【衝撃の連続】ゲイ映画館で踊ったときの話
あろはろは!
メンズストリップダンサーの朱雀ガラティアです☆
我々は現在、「ストリップ」という言葉から連想されがちなアングラ感や入りづらさを払拭すべく
主に女性のお客様を中心に、よりカジュアルでよりオシャレな男性ストリップショーを提供しています。
(まぁ、全裸にはならないのでセクシーショーですかね)
ですが、歴史的な観点から言うと
そのルーツはゲイ映画館でゲイ男性向けに始まったバリバリアングラの文化だったんです。(笑)
現在、日本にはたった1つだけ男性ストリップ団体が現存しており、
自分自身その団体を出身として今では色々とやっているわけなんですが、
数年前まで年に3〜4回ほどその団体によるゲイ映画館での特別公演が行われていたんです。
①ゲイ映画館とは?
そもそもゲイ映画館とはゲイ映画(=ゲイ男性同士の色恋を描いたピンク映画。過激な濡れ場が多いが局部は映らない)を専門に上映する映画館のことで、
客層は専らゲイ男性です。
ゲイ映画って今で言うところのBL映画みたいなもので、専門の配給会社もあるのですが、ゲイ映画館では女性の入場は不可。
腐女子のみなさん残念でした。
このゲイ映画館、面白いことに普通のピンク映画(ノンケ男性向けの官能映画)の映画館を併設しており、一つの受付から好きな方に入れるようになっていました。
イメージは銭湯の番台。
(ここの番台では60歳前後のお姐さん方がもぎりをやっていました。
施設内で女性はその方達だけです。)
受付を過ぎたらノンケは右、ゲイは左に入場という具合です。
さらにどちらの客も入れる共用の休憩スペースがあったのですが、
そこにいたのは熟女装(=女装のおじさん)でした。
ノンケ、ゲイ、女装まで網羅した男性のユートピアだったのです。(◎_◎;)
ちなみにこのちょっと広めな休憩室でみなさん何をしているかというと、
テレビで競馬を見たり、新聞を読んだり、熟女装とノンケのおじさんが仲睦まじげにイチャイチャしたり(!)、
なかなかの壮観でありました。
②初公演に呼ばれちゃった!
そんな日本の秘境とも言えるとんでもない場所(敬意を込めて)に送り込まれたのは数年前のある日のこと。
映画館の新たな催しとして、
古き良き文化の復活!メンズストリップ団体による幕間特別ショー
というのがこの映画館(もちろんゲイ映画のほう)のスクリーン前ステージで行われることになりました。
確か2days。1日目と2日目でキャストが違いましたが、自分はどちらもいました。
演目自体は我々が本公演でやっていたようなソロショー、ペアショー、全員ショーなどの変わらない内容でしたが今回は映画館!
ステージが広い!客席も広い!
天井が高い!!
興行前日に箱入りして映画館の人へご挨拶、およびリハーサルをして帰りました。
そして明くる朝、いよいよ当日。
開館前に
「おはようございまーーす♪」
と挨拶しながらドアを開けようとすると施錠中。
ドンドンしてると
「ちょっとアンタ!出演者?開いてる方から入んなさいよね!」
開いてた隣のドアから出てきた受付のおばちゃんに
開口一番出会い頭に怒られました(笑)
ちなみにその時自分は「はぁ?どっちも開けとけや。」みたいなことを反論しました
楽屋、というか待機場所は2階に用意してもらっていました。
そこはなんと映写室!!
映写機を遮らないよう注意しながら、
映画館の客席とスクリーンをガラス越しに覗くことができたのでした。
楽屋に荷物を置き、みんなで当日の最終リハをやって映画館が開場。
うちらの出番は上映の幕間なので、映画が2本ほど終わるたびにショーをすることになっていました。
昼と夜の2回。
同じ内容のものを繰り返しやります。
映画が上映している最中は暇なので、
メイクを済ませたり
映写室から客席を見たり
実際に客席に行って映画を見たり。
ふと横の客席を見ると、うちのキャストの子がお客さんとイチャついてましたo(`ω´ )oコラー
噂によると、その映画館の喫煙所やトイレなどでナンパされるということもよくあるらしいのですが、
「話しかけるなら金払え」オーラでふんぞり返りまくっていた自分に声をかけてくる猛者はいませんでした。
残念(´-ω-`)
③ついにショータイム
そうこうしているうちに1回目のショーの時間が迫ってきました。
1公演の中でキャストは複数回出番があるので、衣装もたくさん持って行かなければなりません。
当日、その衣装をまとめておく入れ物はスーパーにあるような買い物カゴでした!
