参拝してたらBBAに怒られた話

以前にも書いた通り、ふと思い立ったことは即行動に移す派である。

その日、自分は目黒にある目黒不動尊に来ていた。

普段から神社仏閣巡りをしているわけでは全くないのだけれど、
お不動さんに来た理由は「呼ばれた気がしたから」。

「なんとなく」の直感に従う。
今回も例に漏れずってわけ。

この目黒不動尊、目黒という地名の元になったという説があり、
目黒にあるから目黒不動尊なのではなく目黒不動尊があるから目黒になったといわれている偉大なる聖地なのだ。

他の土地には目白不動尊や目赤不動尊もあるよ。

ちなみに以前調べたところ自分の担当の守護仏神は大日如来だそうで、
不動明王というのは大日如来の怒りに満ちたver.(つまり裏面)だ。
(守護仏神は生まれ年の干支から調べられるよ)

霊感もないし、スピリチュアル的なことは好きだけど盲信しているわけではない自分としては、
なんとなく縁めいたものを感じつつも「せっかくだから観光がてら」という気持ちが強かった。

目黒は、訪れておくべき場所が意外と多い。

まずは言わずもがな目黒川。
ちょうど桜が満開の時期だった。

川沿いに連なる桜並木は圧巻。

遠くの方には目黒雅叙園も見えた。

そこから少し歩いたところで外せないのが目黒寄生虫館。
世にも珍しい、寄生虫を扱った博物館だ。

珍スポット好きなら一度は行ったことがあるはず。
たまらんね。

寄生虫館からさらに歩いて住宅街を抜けた先にいきなり現れるのが、目黒不動尊だ。

上記の観光スポット(？)を巡ったあと、いよいよ今回の目的地へ向かう。

目黒不動尊があるのは瀧泉寺という天台宗系のお寺で、青木昆陽(サツマイモの人)のお墓や愛染明王像などもあり意外と広い。

こちらの桜も見事に咲いていた。

境内を見て回ったあと、いよいよお不動さんにお参りに行く。

本堂に入ると、それはそれは霊験あらたかそうにおわします立像が。

んで、ここでお参りするのが今回の直感のミッションなわけだが、自分はちょっとやってみたいことがあった。

それは、知り合いの霊能者がやっていた「神さま(仏さま)と心を通わせる」というやつで、
手を合わせて無心になることでメッセージが降りてくるらしいのだ。

繰り返すが自分は霊感ゼロ。

そもそもその話が真実味に乏しいし、できたとしてもおそらく相当な修行を積んだ人にしか出来ない芸当のはずで、
今考えると何と無謀な…と思ってしまうが、
やってみないとわからないものもあるのだ。

他に参拝客はおらず、本堂にいるのは自分と物販のおばちゃんだけ。
(物販て言い方も大概だけど（笑）、おみくじとか魔除けグッズ売ってる売店ってどこのお寺にもあるよね)

静寂を心地よく感じながらお賽銭を投げ、
手を合わせる。
目の前のお不動さんを意識しながらメッセージを受け取ろうとする。
が、これがそもそも無心ではないので先方がうんともすんとも言うはずがない。

しばらくすると後ろに参拝客の気配を感じた。
お婆さんのようだ。
ひとりで何かぶつぶつ喋っているが気にしない。

メッセージ……
お不動さんメッセージちょうだいよ。

直感に従ってここまでわざわざ来たことだしそれぐらいのサービスがあってもいいんぢやなゐかしら。

焦れば焦るほど意識がザワついて集中できない。

その時だった。

「遅すぎるわよ。いつまで祈ってんのよ。」

そう声をかけてきたのは不動明王

ではなく後ろの婆さんだった。

その前からブツブツ言ってたが、それは自分に向かってじゃないと思ってたのさ。

ところが寸刻改めて思い返してみると、そのブツブツは「遅いわねぇ〜……」「……まだ〜〜？」
だった。

気付いたら1分ぐらい手を合わせていたらしい。

1分、というとかなり短い時間のようだが、60秒と考えるとなかなかである。
そして普通5秒とか10秒とかで済ませるはずの参拝時間に60秒かけたというのは、
確かに「遅すぎるわよ」だった。

言われた瞬間、かなりイラーーーーー！！！！！っと来たのだが(逆ギレw)、

待てよ……これは神仏に試されているのかもしれない。
ここで不動明王みたいに怒りに任せて言い返したらそこまでだ。
境内での行儀の悪いマネはバチが当たる。
怒りを怒りで返さないための修行だ。

と思って踏みとどまることができた。

いや、もちろん言いたかったよ。言いたかったさ。

「うるせーなこのBBA。真ん中よけて端から参拝できんだろ。拝む時間ぐらいこっちのペースでやらせろや！！！」
と、相手の目を見て言いたかったさ。

でもそれをここで言うと自分が明王の業火で焼かれてしまうので、涼しい顔して本堂を出た。

心頭滅却してこその参拝である。

境内から出口に向かっている中、正直時間差で少しずつ嫌な気分が膨れ上がってきてはいた。

しかし「これは"お試し"だ。あのBBAは天界が遣わしたフェイクだ。あそこで怒りを出さなくて正解だった。」と言い聞かせることで何とか落ち着くことができた。
(それに、BBAが人間だったとしてもバチが当たるのは先に仕掛けてきたBBAの方だからね！)

こうして直感から始まった目黒不動尊参拝は、イヤミなBBAの思い出に全てを持っていかれてしまったのだった。

ちなみにメッセージを受け取れたのかって？

特に何も聞こえませんでした。

まぁあのとき、神社と間違えて二礼二拍手してたんだよね。

そりゃ受け取れるメッセージも受け取れませんわ。
ドンマイ。

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