藤嶺 織音
【キャラクター名】
藤嶺(ふじみね) 織音(おりね)
【性別】
女性
【年齢】
外見は二十代半ば(実年齢は不明)
【種族】
人間の血を引きながらも、妖術を使う存在
【職業】
放浪者(職業なし)
【外見】
藤嶺織音は、長く美しい銀髪を持ち、風に揺れるたびにその髪はまるで冷たい月光を反射しているかのよう。瞳は透き通るような青で、どこか寂しげな光を宿しています。服装は、淡い灰色と黒を基調とした和風の衣装で、特に長い袖と軽やかな布が特徴的。動くたびに、その衣装は夜風にたなびくように彼女の後を追い、彼女の歩みはまるで影のように静かです。
彼女は、物理的な武器を持ちませんが、周囲に漂う空気には緊張感が漂い、ただ者ではないことが感じ取れます。胸元には常に一輪のアザミの花が差してあり、これは彼女が決して忘れられない過去と復讐の誓いを象徴しています。
【性格】
織音は冷静で感情を表に出すことが少ないが、その内には苦しみを抱えています。かつての奴隷生活によって彼女は心に深い傷を負っており、誰かに心を開くことはほとんどありません。しかし、弱き者に対しては思いやりを見せることもあり、無益な暴力や搾取に対しては断固として反対します。彼女の性格は静かで沈着だが、同時に非常に冷酷な面を持ち、特に自分や他人の過去に対する報復に関しては容赦がありません。
【背景】
藤嶺織音はかつて、戦乱の渦中に巻き込まれ、捕えられて奴隷として扱われていました。幼い頃、彼女の村は侵略を受け、家族や友人をすべて失いました。残されたのはただ彼女一人、そしてその後の人生は奴隷としての苦しみと屈辱の日々でした。無情にも彼女の体には何度も傷が刻まれ、自由を奪われた過去が彼女の心に深く根付いています。
奴隷生活から逃れたのは、偶然が重なったある夜のこと。彼女は奴隷商人たちの不注意をつき、逃亡を果たしますが、その過程で妖術に目覚めました。彼女の家系は代々妖と密接な関わりを持っていたが、その力は封印されていました。しかし、あまりに深い苦しみと怒りが、彼女の中の潜在的な力を覚醒させたのです。
それ以来、織音は復讐を誓い、奴隷商人や彼女を苦しめた者たちを次々と討っていきます。彼女の放浪生活は、その復讐の旅路でもあります。彼女が扱う妖術は、特に自然を操る力に長けており、風や影を自在に操ることができる。その力は、彼女の冷たく静かな外見とは裏腹に、猛々しくも美しい。
【能力:妖術】
織音が扱う妖術は、主に「風」と「影」を操るものです。
風術:彼女は風を自在に操ることができ、その風で敵を切り裂いたり、音を消して移動することが可能です。風を使って遠くから敵の動きを察知したり、敵の攻撃を反射させることもできます。
影術:影を使って自分の姿を隠し、まるで闇そのもののように動くことができます。影の中に潜むことで、どんなに明るい場所でも姿を消すことができる他、影を実体化させて攻撃に転じることも可能です。
【花言葉に基づく設定:報復】
彼女の人生における「報復」は、アザミの花言葉に深く根付いています。アザミは、彼女が最初に自由を手にした夜に目にした花でした。そのときのアザミは、荒れ果てた地に美しく咲き誇っており、彼女に「復讐」の象徴として強く刻まれました。織音の行動原理はすべて「報復」に結びついており、彼女が討つべき敵がいる限り、彼女の放浪は終わりを迎えることはありません。
そのアザミの棘のように、彼女はかつての苦しみを糧にし、誰にも頼らずに生きることを選びました。裏切り者や暴力に苦しめられた者に対して、彼女は容赦なくその刃を振るい、彼女の前に立つ者は皆、彼女の妖術によって無情にも討たれます。だが、それは単なる復讐ではなく、自らの魂を解放するための旅でもあります。
織音は、常に一輪のアザミを持ち歩き、それを敵の墓標に添えることを儀式のようにしています。敵を倒すたびに、彼女は新たなアザミを摘み、次なる標的に向けて歩みを進めるのです。
【現在の状況】
