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兄の仕事を知らない。

兄の仕事を知らない。

とある書類に「家族が何をしているか」を書く欄があり、一番困ったのが兄の部分だった。兄は実家に住んでいて、何かしら仕事はしているはずである。が、兄が働く会社の名前はもちろん、業種や職種も知らない。というより、仕事に限らず兄への興味が全く無い。嫌いなわけでも喧嘩をしているわけでもないのだが。生年月日はかろうじて覚えていた。

ちょうどその書類を書いた数日後、知人ふたりと酒を飲んでいるときに、そういえば、と兄の仕事を知らないし興味関心もない、という話を振った。自分の中では、まともな家族関係を維持できていないコンプレックスを聞いてほしい気持ち半分、そういうのも面白いでしょという話のネタになればいいや半分、という感じだった。

知人のひとりは、「自分や家族が連絡しても、一切電話に出てくれない、LINEやメールまったく取り合ってもらえない」と言っていた。もうひとりは、「妹がてんで自堕落でどうにもならないし家族も半ばあきらめている」と言っていた。3人とも似たようなものだった。否、もしかしたら自分のところが一番まともかもしれない。一応普通に仕事はしているはずだし、話そうと思えば話せるのだから。

たまたま家族・兄弟についてそんな感じだったけど、こんなのはたぶんあらゆることについてそういうもので、自分にとって特別なコンプレックスだと思っていることは、案外誰もが似たようなそれを持っていたりする。自分の特別な才能だと思っているそれは、てんでちっぽけな、特別のようで特別でない何かだったりする。

ここ最近、ほぼ毎日「ウエストランドのぶちラジ!」を聴いている。10年以上前、芸人配信の黎明期からスタートしたラジオ風のYoutube/Podcast番組で、約30分の動画が500本以上、さらに約5分の"愚痴"(かつて平日毎日配信されていた)が1,000本以上あって無限に時間が溶けていく。

たまたま今日聴いていた2017年3月2日の配信回では、井口さんがマキバオーのつのまる先生のイベント参加で楽しい時間を過ごしている裏で、河本さんは井口さんの兄である「ちゃま」と飲んでいて、つのまる先生と比べたその落差がひどすぎる、という話で笑っていた。自分がほとんど連絡を取らない兄(しかも同業のお笑い芸人でもある)が自分の相方と酒を飲んでいる、というのはさすがに「特別」だ。。。


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