J-POPの英語歌詞・字幕を味わう Part3 Foorin(米津玄師)「パプリカ」②
本シリーズの意図
こんにちは、すうじょうです。さて、今回は前回のFoorin「パプリカ」の英語版Foorin team E「Paprika」の歌詞を味わう続きをしていきたいと思います。毎度同じことを書いていますが、このシリーズでは、Youtubeにアップされている日本のアーティストの音楽動画の歌詞の英語字幕や全編英語の歌の歌詞、英語でセルフカバーしたものなどの英語を味わっていきます。それらは、アーティストが公式に訳したものから、Youtube利用者が訳したものまで様々あります。本記事では、アーティスト公式で訳したと思われる英語歌詞を中心に、文法はあまり気にせずにただ日本語をどのように英語へと変えたのかという部分に注目して、その英語歌詞を感覚的に味わって(訳に対する批判はしません)、同時にそこから英語の表現や単語を学んでいこうとするものです。注意点として、基本的に歌詞全体ではなく、一部のみを取り扱います。また、歌詞への感想は私個人の勝手な解釈で、人によって色々違っていいと思います。ちなみに私は英語はそこそこできる程度なので、分からない単語や表現もあります。そのときは、ネットや辞書で調べて補います。(訳はDeepL翻訳を参考にしています)
前回の内容
本記事は、前回①の続きなので、気になった方は以下の記事についてもぜひ読んでいってください。
「Paprika」を味わう②
木陰で泣いてたのは誰
I think I can hear someone cry in the shade
ここも日本語と英語で歌詞の意味に差が生まれてますね。英語では、「陰で誰かの泣き声が聞こえそうだと思う」という表現をして、情景描写しているのに対して、日本語では過去の回想をしているように思われます。
一人一人 慰めるように
Don't worry Promise, there's no need to be afraid
ここでも、日本語の表現を英語ではより具体的に描写しています。英語では、「心配しないで 約束するよ、 怖がる必要はないよ」と実際に慰めています。これは、英語でリズムに合わせて歌えるようにするために歌詞を付けたしたものだと思われます。
喜びを数えたら
Come and count with me all the happy things
あなたでいっぱい
So much joy you always bring
ここは、英語での表現の仕方がうまいなと思いました。(上から目線にも感じられる書き方になってしまいましたが、尊敬の念をもって味わっています)ここでは、日本語を直訳すると、英語で意味が分からなくなる(特に2つ目)ので、意味を変えずに表現しているのが素晴らしいです。具体的には、「私と一緒に幸せなことを数えよう。あなたはいつも喜びをくれる」という風に英語で表現されています。特に、(喜びを数えたら、そのうちのほとんどは)あなた(との思い出)でいっぱいというのを、いつも喜びをもらっているという風に表現しているところがいいなと思いました。
帰り道を照らしたのは
Now it's time to go, I'll see you tomorrow
思い出のかげぼうし
Memories will light the way back home
ここも特徴的な部分です。日本語の2フレーズの内容は2つ目で訳し切ってしまっているので、頭に1フレーズ足しています。具体的には、2つ目で「思い出は帰り道を照らすだろう」と表現されています。(かげぼうしは英語で訳す際には表現できにのでカットしたと思われます)そして、追加された1つ目は、「そろそろ帰る時間だ、また明日」という風になっています。追加された部分も帰る直前の場面と考えれば、情景が浮かびます。このようなことは、英語でカバーする際に起こりうる問題の1つだと思います。世界観を崩さない歌詞を追加することが要求されるので、おそらく米津さんと相談しながら決めていくのが大変だったと思います。
会いに行くよ
I will run to you
並木を抜けて
Through the forest where we played
ここは歌詞の流れを踏まえつつ、訳されているのが特徴的ですね。ここの英語歌詞全体で、「みんなで遊んだ森を抜けて、駆け付けるよ」となっています。森に補足説明が追加されているのは、歌えるようにするためだと思いますが、森が遊ぶ場所だというのは前回①で味わった英語歌詞を踏まえているのでしょう。(青葉の森で駆け回る 遊びまわりの部分です)
歌を歌って
Singing songs we made
ここでも、英語で日本語の歌詞を具体的にしています。歌っている歌は、自分たちが作ったものだと明言しています。おそらく、ここも歌うために追加したのでしょう。
手にはいっぱいの 花を抱えて
And I will fill both hands with flowers along the way
ここでは、少しだけ歌詞を付け加えています。英語では、「両手を道中の花でいっぱいにする」(訳は私の意訳です)と表現されています。歌の舞台である森には、花が咲き乱れているでしょうから想像ができます。
かかと弾ませこの指とまれ
Let’s all come together now, point our fingers to the sky
これは、最後の部分の歌詞ですが、英語と日本語で内容が違います。ここに関しては、翻訳をしたネルソン・バビンコイさんの記事を読んでしまったので、あまり感想を述べにくいのですが、私も以下の記事の一部引用部分に同意します。
そして最後のフレーズ、「かかと弾ませこの指とまれ」。「かかと弾ませ」を無理やり英語にしなくても、子どもの弾むような気持ちが出せればいいのです。「パプリカ」はダンスでも人気ですから、最後のキメの振り付けを思い浮かべて、“point our fingers to the sky”と、空に高く手を突き上げるような表現にしました。「この指とまれ」ともリンクするフレーズだから、座りがいいと思いますが、いかがですか?
(ENGLISH JOURNAL ONLINE 『「パプリカ」英語版歌詞の作詞家ネルソン・バビンコイさんが語る訳詞の意図やメロディーの魅力』より)
まさに上の通りで、ダンスの空の一点を指さす振り付けとも一致し、日本語独特の「この指とまれ」を表現するために、「さあ、みんな集まって、空に向かって指を差そう」と表現されているのが素晴らしいなと感じました。
終わりに
今回は、Foorin Team Eの「Paprika」の歌詞を最後まで味わっていきました。ちなみに、全体的に子供でも歌えるようにというコンセプトで作られているので、学びたい単語はありません。①と合わせて振り返ってみると、英語でも歌えるように歌詞を追加して調整したりするのが、一部あり楽しめたので良かったなと思います。作詞家のプロの訳を味わえて、いたるところに感動があり良かったです。Part2の「Dragon Night」のときも似たようなことを言った気がしますが、英語の歌詞を味わうと具体的な情景描写がよりできるので、日本語と合わせて見ていくと面白いですね。次回Part4は、いつやるか不明ですがまた別の曲をテーマに味わっていきたいと思います。Part4ではどのような出会いと感動があるか楽しみです。では。
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