単ではなさそうです。



おわりに

この記事がアンビグラムを作ることに興味を持ちはじめた方にとってちょっとした参考になれば嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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