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バクラクのお客様状況把握への取り組み - LayerX カスタマーサクセスチーム

こんにちは。LayerXの鈴木(@suuu)と申します。
この記事は、6月から始まっている #LXベッテク月間29日目の記事です。 前日の記事はy_matsuwitterさんの「Be Animalな縦とBet Technologyな横の組織づくり、これからのLayerX開発チームの目指すところ」でした。 https://tech.layerx.co.jp/entry/2022/07/08/080000

私は現在バクラク事業部 カスタマーサクセスという、バクラクサービスをご契約いただいたお客様が実際に業務がバクラクになっていただくための各種支援を行うミッションのチームに所属しています。
その中でCS Opsと呼ばれるカスタマーサクセスチーム全体の生産性向上にむけたシステム設計、オペレーション構築、データ分析などの活動を主務としております。

カスタマーサクセスはお客様の状況を的確に捉え、状況にあったアクションを実施することが重要(「アクションしない」という意思決定も同じく重要)ですが、お客様の状況を的確に捉えるというのが言葉でいうのは簡単ですが、実行・実現するのはかなり困難なことであると感じます。

2022年1月に入社して以降、お客様状況把握に向けて試行錯誤しながら取り組んできた施策をいくつかご紹介させていただき、同様にお客様状況把握に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

今回ご紹介する内容は特に以下の方々に参考になるかもしれません。
・BtoB SaaS企業(サービスリリースから1~3年くらい)に従事されている方
・カスタマーサクセス職に従事されている方

なお、記事の内容はカスタマーサクセスとしての具体的な管理指標ではなく、管理指標を可視化するための仕組みに重点を置いています。

【施策1】Redashによる個社別ダッシュボード作成 および Salesforce→Redashへの遷移リンク設置

背景

カスタマーサクセスチームでは、バクラクサービスをご契約いただいたお客様に対し、本格運用開始に当たって必要な初期設定や便利機能の紹介を行うキックオフMTGという形で提供しています。
ご契約前には必ずトライアルという形でバクラクサービスをお試しいただく期間が設けられており、ご契約に至った時点ではお客様毎に理解度・設定状況にバラツキが発生します。

よってキックオフMTGではお客様の進捗に合わせたご説明をするため、事前にお客様の設定状況を把握する必要があるのですが、私が入社した時点ではお客様の環境を目検で確認する運用になっており、確認工数が非常にかかってしまうという問題がありました。

施策概要

お客様毎のバクラク設定状況可視化にあたり、既に稼働していたRedashにてお客様個社毎の設定状況がパッと一覧でわかるようなダッシュボードを作成しました。
Redashのパラメータにお客様IDを入力して実行することで、お客様毎の状況を瞬時に切り替えてみることができるようになっています。

お客様状況可視化のためのRedashダッシュボード

またRedashダッシュボードを開く際、毎回お客様IDを入力する手間を省きたかったため、カスタマーサクセスチームでもよく利用しているSalesforceにRedashのリンクを設置し、そのリンクをクリックする際にお客様IDもパラメータに動的に組み込むようにしました。
これにより、リンクをクリックするだけで閲覧したい対象のお客様の情報が一発で表示できるようにしました。

Salesforce→Redashへの遷移リンク設置 & お客様IDのパラメータ動的組み込み

効果

実際に私自身もキックオフMTGを担当する際にRedashダッシュボードを使って状況確認を行うのですが、確認にかかる工数は目検で確認するよりも体感で1/5程度まで削減できたかなと思います。
実際、メンバーからも工数削減につながったという声を多数いただきました。

SalesforceとRedashはスタートアップ界隈ではメジャーなサービスであり、利用中の方も多くいらっしゃると思うので手軽に実践できておすすめな施策です。

【施策2】契約更新対象のお客様状況可視化ダッシュボード

背景

バクラクの契約は通常、年間契約かつ自動更新となっており、カスタマーサクセスチームでは契約更新を迎えるお客様への更新確認およびプランアップのご提案を行うリニューアルマネジメントを実施しています。

契約更新のタイミングでは、契約を継続せず解約となってしまうリスクはもちろんありますが、一定以上のご利用状況であればより上位プランをご提案できる機会でもあるため、更新対象となるお客様の状況を正しく把握し、適切なアクションをとっていく必要があります。

リニューアルマネジメントにおいて施策実行以前には以下のような課題がありました

  • 毎月多数のお客様が更新対象となるため、状況を把握するのに非常に工数がかかる

  • 「バクラク利用データ」と「契約データ」がそれぞれデータソースが分散しており、必要な情報を見に行くのに別々のシステムを見に行く必要がある

施策概要

バクラク利用データはAmazon Aurora、契約データはSalesforceに点在していたのをRedashで直接接続し、RedashのQuery ResultsでそれぞれのデータをRedash上でマージして集計しました。