映画のエンドロールが流れまだ会場が暗い中、衣装で溢れた買い物カゴを持ち、手探りでかがみながら壁沿いにステージ脇まで進みます。(シュール。)
ステージ脇にはカーテンで仕切られた4m×2mほどの広さの着替えスペースがあって、そこから出演者が登場します。
音出しや簡易照明の機材もその中にあり、PA役は団体の代表自らが担っていました。
そのエリアに衣装(買い物カゴ)を置き、
映画が終わり会場が明るくなったところで団体の司会が登場し口上を述べます。
(この司会の人も実は元メンズストリッパー。大先輩のOBです。)
ちなみに今回のショー、観覧料は映画の入館料に含まれているので一度入場してしまえば映画もショーも見放題。
映画だけ見にきてショーに興味ない人もいれば
映画は見ないけどショーを観にきたという人もいました。
そしてそのほかの大半は「映画を見るけど、なんかショーやってたからとりあえずそっちも観る」
という層でした(笑)
「よーし、絶対惹きつけて前のめりにさせたるわ!」
と、思ったかどうかは覚えていませんが、
自分のショーを全うしようぐらいのことは考えていたんじゃないかな。
司会の口上の時間はお客様にとっての休憩兼入れ替えタイム。
映画の後もショーを観る人は残るし、そうでない人は退出。
トイレに行ったり喫煙しに行ったりで戻ってくる人もいました。
そしてショータイム前にはチップの販売も。
当時は、出演のキャストたち自らがチップ券を持って客席を周っていました。
1束で1,000円のチップを売り歩き、いくつか売れる度にステージ脇の主催者のところまで売上金を持っていくという業務です。
映画館では初だったものの、公演出演とチップ売り自体は何度かやって慣れていたので
半ば押し売りのような形で(笑)、お客さまに売ったチップの売上を代表に渡していました。
そして公演時間になるとチップを売り歩いていたキャストたちは着替えスペースに戻ります。
公演がいよいよ開始。
オープニングらしい派手な音楽・照明と共に司会が公演開始の挨拶をします。
団体の歴史や今回初めて映画館で行うにあたっての想いなど、
なんかイイ感じのことを喋った後、
撮影禁止、キャストへのボディタッチ禁止など注意事項を説明します。
まさにアメとムチ。
そしてそこからは、本日の出演キャストの紹介です。
これは今自分が出演しているようなイベントと違う部分で、
当時はいきなりショーではなくキャスト陣のお披露目が必ず最初に行われていました。
キャストは「フレッシュな順」でステージに呼ばれます。
つまり新人がいればその子を最初にプッシュするわけですね。
自分も最初の方に呼ばれ、その後に続々と先輩が呼ばれて上がってきました。
司会の後ろにずらりと並ぶ若いキャストたち。
「さぁ、あなたは誰を選ぶ?」
気分は遊郭の顔見世です。
初めて来た方にも顔と名前を覚えてもらったところでキャストは一度はけ、各々のショーの準備へ。
ソロ演目やペア演目、3人演目などがいくつか繰り出され、締めくくりには全員演目という構成。
自分は確か、「はじめてのおつかい」風のソロ演目をやりました。
客席の何人かにあらかじめ野菜や魚(もちろん偽物)を渡しておき、
ショーが始まったらそれぞれの商品を取りに行き対価として一枚ずつ脱いでいくという、
発売禁止になった黒人の子どもの絵本みたいなことをやってましたね。
その他には、お互い褌になって蝋燭を垂らし合うという"雄の衆道"みたいなペア演目をする人や、
ビニールプールをステージ中央に置き、1人ローション風呂をやる猛者もいました。
全員演目は先輩のリードに身を任せて絡むだけ。
ストーリーとかは特にありませんでした。
ショーが終わったら解散、ではありません。
お客様によってはここからが本番だったりします。
ショータイムの次はお客様との交流タイムと称し、
万歩計を(自主規制)
〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜
それが終わったらいよいよチップタイムです。
チップを持っているお客様のところに一席一席丁寧に回り、
チップを挟み込んでいってもらいます。
(余談ですが、ある先輩は「チップ持ってない人にも全員平等に周ってご挨拶する」と言っていましたが、「じゃあチップの意味ねーじゃん」と思い真似しませんでした)
全て周り終えた人からステージに戻り、BGMに合わせて踊ります。
このBGM、実は今は無くなってしまった別のストリップ団体のテーマソングだったらしく、
司会の人の出身団体だったため思い入れのある曲のようでした。
その曲が終わると同時にチップタイムも切り上げ。
曲までに周りきれなかったキャストは強制終了です。(笑)
そして最後にお礼の気持ちを込めて写真撮影タイムがありました。
ショータイム中の撮影は一切禁止でしたが、
この時間に限ってのみお客さまによる撮影が許されます。
もちろん、顔出しNGのキャストは顔を隠して。
今だったら無料でキャストを撮影なんてうちではあり得ない風習ですが、
有料でチェキとかポラとかをやったところで時代的にそんなに売れなかったと思います。
撮影タイムが終わると、再び本日の出演キャストを1人ずつ紹介、
最後にみんなでお礼をしてその回の公演は終了です。
終わった〜〜
はぁ〜楽しかった〜〜〜
と余韻に浸れるのはお客様の側だけで、
我々は急いで着替えと荷物を買い物カゴにまとめて楽屋に戻らなくてはなりません。(笑)
なぜなら、直後に次の映画の上映が控えているからです。
映画館が暗くなり上映開始するまでに会場を出て2階へ上がります。
そこでようやくゆっくり衣装の片付けやチップの整理に取りかかれるのです。
④休憩中の過ごし方
1回目の公演を終えると時間に余裕ができます。
次のショーまではおよそ3時間。
………ものすごい余裕です。(笑)
まずは私服に着替えて衣装の整理、
そしてチップを袋にまとめて入れます。
現金チップはそのまま財布の中へ。
チップの合計は1日の最後に数えるので今は気にしなくても大丈夫。
そこからしばらく自由時間です。
空き時間の過ごし方はキャストによってバラバラ。
喫煙所に一服しに行く人、
映画館に戻り映画を見る人、
お昼ご飯を食べに出る人、
楽屋で寝る人etc...
