夫婦財産契約登記の実務(加筆中)
加筆中かつ登記完了前ですが、先んじて執筆中の部分を公開します。(2024/12/05)
導入
司法書士としてやらなければならないであろう登記申請はなんでしょうか?
不動産登記? 商業・法人登記? いえ、「夫婦財産契約登記」でしょう!
ということで、先日、結婚前に夫婦財産契約登記の申請をしました。
中々、細かい内容まで記録したものもありませんので、今後の人のためにも先達のあらまほしきことなり、ということで備忘録まで。
申請の内容
まずは、司法書士たるもの申請情報から見てみましょう。
夫婦財産契約登記申請書
登記の目的 夫婦財産契約の設定
原 因 令和◯年◯月◯日設定
夫婦財産契約の内容
後記「夫婦財産契約の内容」に記載のとおり
契 約 者 東京都◯◯区◯◯町◯丁目◯番◯号
(夫となるべき者)甲
東京都◯◯区◯◯町◯丁目◯番◯号
(妻となるべき者)乙
添付情報 登記原因証明情報
婚姻をしていないことを証する情報
住所証明情報 印鑑証明書 代理権限証明情報
令和◯年◯月◯日申請 ◯◯(地方)法務局◯◯出張所 御中
代理人
東京都◯◯区◯◯町◯丁目◯番◯号
司法書士 丙
連絡先 090ー0000ー0000
登録免許税額 金1万8,000円
登記事項
まず、夫婦財産契約登記施行規則(以下「財登規」)においては、次の事項が登記事項と定められています。
(登記事項)
第6条 夫婦財産契約に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。
一 各契約者の氏名及び住所
二 登記の目的
三 登記原因及びその日付
四 夫婦財産契約の内容
したがって、登記官に登記事項の登記を促すために、登記申請書中において、上記の内容を主張する必要があります。
①「登記の目的」(財登規6条2号)
先のとおり、登記官に登記を促すためには、登記の目的を主張する必要があり、最初の夫婦財産契約をしたことの登記申請については「夫婦財産契約の設定」となると考えます。
これは、夫婦財産契約登記施行規則第8条(添付情報)においても「三 夫婦財産契約の設定の登記を申請するときは〜」とされており、申請にあたっては、この点を主張する必要があると考えられるためです。
②「原因」(財登規6条3号)※登記原因及びその日付
こちらについては、登記原因日付としては夫婦財産契約の契約日(特段の条件がない限り)を表示しつつ、原因については登記の目的と合わせて、「年月日設定」という振り合いになると考えます。
③「契約者」(財登規6条1号)※各契約者の氏名及び住所
こちらについても「契約者」として振った上で、夫婦財産契約の当事者である夫となるべき者と妻となるべき者について表示をします。
なお、財契規11条は不動産登記令(以下「不登令」)を一部準用しているため、代理人を立てずに本人申請をする場合には(申請人の表示を兼ねるため)氏名横に記名押印をする必要があります(不登令16条1項)。また、いわゆる実印を押印し印鑑証明書を添付する必要がある点に留意が必要です(不登令同条2項)。
④夫婦財産契約の内容(財登規6条4号)
夫婦財産契約の内容を表示する必要があります。なお、全文を表示する必要はなく、法定財産制と異なる契約部分(対抗力を主張すべき内容)のみを登記すべき事項として表示することで足りると考えますが、契約全文を表示したとしても登記は実行されると思われます。
なお、それなりの文量となるため、審査の観点からは、信託登記のように「『夫婦財産契約の内容』に記載のとおり」と後ろにまとめてしまう方が簡便と思います。
(夫婦の財産関係)
第755条 夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。
(夫婦財産契約の対抗要件)
第756条 夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
添付情報
その他の申請情報