【舞台】ウーマンインブラック(演劇って、俳優のコミュ力の高さを存分に楽しめて最高だよね)
これを読んでいる人は、
『生でお芝居観るの楽しい?』
と質問されたこと、または、質問したことはあるだろうか。
まずは、質問されたことがある方。そう、そこのあなたです。
なぜ、我々は、この質問に対して、モゴモゴとしてしまうのでしょうか。あ、モゴモゴしませんか。モゴモゴしているあなたは、まあまあお芝居を生で観る活動をしているのではないでしょうか。しませんか?ほう。私はするんですよ。すみません。自分の話ばかりして。
では、おもしろさを語る民が増えた昨今ですが、あなたは、この楽しさを適切に説明できますか?
私の母は、その異常な観劇回数を祖母から指摘され、『映画は何回観ても同じだけど、舞台は毎回違う』と回答していました。私が小学生の時でした。
当時の祖母の関心事は、おそらく、”何度も同じ芝居を観るのか”という純粋な興味ではなく、”なぜ何度も家を留守にするのか、小学生の娘がいるにも関わらず”という叱責を含む質問であると、現代の私は想像できますが、そんな相手の前提などは私の想像ですし、母も回答する必要はないでしょう。そう思えば、私の母の回答は、極めて純粋な回答だと思います。純粋に、演劇・お芝居の良さを語った人の回答なのでしょう。
しかし、目の前の相手が、少し芝居を生で観ることに興味を持った人で ない限り、そのような回答が、相手の心を動かすキッカケにならないことは、あなたも理解できるのではないでしょうか。なぜなら、それらの人は、一つの芝居を何度も観ることを前提として、これらの質問をしていないからです。なんとコミュニケーションの難しいことよ。
そんなあなたが今後、相手を説得し得る舞台を私は観ました。これはその感想です。よければ、後半も読み進めてください(相手を説得したいなんて傲慢な態度を私が持っていることも自覚しつつ、、、)。
次に、『生でお芝居観るの楽しい?』と質問したことがある方について思いを馳せてみます。そうすると、あなたは、以下の3つに大きく分かれるのではないでしょうか。
① 身近な人が尋常でないほど観劇しているその理由を知りたい
② 観劇したことがなく、興味があるが、思い腰が上がらない
③ なんとなく
①の質問を抱く方は、おそらく、”観劇してみたいわけじゃないけど、身近な人がそうする理由を知りたい人”でしょう。
②③の質問を抱く方は、おそらく”観劇してみたいorしてみたいかどうかもわからん人”でしょう。
②③に該当する方、ありがとうございます。このまま読み進めてください。
①の方は、目の前の方に向き合うことが先決かもしれません。こちらのページはそっと閉じて、相手の方が好きな飲み物とお菓子を購入して、それを手土産に、その方に会いに行ってください。いってらっしゃい。
さて、お芝居は生が面白いのか
私は、コロナ中、それ以降、お芝居ってなんで生で観る必要があるんだっけ?と思っていました。
懺悔します。私はケチなミーハーです。お芝居が好きな人間か、自分で判断できません。
なぜなら、私は配信という手段を知ってしまったからです。
人気の舞台はなかなかチケットが取れません。望んでも観劇できる機会を得られるか否かは運です。しかし、配信はすごい。通常チケットの半額以下で、舞台が観れます。また、希望する全員(配信環境を整えられるという条件付きだが)が観れます。
WOWOWはすごいです。人気な舞台ほど、配信をしてくれます。
U-NEXTもありがとう。課金枠も、無課金枠も、充実していて助かります。
チケットぴあや、イープラ、ローチケの配信サービスも助かっています。最近は、配信が充実していて、もうこれでもいいのではなどと思っていました。だって、配信でも、舞台は十分面白いもん。
ウーマンインブラックはすごいぞ
バカなタイトルから始まりますが、舞台ウーマンインブラックは、お芝居の楽しさを総動員した脚色がなされたように感じました。もう、お芝居を生で観る理由を聞いている野暮天には、黙ってコレを見せればいいのではないか。
ウーマンインブラックは、スーザン・ヒルの同名小説が原作となっています。ここで、”小説”ウーマンインブラックのあらすじ、”舞台”ウーマンインブラックのあらすじをを記します。
なるほど、並べても、わからん。
雑に解説すると、小説では、弁護士キップス(イギリス人)が怪奇現象に会う様子が一人称で語られています(独白開始)。
