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本当に、さようなら松野

 かなり難航してました、TVシリーズ「金田一少年の事件簿」主役・金田一一(きんだいちはじめ=はじめちゃん)役のオーディション。多くの声優さんにマイクの前に立ってもらいましたが、もうひとつピンと来るものが無くどうしようかと考えていた時、「松野太紀です」たまたまスタジオに来てオーディションとしては本当に最後の参加となったのが松野太紀さんでした。
 監督の西尾大介さんも「声にツヤがある」との感想、ボクは説得力がある聞き取りやすい高めの音域に聞こえてて、スタッフ一同想いが一致。それが1997年2月はじめのコト。直後に席を設けてすぐ飲んで、その時にお酒の席でもあったので若い彼を松野、と苗字呼び捨てさせてもらい。それから何があってもどんなにセリフが多くても、はじめちゃんは松野、金田一チームの座長は松野。冒頭の写真は初期のオープニング映像からです。
 声優としては金田一の後番組「犬夜叉」の鋼牙役も忘れられません。そして金田一チームツアーにプライベート飲み、松野が始めた「タチヨミ」に三軒茶屋での食事。そして大阪芸術大学放送学科とご縁を丁寧に重ねるように、一緒に時間を過ごしてきました。
 ボクは彼を松野と呼ぶことに対して、実は小さなコンプレックスを抱いていました。それは先に書いたように今まで普通に「松野」と呼んできたのですが、実はそれ以前に彼と親しんできている三ツ矢雄二さんら仲間は、みんな松野の事を「タツヤ」「タッちゃん」とか呼びます。ボクもそう呼びたい、でも出会いの時期もあったし、役者ではないボクが持つ距離感もあってなかなかそうは呼べない。そんな日々あって一度松野に「みんなタツヤなのにボクだけ呼び捨て松野、ってダメだよね。なんて呼べば良いかな?」と聞いたことがありました。そしたら「諏訪さんは他の人と違って松野、でいいよ。ボクが諏訪さんの事をみったん、って呼ぶのと一緒」と答えてくれて。
 いつも楽しく飲んじゃってると「みったん、ワイン飲み過ぎ〜」自分も思い切り飲んでるくせに。今もそんな松野の酔っ払っても良い声が、ボクの耳の奥に温かく残っています。
 この日記で3日間続けて書かせてもらいました、ボクにとっての親友松野、ありがとう。そして本当にさようなら。

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