更にRedashで集計した結果をGoogle Sheetに転記することで、更新対象のお客様へのアクションに必要な情報を一元的に把握できるようになりました。

契約更新対象のお客様状況可視化ダッシュボード

Redash + Google Sheetと比較的ライトな構成ですが、リニューアルマネジメントの業務プロセス自体を常にアップデートしている最中で、見たい情報の内容やフォーマットを適宜修正する必要があったため、柔軟に対応ができるこの構成はベターな選択肢でした。

効果

具体的な効果を数値化できてませんが、リニューアルマネジメントに関わるメンバーのお客様状況確認の工数は削減できたと実感してもらえております。
どうしても見たい情報は増える一方になってしまい、ダッシュボード自体の可読性は落ちてしまうため、見るべき情報の精査やフォーマットの改善は現在も継続中です。

【施策3】BigQueryへのデータ集約 および リバースETLによるSalesforce/HubSpot上でのバクラク状況可視化

背景

カスタマーサクセスチームはお客様との様々な接点を持っており、それらの接点から生まれたデータは、多種多様なシステム、ツールに保管されています。

具体的なツールと保管しているデータ例に上げると

  • AWS:バクラクプロダクト全般の利用データ

  • Salesforce:商談、活動、契約、お客様カルテ情報など

  • HubSpot:カスタマーサクセス内における契約済みのお客様に向けたマーケティング施策情報

  • Freshdesk:お問い合わせチケット情報

  • KARTE:プロダクト内ツアー閲覧情報、NPSアンケート情報など

  • Airtable:お客様の機能開発要望

  • Google Analytics:プロダクト/ヘルプサイトのアクセス情報

特にAWS、Salesforce、HubSpotに保管されているデータはお客様の情報を捉える上では非常に重要であり、メンバーの利用頻度も高いのですが、それぞれツールが分断しており、横断した集計や分析をするのにとても苦労していました。

施策2でご紹介したようにRedashを介してQuery Resultsでマージすればある程度の集計は可能なのですが

  • そもそもSQLが書ける人でないと望んだ集計ができない(ので、アナリストが都度SQLを書いて抽出・集計する必要がある)

  • Query Results自体はSQLiteがベースになっており、分析でよく利用する関数が使えなかったり、そもそも処理するデータ量が多すぎると動かない

といった問題がありました。

施策概要

各種ツールにデータが分散している問題については、各データソースからBigQueryにデータを集約する形としました。
データ転送にはprimeNumber社のtroccoを、BigQuery内でのデータ変換にはdbtを利用しています。

またSQLが書ける人でないと望んだ集計ができない問題については、普段チームメンバーもよく利用しているSalesforce/HubSpotのレポート機能で集計ができるよう、BigQueryからSalesforce/HubSpotへのリバースETLをEmbulkにより実現しました。

データ基盤の詳細については、基盤構築を一手に引き受けてくれたデータエンジニアが後日記事にしてくれると期待しています。

データ基盤概要

効果

アナリストを介さずとも普段使い慣れたレポート機能でお客様のバクラク利用状況を集計・分析できるようになったため、分析にかかるリードタイムを短くするとともに、数字に触れる裾野を広げることができてきました。

またSalesforce/HubSpotへ転送したデータを起点に異常検知→アラート通知といったワークフローを組むことができるため、集計/分析だけでなくメンバーへのアクション誘導までを自動化することも今後検討しています。

リバースETLの仕組み自体がリリースして間もないため、引き続き効果検証しつつ改善プロセスを回していく予定です。

これからやっていきたいこと

お客様接点データの集約および活用
施策3でもご紹介した通り、カスタマーサクセスチームが取り扱うお客様接点データは幅広く貴重な内容であるため、可能な限りBigQueryに集約→活用していくことで、お客様の解像度をより高め、適切なアクションが実行できる土台を構築していきます。

カスタマーサクセスチームに閉じない事業部全体へのフィードバック
サービスご利用中のお客様に関する定性/定量データをマーケティング、セールス、開発それぞれのチームにフィードバックすることで新規のお客様を呼び込むためのコンテンツやプロダクトの改善につながる示唆を得ることができます。
LayerXはお客様への価値提供に向けてチームの職域を超えて連携する文化があり、その文化をより良く発展させるべく、カスタマーサクセスで得られた知見を事業部全体に展開していく仕組みを作っていきたいと考えています。

おわりに

カスタマーサクセスチームではバクラクをお客様へ一緒に届けてくれる仲間を引き続き募集しておりますので、少しでも興味が湧いてくれた方はぜひお話しましょう!

またバクラク事業部以外にもFintech事業部やPrivacyTech事業部でも絶賛採用中ですので、採用ページからお気軽に面談のお申し込みをどうぞ。

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