一方、舞台版では、弁護士キップスが”若き日に体験した”怪奇現象を家族に話すため、円滑に伝達するため、話し方講座を舞台俳優に依頼することから始まります(講座の受講開始)。
どちらも共通しているのは、主人公であるキップスが、イギリスでのクリスマス恒例行事、肝試し打ち明け大会で、”人生で一番怖かった話”のエピソードトークを家族から強要されることをきっかけに独白・受講がそれぞれ開始する点です。
おもろい文章だとしても人に伝えるのムズすぎ
ここで、舞台版が面白いのは、コミュニケーション・伝達の難しさが表現されることです。
舞台。
キップス役の俳優にピンスポが当たります。
そして、キップスが、単調に、原作である小説の冒頭を読み上げます。これ、全く観客の、私の脳内に入りません。想像できませんか。現に、Amazonの小説紹介ページの文章も、ナタリーの芝居のストーリー紹介も文字の羅列も、私たちの右から左に受け流されただけのはずでしょう。
観客が、キップスの棒読みのわからんさを体感した後、
指導係である舞台俳優役の方が「おいおい、そんなんじゃ伝わんねぇよ!」とツッコミが入り、舞台の本筋がスタートします。
お芝居って、こういう俳優さんのコミュニケーション力、伝える力を体感するためにあるのかと思いました。
「演技力のある俳優さん」とかいう時、演技力=擬態力だと思っていました。だけど、この舞台を観てから、”伝える力”も、演技力には含まれているのではなんて思いました。
ウーマンインブラックでは、演技素人のキップスによる「内容が伝わらない演技」と、プロの俳優による「内容が伝わる演技」が両方観れる構造になっています(もちろん、素人、プロというのは、俳優さんが演じて、そう見せていること)。今回、この両方を楽しめることが、お芝居を生で観る楽しさを強めているような気がしました。
この脚色をした、スティーブン・マラトレットさん、本当素敵。だいすき。
結局、生がいいのか
俳優さんの擬態力を楽しむためには、全然、お芝居、生じゃなくていいです。でも、俳優さんの伝える力を楽しむためには、生が楽しいのかなと思いました。
普段、俳優さんを見るのは、映画かドラマが多いでしょうか。これらの映像作品に比べて、演劇はセットが地味です。墓場!洋館の室内!池があるぞ!と俳優が言っても、目の前にある限られた空間では、どうしたって想像力がないと、厳しいものがあります。
そういった情報が足りない中で、自分の想像力を総動員して物語を楽しめる体験は結構楽しいです。
映画とかでは、難しくないですか。そして、お芝居を配信で観ていると、興醒めしたり、そこまで乗れない・話についていけないことがあります(これは、もしかしたら、私の集中力の低さが原因かもしれないが)。
また、そんな感動体験をくれた俳優さんの伝えるパワーに圧倒されるには、生の舞台が最高です。
だから、今後、お芝居を観るか悩んでいる方。お手数ですが、映画と舞台、両方の作品が観られるもので比較してみるのはどうでしょう。
最近だと、レミゼとか、レントとかなのかしら、、、
情報が少ない中で想像力を使うのって、子供の頃はよくやっていた。電車の窓から見える景色が移り変わる時、脳内で高速忍者を召喚し、ビル群や山々、田んぼの上をよく走らせた。だけど、最近はそんな想像力を使っていなくて、寂しい。そういう方はお芝居を生で観るの、楽しいと思います。
スマホを置いて、想像力を携えて、いったん、劇場に行ってみましょう。
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ウーマンインブラック、とにかく面白かったので、イギリス同様、日本でもロングランしてくれ!人気俳優さん2人だから難しいのだろうが!!!うわーーー!
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以下、役者さんに関する、いろいろ
・向井理さんは、とにかく足が長く、浮世離れした風貌があり、説明ゼロで「こいつ芸能関係の方!!!」と全身で表現していた。肉体が説得力を持つことってあるのね。と感動した。
・勝村さんは、とにかく擬態力も高すぎる。堅物の紳士から、おじいちゃん✖️2、3パターン、ノリノリのウェイターなどなど。ほぼ同じ風貌で、複数のおじいちゃん役を演じ分けたの何なの?私、そういうの漫画の北島マヤでしか観たことないけど!?
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