中日はなぜ、根尾をコンバートさせるのか?~ドラゴンズ冬の育成プラン~
みなさまこんにちは。@suwaharu07と申します。
先に結論から書きますが、「根尾がショートを諦めた」とは一切考えておりませんので「根尾ショート派」の皆さまにおきましては安心して読んでいただければ幸いでございます。
さて、次に更新するときはドラフトの振り返りをやりたいな、と思いながらnoteを放置してきた私ですが、飛び込んできましたね。中日ファン的ビッグニュース。
(サムネ画像の引用元はこちらです)
高校時代の根尾くんはピッチャーとセンターとショートを務め、いたずらっ子な某スポーツ紙に『プロでは捕手育成プラン!?』なんて書かれたこともありました。
ですが、この1年間は殆どショートです。上に引用した記事によれば
『今季ウエスタン・リーグで三塁の守備を1イニング経験した以外は全て遊撃を守った』らしく、思い返せば試合以外もショート・ショートで稀にセカンドの位置で守備練習をする程度だったのではないでしょうか。
上記に引用した記事の中では与田監督が
『今年1年を終えて改めて感じたことの一つにセ・リーグでは複数のポジションを守れることが非常に大きいと思った。選手には秋のキャンプでそれぞれの可能性を広げてもらいたい』
『宮崎では今までやってきたことに集中してほしかったし、何かを始めるのならきちんと練習からやった方がいい。沖縄では今までやってきたことを継続しながら自分の幅を広げてくれたら』
と発言したように書かれています。
これは模範解答だと思いますが、自分的には「もう1コ」あるんじゃないかな、と。
「どうして根尾をこの時期にコンバートさせるの?」
の問いには2つの要素を解答すべきであり、一方が欠けたら10点中の5点しか貰えないんじゃないかと。そう思いながらこの記事を書いております。
さて、上記引用の与田発言を見返してみると『プレーと起用の幅を増やすため』のコンバート練習について、
①『なぜプレーの幅を増やす必要があるのか』≒『ショートの守備に集中させないのか』
②『なぜこの時期なのか』
という疑問が浮かび、これらに対する解答が書かれていないんですね。
そこでちょっと待てよ、と。『セ・リーグでは守備位置の幅が意義を持つから』とか『宮崎から沖縄(シーズン→キャンプ)に切り替わるから』とかじゃないのかよ、と。そう思われる方はなかなか鋭い眼をお持ちだと思います。
ですが、もう少し深く考えてみましょう。複数の守備位置を守れれば確かに便利でおまけに本職ポジションの向上も見込めます……が、根尾の1コ上・高松くんの起用を何となく思い返していただきたい。
球団に限らず「ショートを務める選手」というのは、大抵複数の守備位置で起用されます。それは球歴や年齢に関わらず、殆どの遊撃手はショートを主体にしつつも他ポジションを何度も守って己の適正を見極めていくんですね。現NPBで最も守備力の高いとされる源田・京田もセカンドやサードでの実戦起用が幾度も見られました。
ところがプロに来てからの根尾はずーーーーーーーーっとショートです。オープン戦からフェニックスリーグまで、非公式戦を含めても試合中に他ポジションを守ったのは上述の1イニングのみではないかと思われます。(違ってたらごめんちゃい♪)
こんなに守備位置を動かないのは投手・捕手以外では非常に珍しいことです。それくらいショートにこだわっていた根尾が
『今更"プレーの幅を増やしたいから"でコンバート練習するの?』
って思っちゃうのは仕方がないと思います。別に宮崎とか沖縄とか関係ないやん、とか。フェニックスリーグにこだわらなくてええやろ、とか。試合に出さずに身体作れよ、とかね。
で、再びこの2つに戻ると。
①『なぜプレーの幅を増やす必要があるのか』
②『なぜこの時期なのか』
皆さま、答えは思い付きますでしょうか?
ヒントを提示します。
『どの時期の、どういう試合に根尾を起用したいのか?』
そこに与田監督が此度の根尾コンバートを決定した理由が隠されています。
はい、シンキングタイムスタートっ!
チッ
チッ
チーーーーーン(タイマーが鳴る音)
試験時間終了です。今回の"根尾問題"、解答はこちらのHPになります。
見出しがどこか怪しいですが、決して迷惑サイトではございません。
こちらは11月下旬~12月中旬にわたって開催される
2019アジアウインターベースボールリーグ
(通称「台湾ウィンターリーグ」)
の公式サイトになっております。
このリーグ、簡単にいうと
「アジア各国のプロ野球選手を集めて有望株同士で試合やろーぜ」
という大会なんですね。日本からは二軍チームが二手に分かれて参加する他、2020年のドラフト候補を多く含めた"社会人野球・疑似オールスター"も加わるリーグ戦なのです。
さて、台湾ウィンターリーグの日本版サイトを参照すると…
参加名簿に燦然と輝く『根尾 昂』の文字が!!