彼女は特定の住処を持たず、常に放浪を続けています。行く先々で弱き者を助けながらも、常にその心には「復讐」という冷たい火が灯り続けています。誰も彼女に近づこうとはせず、ただその背中に揺れるアザミの花と、彼女の後に残される静かな復讐の跡が、彼女の存在を語ります。
彼女が最終的に何を求めているのか、彼女自身もわかっていないのかもしれません。復讐を果たしても、その空虚さが彼女をさらに孤独へと追いやるでしょう。しかし、それでも彼女は歩みを止めず、報復の道を進み続けます。
[過去]
むかしむかし、あるところに小さな村がありました。その村には、山と川に囲まれた静かな日々が流れておりました。村人たちは貧しくとも助け合い、日々の糧を共に分け合いながら暮らしていました。その村に生まれた少女、それが藤嶺織音でございます。
織音は、幼きころから風の音を聴き、木々の囁きを楽しむ、ひときわ感受性の豊かな子でございました。両親はそんな彼女を大切に育て、何不自由なく暮らしておりました。しかし、平穏な日々は長く続くものではなかったのです。ある年の秋、突然にして村が戦の波に呑まれたのでした。
山の向こうから、野蛮な軍勢が押し寄せ、村を蹂躙いたしました。彼らは焼き討ちをし、村の人々を次々と捕えては奴隷として売り払いました。織音の両親も、無慈悲にも命を奪われ、家は炎に包まれました。必死に逃れようとした織音も、逃げきれずに奴隷商人に捕らえられてしまいました。
幼き彼女は何も理解できず、ただ絶望の涙を流すばかりでした。仲間たちは次々と鎖に繋がれ、運ばれていきました。遠く離れた地へと売られ、奴隷としての苦しき日々が始まったのでございます。
奴隷としての日々は、辛く、寒く、腹をすかせたものでした。昼夜を問わず重い荷を運ばされ、少しでも怠ければ無慈悲に打たれました。ごく少ない食べ物と水、休む間もなく働かされる生活は、幼き少女の心を次第に蝕んでいきました。それでも、織音は何とか生き延び、心の中にわずかな希望を抱き続けました。
そんな厳しい日々の中でも、織音には仲間がおりました。奴隷となった子供たちの中で、唯一心を通わせることのできた存在、それが「陽之助(ようのすけ)」という少年でした。彼は織音と同じく戦で家族を失い、奴隷として囚われの身となっていました。陽之助は織音にとって兄のような存在で、彼の明るさと勇気が、織音に生きる力を与えていました。
二人は重労働の合間に、風の音を聞きながら小さな夢を語り合いました。「いつか、この鎖を断ち切り、自由な世界へ行こう」と。それが二人を支える唯一の希望でございました。
ところが、その希望さえも残酷な運命によって引き裂かれる日が訪れました。ある日、奴隷たちの中で逃亡を試みた者がいたのです。商人たちはそれを許さず、厳しい罰を与えるため、目の前で見せしめを行うことを決めました。その対象に選ばれたのは、陽之助だったのです。
織音は何もできませんでした。陽之助は無理やり引き出され、残酷にも鞭で打たれ、そしてその命を奪われてしまいました。目の前で友を失った織音の心は、悲しみと怒りで燃え上がり、同時に絶望が彼女を押しつぶそうとしました。涙を流すことさえできず、ただその光景を見つめるしかありませんでした。
その瞬間、彼女の中で何かが壊れました。心に宿っていたわずかな希望も消え、代わりに「復讐」という冷たい火が灯ったのです。彼女は誓いました。陽之助の仇を討つため、そして自分を苦しめた者たちすべてに報いを与えるために。
その日を境に、織音は以前の少女とは変わってしまいました。彼女は奴隷としての生活を耐え続けましたが、その胸には冷たい怒りと復讐の炎が燃え続けていたのです。そして、ある嵐の夜、彼女はついにその力を解放する時を迎えました。織音は風の力を操り、奴隷商人たちを次々と打ち倒し、その鎖を断ち切ったのです。
逃亡の途中で、彼女は一輪のアザミを見つけました。その棘のように、織音もまた誰にも侵されない強さを手に入れたのです。アザミは彼女にとって復讐の象徴となり、彼女の心の中で決して消えることのない「報復」の花言葉が刻まれまたとさ。