次のショー時間までに戻って来られれば何をしていてもOKでした。
中には近場で適当に男を見つけて一発致して戻ってくるキャストもいました。
元気か。
自分は代表や先輩何人かと雑談していることが多かったかな。
しょーもない話ばかりでしたが(笑)
⑤公演終了
1回目の公演はお昼、2回目は夜で、
お昼の回のほうが客数も多く盛り上がっていました。
通常、演劇などでは千秋楽が最も盛り上がると思われますが、
夜の公演が終わる頃にはすっかりいい時間になってしまい客席はまばら。
きっと、遅くまで居られない家庭持ちの方や体力的に残れないおじいちゃんたちが多かったんだと思います(可愛い)。
帰って寝てけろ。
公演内容は2回とも同じなので、こなすだけで特に問題はありませんでしたが、
休憩時間が異様に長かったのでそちらのほうが疲れました。(笑)
2回目のショーを終えて荷物をまとめ、
チップの合計額を計算。
代表に報告に行きます。
2日目に出ない人はその場で精算されたギャラを受け取り荷物も持ち帰りますが、
自分は次の日も出演だったので荷物を置いたままギャラ受け取りも明日となりました。
劇場へ全員でご挨拶して退館したあとは、
近くの飲み屋で打ち上げ。
終電近くまでワイワイ楽しくやったものでした。
(そして2日目残留組は朝まで飲んでいました…)
次の日には全く違うメンバーでの公演でしたが、
流れは1日目と全く同じなので特にトラブルもなく終えることができました。
そしてそれ以降、定期的に公演は行われ
何度か自分も出演しストリッパーとして育てていただきました。
今の自分があるのは確実にあそこでの経験があったおかげですし、
何より役立っているのはこのnoteにたくさんのネタが書けることです。(笑)
⑥おわりに
ここの映画館での公演は年に何度かあり、
季節ごとに呼んでいただいたので
外出時には映画館近くの川辺を散歩して四季折々の自然に触れて癒されていたものでした。
今回お話した初公演以外にも、出演した数だけの濃くて面白い思い出がたくさんあります。
当初はノンケおやじと女装おやじのイチャイチャや喫煙所でのハッテンナンパなど衝撃の光景の連続でしたが、
幸か不幸かそういった刺激的な景色を楽しんでしまうのが朱雀ガラティア。
もっと面白いことが起きないかと探し続けているうちにメンズストリップ業界でも長い方になってしまいました。
残念ながらコロナ禍の影響もあり定期公演はもう行われていませんが、
当時のことを思い出すと懐かしさとシュールなおかしさが込み上げてきて思わずニヤついてしまいます。
これからも、このときの経験に勝るとも劣らないエキサイティングな「初めて」を求める人生はやめられません。
そして1980年代に始まったと言われる日本発の男性ストリップの文化をバトン式で繋げていける一助になればと日々思っているのです。
ハッ
随分大層なことを書いてしまった!!
まぁ、これからもこの映画館公演に関するネタは小出しで記していくので軽い気持ちでご期待くださいな。
ストリップ万歳!!
↓Youtube↓
https://www.youtube.com/channel/UCvAdRIhON5dM6CtY80OI1sg
↓イベント情報↓
Boys' Garden公式HP
↓朱雀Twitter↓
@Suzakujpn
↓朱雀インスタ↓
@suzakujpn
↓スキ♡してね!サポートも待ってます^ ^↓
タピオカミルクティーのタピオカ抜き飲みたいのでサポートしてください。 ♡