ではここで、同じチームに所属する内野手のポジションを細かく見てみましょう。
・増田 陸 →本業はショート。現在の起用はセカンド
・黒田 響生 →本業はショート。現在の起用は内野全て
・松田 進 →本業はショート。現在の起用はショート・セカンド・サード
・伊藤 裕季也 →本業はファースト。現在の起用はファースト・セカンド・稀にサード
・知野 直人 →本業はショート。現在の起用はショート・セカンド
・根尾 昂 →本業はショート。現在の起用はショート
・熊谷 敬宥 →本業はショート。現在の起用はショート・セカンド
いかがでしょう。皆さま、お気付きになりましたでしょうか。……はい、そうですね。自分からも、ここは声を大にして言わせてもらいたいと思います。
ショートばっかりやないかーーーーい!!!!!
『初めはショートとして獲得して徐々に他のポジションを練習させるのが野手育成の定石』を加味しても飽和しとるやないかい!!!!
ポジションどないすんねん!!!!
ついでに言うと外野手も3人しかいない!しかも山下はセンターの守備に殆ど就いたことがない!(違ってたらごめんちゃい♪)
海外でケガやコンディション不良あったらどうすんのこれ?
試合できんの?ピッチャーが野手のポジションに就かされたりしない???
と、いうことでお分かりいただけたでしょうか。
「どうして根尾をこの時期にコンバートさせるの?」
この問いに対する答えの1つは
『プレーと起用の幅を増やすため』
更に必要だったもう1つの答えは
『台湾ウィンターリーグでの出場機会を確保しやすくするため』
でした~~~!
このウィンターリーグ、どのチームから誰が台湾へ派遣されるか、というの異なるチーム同士で共有していないみたいなんですね。ある年において、『ショート本職が1人もいない』という異常事態に見舞われたNPB選抜チームが
「ショート陽川(神)」
「ショート岡本(巨)」
「ショート高橋(中)」
といった奇策を以てなんとか試合を成立させるということもありました。今年のウィンターリーグはその真逆の事態が起きてしまったということですね。
『なぜこの時期にコンバートなのか』という疑問もこれで解消されます。
ドラフトも終わり、チーム編成がひと段落した後に台湾ウィンターリーグへ派遣されるメンバーが発表される。参加名簿を見た中日ドラゴンズ首脳陣は少し驚いたかもしれません。
「おい、台湾に行くメンバー遊撃手ばかりやんか」と。
そこで考えるわけです。
「ショートだけの経験値だと試合に集中できないぞ」
「他のポジション練習させて試合の準備をさせないと」
「外野の人数ギリギリだから根尾がやらないといけなくなるかもな」
……と。
若手の育成が主目的のウィンターリーグですが、当然ながら呉越同舟となったチーム間で持ちつもたれつ。特定のチーム・特定の選手ばかりを贔屓するわけにもいきませんから、試合状況に応じて根尾がショート以外のポジションを守る必要がきっと出てくると思います。そんなときに、
「僕、プロでショートしかやってないけど大丈夫ですかね…」
なんてことだと「じゃあ君はベンチね」となって出場機会を失ってしまう。これはチームにとっても根尾個人にとっても良いこととは言えませんね。そういったリスク、または試合出場の機会損失に備えるため、今になってショート以外のポジションで練習を重ねているのだと私は考えています。
京田・堂上という強力な一・二番手がショートに座っている以上、遅かれ早かれ根尾は他ポジションにチャレンジしていただろうというのは疑いはありません。とはいえ、『これまでショート一本だったのに……』とか『根尾のショート守備じゃこうなるのは分かっていたよw』とかいった感想をお持ちになるのはいかがなものかな、と思ってこの記事を書きました。
まあ、関係者が明言しない以上は自分の考察もあくまで深読みの域を出ないのですが。「こういう可能性もあるんじゃない?」というのを探るのは楽しいことです。
てなわけで、
『選手のコンバートって色々な意図を持ってやるもの(かもしれないん)だよ!!』
と結論が出たところでこの記事を終わろうと思います。
あともう一つ。
台湾ウィンターリーグ、若手がいっぱいで面白いから見てみようね!
と言わせてください。
上述のショート陽川だったり、場違いのように打ちまくる打者ややたら牽制死する野手、NPB連合をバッタバッタと打ち取りまくる小兵社会人Pといった面白いものが沢山見られます。贔屓チームの選手に注目するのはもちろん、リーグ全体のプロスペクトが
一同に会するお祭りリーグでもありますので、折に触れて試合結果や映像などを楽しんでいただけると私もなんとなく嬉しいです。
個人的なNPB選抜の注目選手は
紅組投手:市川 悠太(ヤクルトの横手投手。高津監督の愛弟子)
紅組野手:野村 大樹(SBの内野手。小さな体から放つ大きな打球が持ち味)
白組投手:鈴木 博志(中日の投手。まだまだ伸び盛りの最速157㎞/h投手)
白組野手:増田 陸(巨人の内野手。身体を鍛えすぎてショートを守れなくなったと噂のゴリラ)
といったところでしょうか。特に最後の増田は内野手としては2019ドラフトで入札された森敬斗くんを超える素材なんじゃないかと思っておりますので、非常にワクワクお楽しみでございます。
根尾に隠れた主目的である台湾ウィンターリーグのダイマも達成できましたので、ここらで筆を置かせていただく存じます。
お読みいただきありがとうございました。
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