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Taxua山の製茶
Taxua(タースーア)山のお茶は、独特なお香の香りがある。ロット違いで青っぽくなるものがあるが、安定して間違いないお茶だ。
地域の名士的存在のアクーさんのお茶が好きだ。
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3月終わりから、緑茶の製茶が始まる。
摘んできた茶葉をむしろに広げて1日置く。
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ベトナムの茶葉はアッサム種(Camellia sinensis var.assamica)で芽が大きい。ちなみに日本は中国種(Camellia sinensis var.sinensis)の小さい茶葉だ。
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家族総出で作業に入り、成人したばかりの子どもたちも、一人前の茶師の顔で殺青する。
熱源は薪の火で、温度が高ければ薪を抜いて、低ければ足す。
温度計は使わない。
釜を熱して茶葉を放り込むと、ぱちぱちと音を立てて殺青が始まる。
殺青では、火を通すことで茶葉の酸化酵素を殺す。弱いと酵素が死にきらないから後の工程で酸化が進み、強いと火の香りが勝って焙じ茶みたいに単一な味になる。品質と味を決める、一番重要な工程だ。
火が入ると、茶葉から高温の蒸気が上がる。香りがたまらない。
焦がさないよう、慌てないで茶葉を上下にまわす。
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殺青が終わると茶葉をとり出し、強い火のまま、次の茶葉を投入する。とり出した茶葉は竹ザルの上で、軽く揉捻する。揉捻とは、茶葉の芯に残っている水 (芯水) を、殺青で乾燥した表面に行きわたらせることで、葉の中の水分を均一にする作業だ。揉捻により乾燥の工程で効率よく茶葉を乾燥できる。芯水が残っていると、製茶後に水がじわじわと表面に出てきて、劣化の原因となる。
日本の釜炒り緑茶に比べると、Taxua山の殺青温度は低く、揉捻は弱い。
高温に耐えて火傷寸前で殺青し、徹底して揉捻する日本の釜炒り茶と比べて、やわやわな製茶に驚く。それでも仕上がったお茶はしっかり火が入っていて、6年前のお茶も劣化することなく熟成できている。
茶葉がもつ力が違う。
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薪の火が弱くなり、釜の温度がさがったところで、揉んだ茶葉を戻して乾燥に入る。日本なら乾燥機に入れてスイッチ押して終了だが、Taxua山では、ここからの乾燥が重労働だ。ひたすら焦がさないように、乾燥するまで茶葉をまわす。男性が殺青、女性が乾燥を担当する。
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お母さんは釜の横にスマホを置いて、誰かと電話しながら、ひたすら作業する。私たちがおじゃました時、殺青を終えたお父さんとの宴会が盛り上がってる間も、ずっと乾燥していた。
元主婦の私はさすがに黙って見ていられなかった。余計なお世話と思いつつ、疲れ切ったお母さんに変わって乾燥を仕上げた。
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そして朝の5時、お母さんは誰よりも早く起きて、ニワトリのエサを作る。黙々と働く姿に頭があがらない。
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