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聴いたよ新譜2021 vol.15

お世話になっております。

忙しさにかまけて新譜を聴く時間がないというのはいつものことで、もはや聞き飽きたという方も多いのではないかと思います。勝手にやっていることとはいえ1ヶ月間素晴らしい作品と出会っておきながら何も残さないのも勝手ながら心苦しく、重い腰をあげて今月もやっていきます。

ただひとつ言いたいのは僕がライフワークとして10ヶ月も個人的に能動的に何かを続けるというのはかなり稀なことなので、知り合いの方はその辺も楽しんでいただけたらと思ったりしています。

年々祝ってくれる方も減ってはおりますが
トムヨークとフライングロータスの誕生日と同じ日に35歳になりました。彼らと同じ誕生日だということが数少ない自慢です。
今月もよろしくお願い致します。


01. James Blake - Friend That Break Your Heart

前作でのUSアーバン層との接近もありアングラ趣味の自分としては若干眉を顰める部分はありつつも、2019年のフジロックで観たアクトでは見事なまでに自身の持つ内省的世界観にしっかりと溶け込んだ楽曲によってその印象を上書きしていったJames Blakeですが

進みゆく道の完成度を圧倒的に高めた作品
まるで全曲クライマックスのように
陽のカタルシスが連続される

元来纏っていた孤高のアーティストとしての内省からUSのSSWとしての道へと進んだ前作から、大きな路線変更ではなく突き詰める形でそのイメージやメッセージや世界観を見せつけてくれた作品だと思います。どうしてもいまだに初期の空気を求める部分もなくはないですが、それぞれがアルバムのラストを飾れるようなカタルシスを感じられる楽曲が多く、よもや浄化されてしまうのではと思わせるほどパワーに満ち溢れていました。

02. 折坂悠太 - 心理

正直この10月で1番聴いたアルバムといっておかしくありません。フジロックでの無音ステージが記憶にも新しいですが、その後発表された今作はカバーアートのようにモノクロで暖かく、素晴らしい作品だったと思います。

整理され洗練された世界観
より「本物感」の増した作品of作品

どこか懐かしさのある仕上がりはこれまでと同様ながら、より一層曇ったフィルターでパックしたような一貫した空気感に包まれた中にあるように感じさせる。「鯱」のようなトリッキーな楽曲やSam Gendelが参加した「炎」なども印象的だが全体的に薄いダークさを感じさせるこの空気感に凄みすら感じてたまらなく好きでした。彼の作品でダントツ1番好きです。

03. Hovvdy - True Love

アメリカはオースティンのSSWデュオ、4枚目のアルバムです。アメリカンインディらしさあふれるサッドながら少しカラッとした感触に癒されました。

表題曲「True Love」が名曲すぎる
今年のUSインディを代表する曲だと思います

勉強不足ながら4作目にして初めて聴いたアーティストでした。正直あっと驚くような衝撃は無いのですが、まさに「アメリカンインディ」だなあと感じるサウンドの中に小技が効いていてとても好きなアルバムでした。ともすればもっとアメリカ臭く、もっとメジャー感のある作りになってしまいそうなところをいい意味で曇った、スムースでライトな空気感にまとめてくれているところがフィットしました。
そして何より表題曲True Loveがたまらなく素晴らしい楽曲でした。今月何度聴いたか…

04. BADBADNOTGOOD - Talk Memory

トロントのサイケデリックジャズバンド、BADBADNOTGOODの新譜。著名なアーティスト達とのコラボレーションを果たし名実ともに確かなバンドですが、個人的には今作が1番好きでした。

Arthur Verocaiとの邂逅
南米の色気やオーガニックさが際立つ
サイケデリックで熱い作品

今回も非常に豪華なゲストを招いてのアルバムで携わっている人達の名前に驚愕しましたが…その中でも特にカラーが強いのがブラジルのレジェンドプロデューサーとも言えるArthur Verocaiと思いました。Hiatus Kaiyoteの新譜もそうですが彼とのコラボレーションが生むパワーというか色を強く感じて最高でした。アーバンライクだったこれまでの作品とは微妙に異なる開けた印象がサイケデリックさに磨きをかけていて素晴らしかったです。

