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hi_mitsuke
『コロコロ変わる名探偵』
舞台は古びた旅館。数人の宿泊客が探偵に呼び出され、一堂に会した。
探偵は「すばり犯人はあなたですね」と言って一人の男性を指差した。
疑いの目を向けられたスズキは大きく首を振って無実を主張した。
「僕はやっていない」
「しかし、事件現場の防犯カメラには眼鏡をかけた男性がしっかりと写っているんですよ」
すると、女性客であるタムラが「スズキさんの他にも一人眼鏡をかけた男性がいますよね」と言って、探偵を見た。
「え、他? まさか、探偵であるこの私を疑っているのですか? そんな馬鹿な・・・」
そして、タムラの次の一言が疑いを確信へと変えた。
「探偵さん。あなたの着ているシャツ、所々赤い染みがありますよ。ずばり犯人はーーーー」
タムラが犯人を指差そうとすると、探偵がその言葉を遮って、声高らかに言い放った。
「ずばり、犯人は私だ」
柱の影から一部始終を見ていた警察は探偵の「一人芝居」が終わると、「一人」しかいない室内へと突入した。