『星の商人』を読んで
Beauty Japan Bay Global 2024の事前審査で『星の商人』犬飼ターボ著を読んだ。
あらすじ
2人の若者レキとスタムが大商人を目指し、旅をしている。
ある町の商人の紹介で、2人は賢者と出会う。そして2人は大商人になるための賢者の教え(成功の法則)が書かれている羊皮紙を手に入れる。
はじめ、そこには『他の成功は己の成功』だけと書かれていた。
実はこの羊皮紙、賢者の教えを1つクリアする度にまた1つ、もう1つ…と教えが浮き上がんでくる。
レキは素直に言葉を受け取り、成功への道を進んでいく。
スタムは成功者にはなれなかったのか?
この本を読み終えた時、1つの疑問が浮かんだ。
それはスタムは成功者にはなれなかったのか?という疑問だ。
私の答えは「ノム(NO)」だ。
成功者になれたと思う。
スタムは成功を求めていた1人の若者である。
成功を求める者が人を襲ったりするのだろうか。
オーランドのもとで大商人になると決めたことで歯車が狂った。
思い返した時にはすでに時遅しで、引き返せなくなった。
成功したいけど、まだ成功していない自分への焦り。
そんな葛藤がスタムにあったと考える。
スタムが成功をするには?
スタムは「自分が成功するには自分以外の人間を失敗させることが必要」という意見を持っている。
成功しない人の考え方だろうと一見思いがちだが、実生活ではこのように思う場面はたくさんあるのではないだろうか。
例えば、受験である。
自分が志望校に受かるためには、誰か1人が落ちなければいけない。
勝者がいれば必ず敗者がいる。
勝負事のとき、人は相手を応援できるのだろうか。
私が学生時代の時はできなかったし、今でも勝負事になると分からない
Beauty Japan(BJ)に出場している今でも迷うことがある。
BJファイナリストは外見も内面もとても素晴らしい方々だ。
自分と向き合って、殻を破って、どんどん輝いていく。応援したくなる人ばっかりだ。
しかしBJは残酷なことに順位がつく。
1次審査を勝ち残った人が2次審査に進み、グランプリ、その他の賞を獲得する。
BJに出場したからには1次審査を通過したい。
2次審査にいってグランプリ・いくつかの賞を獲得したい。
でもその分、誰かが外れていく。
そんな自分をやましく感じたり、良くないと思うことはある。
しかし賢者の言葉と著者のあとがきを読んで救われた。
共存の世界と競争の世界どちらがいいのか?という問いに
「どちらも正しいのだ。誰にとっても信じた世界が真実の世界だからのう。」
という賢者の言葉。
そして
「他人の失敗を望んでしまう自分
独り占めしたくなる自分
自分ひとりだけよければいいと思う自分
もし、そんな自分に気がついても責めないでください。
競争で傷ついた自分自身なのですから。
もしも見つけたなら、恥じたり、罰したりしないで、優しく抱きしめてあげてください。」
という著者の言葉だ。
まずは今の自分を受け入れること。
やましい、良くないと自分を悪く感じたとしても、責めずに「そういう時もあるよ」と自分を認めてあげること、抱きしめること。
スタムは海賊になり、終いにはレキを襲い、その罪で死刑になってしまう。
スタムが自分の人生に後悔をしているならば、生きているうちに引き返せなかったのかと思う。生きているうちであれば、どんな修正もきくからだ。
しかし、勝負の世界で生きようと自分の選んだ道をぎゅっと抱きしめて、これで良かったんだと思えたら、それは成功といえるのではないだろうか。