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時が止まった…

窓からさしこむ光で目が覚めた。秋の陽射しが部屋の奥までさしこんでいる…思いがけないほど早い時間だ。

陽射しの熱さを感じながら、窓を開けるとひんやりした空気が流れ込んできた。

もう秋なんだ…
きっぱり起き上がって、きぱきぱ身支度を整えはじめたことに驚く。お休みの一日がこんなふうにはじまってしまうなんて!急な時の流れを感じて、ちょっと不安になっているかも?

ふと、ひとりの朝食がさみしくなり、近くのコーヒーショップにでかけた。

トーストとゆでたまご、ミルクコーヒー… う〜ん、いい香り…久しぶりのモーニングセットがひんやりした朝を楽しくしてくれた。

嬉々として…卵のからをむく、バターがとけこんだ厚いトーストをちぎる…朝のジャズもいい…時の流れが軽やかになる。

カップを片手に、それとなくまわりを見廻すと、さまざまな表情でそれぞれの朝のひとときを過ごす人がいる。パラパラと塩をふりかけ、卵をパクッ!朝日のようなオレンジ色のきみは素敵だ…卵に語りかけて、目をあげたまま…時が止まった!

マリリン・モンロー!

白い壁にくっきりと浮かびあがる横顔、そブロンドの髪…映画も見たことがないし、写真だってまともに見たことがないのに.…いくつかのテーブルを隔てた薄暗がりの向こうにいるのは…
マリリン・モンローだと…わかった。

魅惑のオーラを纏ったマリリン、マリリン・モンローでしかありえない美しさがそこにあった!伝説のマリリン・モンローの魅力がは2021年日本の片隅にまで確かに届いている…

この途方もない美を得るために、いったい何を差し出したのだろう?たった一枚の写真でさえ、現実の儚い人生を圧倒するには充分なのだ。

悪魔の囁きが甘美に響く…時よ止まれ!君は美しい!…人生は儚く、呪いは永遠に…

息が止まるほどの愛らしさ、目を離せなくなる魅力、世界中をとりこにした〝マリリン・モンロー〟旋風…スターの輝きとひきかえに、悪魔に差し出してしまったのはなんだろう…?

時が流れても、深い闇のなかでマリリンは輝いている。悪魔は約束を果たしたのだ。私たちはマリリンの美しさに魅了され、マリリンの不幸せな人生を瞬時に重ねあわせ、悪魔の力に感嘆し、ため息をつくしかない。

秋の朝、近くのカフェでマリリン・モンローと出会った。






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