05. Grouper - Shade

A I Aで衝撃を受け、全てでは無いまでも何作も聴きました。これまでも素晴らしいアルバムをリリースしてくれてきたGrouperですが、今年の10作に選びたい素晴らしい作品でした。

アンビエントフォークの温度使い
ウォームとコールドの合間をうごめく
この時期に最高の素晴らしいアルバム

丁度寒くなってきたなあ…という時期にリリースされ「まさに今聴きたかった」と思わされたアルバムでした。凍てついた印象のある作品も多い中で今作は生音の暖かさと生々しく孤独な狭い空間を連想させるホワイトノイズが印象的。エフェクトの使い方も幻想的で、部屋にこもって聴くのもいいけど屋外で1人で聴いて暖をとりたい作品でもありました。孤独感と温かみを包括した寄り添ってくれる作品、この冬何度このアルバムを再生するだろう…と思ってしまう作品です。ずっと聴きたい。

06. Wet - Letter Blue

NYブルックリンのトリオ、Wetのサードアルバム。今作で初めて聴きましたが心地よいポップさを持ったアルバムでとても好きでした

インディらしさを纏ったドリーミーポップ
全体的な印象としね透き通っているけど
ボイスエフェクトの妙も感じる作品

ミニマルなサウンドながらキャッチーでポップス然としたメロディでクリアーな印象。そこに細やかなアクセントやボイスエフェクトが絡まり、ドリーミーなインディ要素が散らばってなんとも親近感が湧きました。これが例えとしてどうかわからないですが日本のミニマルエレクトロアーティストの作品と少し近く感じるというか…音選びがかっこいいなと思うんですが、その中でもボイスエフェクトによって楽器的に空気感を作っているのも印象的でした…絶妙な仕上がり。好きです

07. Sóley - Mother Melancholia

初めて知ったアーティストで何も情報が無いのですが、Grouper同様この季節に聴きたいまさに凍てついた作品でした

ダークで凍りついたサウンド
不穏で美しい世界観
全てが心地よくダウナーにしてくれる作品

今回初めて聴いたのですが、まずカバーアートとタイトル「Mother Melancholia」に完全に惹かれて再生しました。不穏な残響音の中に優しい声が響き、楽曲が進むにつれてより不穏さを増し不安を煽るメロディが逆に「これこれ〜」とさせてくれるような謎のハイ現象に突入してしまうところもありました。心地よくダウナーになるという新しい体験でした。

08. Circuit des yuix - -io

シカゴを拠点とするHaley Fohrによるプロジェクト、Circuit des Yeuxの6thアルバム。今作からMatadorに移籍しアルビニスタジオでの録音。カバーアートもなんともレコードライクなサイケデリックな雰囲気に変わってとても期待大でした。

スリリングで美しい歌と展開
エクスペリメンタルな流れも素晴らしく
作品通して温度が高く映画のような快作

エクスペリメンタルフォークというジャンルの中でも今作の持つ熱さというか温度感に映画を見ているようなスリリングさをひしひしと感じ一気に聴いてしまいました。ストリングスに美麗な歌声が混ざる楽曲が特に印象的でアルバムの節目の強いパンチになっており、アルビニ録音のいい意味でのえげつさもしっかりと持っておりつつそれ押しだけでない芸術性の凄すぎるアルバムでした…いや最高ですよこれは


10月もう終わりですか…


これまでの比ではないくらい忙しかったのですが、無事に今月もupできそうです。素敵な音楽に出会えたので来月も乗り切れそうかな…

がんばります
いつも読んでくださる方々ありがとうございます
1年なにかを能動的に続けるって自分にとっては大きい糧になりそうです。

では

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