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J-POPの英語歌詞・字幕を味わう Part1 YOASOBI「夜に駆ける」①

本記事の意図

こんにちは、すうじょうです。さて、今回からやってみたかった記事をやりたいと思います。それは、タイトルにもある通りですが、まずは説明をさせてください。Youtubeにアップされている日本のアーティストの音楽動画の中には、英語やスペイン語など様々な国の言語の字幕が付いているものや全編英語の歌詞の歌、英語でセルフカバーしたものなどがあります。それらは、アーティストが公式に訳したものから、Youtubeの利用者が訳したものまであります。本記事では、できるだけアーティストが訳したと思われる英語歌詞を中心に、文法はあまり気にせずにただ日本語をどのように英語へと変えたのかという部分に注目して、その英語歌詞を味わって(訳に対する批判はしません)、同時に英語の表現や単語を学んでいこうとするものです。歌詞への感想は私個人の勝手な解釈で、人によって色々違っていいと思います。ちなみに私は英語はそこそこできる程度(現在TOEIC L&Rテスト 720点程度)なので、分からない単語や表現もあると思います。そのときは、ネットや辞書で調べます。

今回の楽曲 YOASOBI「夜に駆ける」の紹介

さて、今回はYOASOBIの「夜に駆ける」ですが、最近人気が上がってきた曲です。Youtubeでの公開は2019/11/16となっていますが、最近はTHE HOME TAKEも公開されており、海外の人たちからの人気もある曲です。万が一、聴いたことがない人がいたら素晴らしい曲なのでぜひ聴いてください。

また、聴いたことがある人でも、この曲の原作となった小説「タナトスの誘惑」(星野舞夜 著)を読んだことがない人がいるかもしれません。この小説はmonogatary.comに投稿されたネット小説で、小説を音楽にするユニットであるYOASOBIは、この小説を基にこの曲の歌詞とメロディーを決めています。読んだことがない人は数分で読めるので、是非1度読んでみてください。読んでから歌を聴くと、新たな発見があったり、きっと最初に聴いた時と曲の印象が変わるはずです。

この動画には、今回の本題の英語字幕が付いているのですが、概要欄を見る限りでは、字幕作成者が表示されていませんでした。(THE HOME TAKEも同様の歌詞で作成者未表示)では、初めていきたいと思います。

「夜に駆ける」英語字幕を味わう

沈むように溶けてゆくように
Just like I'm about to sink Just like I'm about to melt

直訳的に訳すと、まさに沈むように、溶けるかのようにとなって、about toを使うことで、歌詞から主人公の心の動きが見えてきます。

その一言で全てが分かった
But it was all I needed to understand.

1つ前の「さよなら」という言葉だけだったというのを受けて、Butで始め、それだけだったけどというのが強調されています。そして、それで全てが分かったというのをall I needed to understandと、理解するのにはそれで十分だったというのを非常に美しく表現されています。

日が沈み出した空と君の姿  フェンス越しに重なっていた
The sinking sun, the rising night sky overlaps with your figure behind the fence

日が沈みだした空という日本語を英語では「沈む太陽、昇る夜空」と対比的な表現で描写しています。それが、フェンスの後ろのあなたの「figure = 姿、形」と「overlap = 重なる」としています。特に、姿をfigureと訳すのが、場面の絵が浮かんできていいですね。

僕の心の全てを奪った
You stole my heart

有名な英語表現の一つですが、「あなたは私の心を盗んだ」というのは改めて表現が美しいですね。こんな言葉を一度は言ってみたいものです。

寂しい目をしてたんだ
You had a lonely gaze

寂しいというのはlonelyでいいですが、目というのをeyeではなく、じっと見つめる、凝視するという意味を含む「gaze = 視線」を使っているのがとても良いですね。彼女にしか見えない「何か」を寂しくじっと見つめているというのがこの歌詞からも伝わってきます。その正体は原作小説を読めば明らかになるはずです。

ありきたりな喜びきっと二人なら見つけられる
if it were the two of us together I'm sure mundane happiness could be found

文法は気にせずにとは言いましたが、あえてこれは触れます。仮定法が使われていて、主人公の現在の現実とは違うけれど、もし二人一緒ならきっとありふれた幸せは見つかるだろうという表現ですね。仮定法は日本語にはない考え方で、英語では現実で非現実をきちんと区別して話すので、歌の歌詞や日常生活でも仮定法がよく使われるそうです。

思い付く限り眩しい明日を
I give my utmost love in hopes for the dazzling tomorrow

これは、日本語と英語の間の違いをよく示した訳ですね。日本語は抽象的な表現に対して、英語では「眩しい明日を願って、最大限の愛をあげます」と日本語にはない「love = 愛」を使って具体的に表現しています。思いつく限りは最大限という訳でカバーしているみたいですね。このような違いから英語の方は告白のようなセリフにも聞こえます。

忘れてしまいたくて閉じ込めた日々も
Even the days that you hid inside, wanting to forget

忘れてしまいたいという部分はいいですが、閉じ込めた日々というのをあなたが内(心の中)に隠した日々と表現しているのがいいですね。

抱きしめた温もりで溶かすから
I'll melt with the warmth of my embraces

一見、何も感じないかもしれませんが、私も含め多くの日本人が訳にwillを使えないと思います。「I melt~」とした場合は、今現在の話になってしまいますが、willを使うと意思の意味が入り、溶かすからという言葉に思いがのせられているのがいいですね。

「夜に駆ける」単語を学ぶ

今回の対象範囲内の英語歌詞の中で、取り扱っていないものも含め勉強になると個人的に思った単語を並べています。

overlap 重ねる
例:The night sky overlaps with your figure.
  夜空と君の姿が重なっている。

fragile 儚い、壊れやすい、脆い
例:You are wrapped in fragile air.
  君は儚い空気を纏っている。

mundane ありふれた、平凡な
例:I lead a pretty mundane life.
  かなり平凡な生活を送っている。

utmost 最大の、最高の
例:You should pay utmost attention to the matter.
  その問題に最大限の注意を払う必要がある。

dazzling 眩しい
例:I can't see anything because of the dazzling sunlight.
  日差しがまぶしいせいで、何も見えない。

embrace 抱擁
例:I held my child in an embrace.
  私は我が子を抱き締めた。

終わりに

今回は、YOASOBIの「夜に駆ける」の英語字幕の一部(1番部分?まで)を味わっていきました。さすがに最後まで一気に扱うと、長くなり私の負担もすごいので続きはPart1の②で扱うことにしたいと思います。

今回の英語字幕を振り返ってみると、詞的で美しい日本語の歌詞をどうやって英語で描写表現をするのかという具体的な例を学べたり、英語で感情が入るような言葉には助動詞が必要だったり、仮定法で表現したりするといった日本語-英語間の感覚の違いをしっかりと理解していきたいですね。では。


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