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J-POPの英語歌詞・字幕を味わう Part4 米津玄師「海の幽霊」①
本シリーズの意図
こんにちは、すうじょうです。やっと、手間のかかる企画記事の再開ができました。さて、今回は前回のFoorin「パプリカ」の次に、その作詞・作曲者である米津玄師の「海の幽霊」の英語字幕を味わっていきたいと思います。毎度同じことを書いていますが、このシリーズでは、Youtubeにアップされている日本のアーティストの音楽動画の歌詞の英語字幕や全編英語の歌の歌詞、英語でセルフカバーしたものなどの英語を味わっていきます。それらは、アーティストが公式に訳したものから、Youtube利用者が訳したものまで様々あります。本記事では、アーティスト公式で訳したと思われる英語歌詞を中心に、文法はあまり気にせずにただ日本語をどのように英語へと変えたのかという部分に注目して、その英語歌詞を感覚的に味わって(訳に対する批判はしません)、同時にそこから英語の表現や単語を学んでいこうとするものです。注意点として、基本的に歌詞全体ではなく、一部のみを取り扱います。また、歌詞への感想は私個人の勝手な解釈で、人によって色々違っていいと思います。ちなみに私は英語はそこそこできる程度なので、分からない単語や表現もあります。そのときは、ネットや辞書で調べて補います。(訳はDeepL翻訳を参考にしています)
今までのものもぜひ読んでください
この記事はPart1~3と続けてきた企画なので、気になった方はそれぞれの内容についてもぜひ読んでいってください。
今回の楽曲 米津玄師「海の幽霊」の紹介
さて、今回は米津玄師の「海の幽霊」ですが、この曲は最近人気急上昇中のアーティスト・米津玄師さんの楽曲です。そして、アニメ映画「海獣の子供」の主題歌として作られ、PVでは楽曲に合わせた素晴らしい映像がついています。壮大な雰囲気と凝った音楽を楽しめるので、もし、まだ聴いたことがない人がいればこの機会にぜひ聴いてみてください。
米津玄師さんの楽曲は、どれも新鮮さがありながら、細部まで凝っている曲が多いです。音楽の雰囲気はどんどん変わっていますが、そのメッセージ性あふれる歌詞は、ボカロ曲投稿者のハチだったころから変わっていません。米津玄師さんの他の楽曲も素晴らしいものが多く、ハチ時代の曲(Youtube公式チャンネル[米津楽曲と共用]とニコニコ動画)にも中毒性のある曲が複数あるので、ぜひ聴いてみてください。
この動画には、今回の本題の英語字幕が付いていて、その翻訳は「パプリカ」の訳も行った、アメリカ人のネルソン・バビンコイさんがしたみたいです。では、初めていきたいと思います。
「海の幽霊」英語字幕を味わう
あなたが迷わないように 空けておくよ
Its scent will guide you, so I’ll keep it safe
この部分は、日本語ではやや抽象的な歌詞ですが、英語ではこの前の歌詞で登場した「椅子に滲みついた潮風の匂い」があなたを導いてくれるからここを守っておくよという表現になっています。あなたが迷わないように空けておくというのが、意図を保ったまま別の表現で表されていますね。
軋む戸を叩いて
So push open the haunting door
ここでは、軋む戸というのが英語で恐らく呪われているドアと表現されていると思います。haunt自体には、怪奇的な意味以外にもよく行く、記憶に残るなどの意味がありますが、軋むと対応させているのでこれで合っていると考えています。その解釈をすると、軋んでいるというのは幽霊が原因ということになるのですかね。
なにから話せばいいのか わからなくなるかな
I just hope we don’t forget where our story starts
ここは、日本語と英語とで表現が少し異なります。なので、まず英語の歌詞を考えます。英語では、私たちの物語がどこではじまったかを忘れないことだけ信じている(望んでいる)となります。つまり、忘れたくないという思いを表した歌詞です。それに対して日本語では、いつか忘れてしまうかもという危惧を持っているようにも感じられる歌詞となっています。
あの夜を忘れはしない
Into my memory forever more
日本語では夜という具体的な内容がありますが、英語では私の記憶の中に永遠に残るといった内容になっています。これは、1つ前の星が降る夜に出会ったことというのを指していると思われます。
大切なことは言葉にならない
The most important things need no words
ここは、日本語では大切なことは言葉に表現できないとしていますが、英語では大切なことには言葉は必要ないと表現されています。つまり、英語歌詞からは大切なことを説明するのには言葉は必要ないんだよというふうに言っているように感じられます。いずれにしても、素晴らしい言葉ですね。
夏の日に起きた全て
A gift left from those summer days
この部分では、英語で夏の日々から残された贈り物としています。日本語では、抽象的に夏の日の思い出全体を指していると思うのですが、英語では詞的に表現されていていいですね。
思いがけず光るのは 海の幽霊
Shimmering bright in front of me
I saw the spirits of the sea
この部分は、日本語の内容を英語では2文に分けて表現されています。具体的には、目の前でチラチラ光っている、私が見たのは海の幽霊(精霊)となっています。このように表現されるのは日本語の歌詞の抽象性が理由だと思われます。
「海の幽霊」単語を学ぶ
今回の対象範囲内の英語歌詞の中で、取り扱っていない部分も含め個人的に勉強になると思った単語とそれを使った例文を並べています。今回は扱う単語数が少ないです。
ocean breeze 海風、潮風
例:You can smell the ocean breeze from this beach house.
この海の家からは海風のにおいが感じられます。
shimmer チラチラ光る、揺らめく
例:The moonlight shimmered on the pond last Sunday.
先週の日曜日、その池に月明かりがゆらゆら輝いていた。
終わりに
今回は、米津玄師の「海の幽霊」の一部の歌詞を味わっていきました。最後まで一気に扱うと、長くなるので続きはPart4の②で扱うことにします。
今回の英語字幕を振り返ってみると、Part1ぶりに英語カバーではない訳を味わうことができました。歌えることを気にしない歌詞というのはある意味で本当にふさわしい訳になっていると思うので、日本語と英語の表現方法の違いをまた具体的に学ぶことができました。次回もどのような素晴らしい表現たちと出会えるか楽しみです。では。