闇芝居13期2話について

お疲れ様です

久しぶりのノートですが不躾に闇芝居の話をさせていただきたい。

闇芝居というのはテレビ東京で2013年に放送がスタートされたILCA制作の5分尺のショートホラーアニメで、今年2024年夏では13期となっているそこそこ息の長いホラーコンテンツだ。

自分は何の因果かこの作品を1期から今期まで欠かさず見続けている。それも見たという事実のみがそこにあるのではなく、なんとなくランダムに見返すと何期の話か、どのような話かなどが割とすぐに思い起こされるくらいには咀嚼して飲み込んできた。

自分は本日13期2話の内容についてのみ書きたいのだが、久しぶりの内容かつこれまで闇芝居について語った経歴もないため、さすがに闇芝居というコンテンツそのものへの思いも書いておく。


闇芝居との向き合い方

僕はオカルトコンテンツがそこそこ好きで、「ホラーが」というより「不思議で怖い」みたいなものが好きで、古くは掲示板のまとめから現在は基本ラジオ形式のものを聴いて楽しむことが多い。

そんな自分が闇芝居を初めて見た時に思った感想は「陳腐」だった。5分という尺に無理やり押し込められたストーリー、紙芝居という制約のせいでむしろ窮屈になった演出、ズバーン!と終わるラストのせいで後を引いて反芻する形での幕引きを作り辛い構造…

正直闇芝居を見て「ヒエエ…怖い」となることは自分自身にはなく、ただその5分という手軽さとその制約の中で試行錯誤される話を「かわいがる」という楽しみを覚えて10年が経った。

そんな中でも5分という尺を上手く使って表現している回や、つい考察に熱が入るような回が散見されるのでなんだかやめられない。


13期2話 伝言板のいいところ

ここからは13期2話 伝言板 を見た人にしかわからない内容でひたすら書いていきたい。面倒くさいので内容を丁寧に説明したりはしないのでまだの人は是非見て欲しい。自分は元々アニメ好きなのだが、dアニメストアで今期闇芝居しかまだ観ていない。

13期2話は主人公が駅舎の待合室にある古い伝言板を通じて何者かとやりとりをしていく中で恐怖を感じていく〜というストーリーだが、このシンプルな構図がまずとても良いと思った。

闇芝居のアーカイブとの類似性も低くリアリティもある。人か怪異かの未確定要素も感じられてとても良い設定だと思った。

実際自分の出身の田舎の駅舎にも自分が子供の頃は伝言板が残っていた。この作品の時代設定は明確にはわからないが、いじめっ子である同級生のスカートの丈の短さから見るに90年代後期くらいかと思われ、それこそ時代感的にも親近感があるものだった。

5分間のほとんどを主人公と伝言板に書き込まれる相手の書き込みとの対話で話が進み、主人公が書き込むタイミングで頭に浮かぶ回想によって主人公のおかれた状況の厳しさがテンポを削ぐことなく自然に描写されており、それがまた主人公が駅舎の隅にある伝言板などにやっきになることへの説明にもなっており素晴らしいと思った。

5分という尺ながらこの辺を全部セリフで長々説明する回や、むしろ簡略化に失敗しなにがなんだかわからなくなっている回などもザラな中でここまでの流れはかなり自分を前のめりにさせた

主人公にとって気味が悪くも、ある意味逃避の拠り所にもなりつつあった伝言板。相手の書き込みの不気味さと、自暴自棄とはいえ冷静になると死への恐怖が勝った主人公が気持ち悪くなって一気に伝言板のやりとりを消した瞬間、誰もいないのに書き込みが大量に足されたタイミングで「怪異」が確定し、主人公の恐怖もピークに達する。ここまでのクレッシェンドは完璧でこの時点で自分は自然と「おっ。このあとどうなる?」と楽しみになっていた。

闇芝居でここまで俯瞰せず作品にのめり込んだのは結構久しぶりだった。

ただラストの展開は個人的に不満が残った


13期2話 伝言板の不満なところ

ラストのおおまかな流れとしては、先述で伝言板に恐怖を感じた主人公。次のカットでは転校し新しい地で心機一転穏やかに過ごせている様子をモノローグで説明し、新聞の記事であの伝言板や学校のあった地域の山で白骨と大きい穴が発見されたというものを発見し、安堵したところに耳元で怪異が囁いて「ヒエッ」となり終了
というものだった。

何より記事を読みながら挟み込まれる白骨のカットインの絵面がダサすぎる。ドラクエの屍?と思うほど自立した標本のようなガイコツ…5年自然の中で吹き曝しにあったとは思えないくらい「ホネホネニンゲン」。製作者の白骨エアプが露見したシーンである。

ここは「かわいがり」目線としてはおいしいポイントだが、この回には求めていなかった

正直この話のピークは先程の伝言板での誰もいないのに無数の書き込みがされるシーンなので、ここは実話怪談にもよくある「実はこの話には少し続きがありまして…」の話になるわけだからモノローグでもいいのだが、怪異と現状から逃避した主人公が受動的に新聞で状況を知って、なぜかそばにいた怪異に受動的に囁かれて終わるという流れがどうしても気持ちよくなかった。

第一怪異が主人公に影響を与えられる位置にいながらたまたまその記事を読むまでモヤモヤさせるくらいで何もできていないのもなんともいえないし、それまで伝言板を介してしか繋がれなかったものがどこで明確に取り憑いたのかも説明がつかないのがここまで綺麗だった分個人的には投げやりに思えた


13期2話伝言板の理想的なラストを考えてみた

このノートを書きたかったのはこの「僕が考えた最強の13期2話 伝言板の終わり方」を書いて「僕いいの思いついたよ!」と言いたかったからだ。素人考えで恐縮だし、5分という尺もあるので可否含め現実的ではないのかもしれないが、「この方が筋が通ってて怖いはず!」とついつい思ってしまったのでそれを今から書きたいと思う。

2パターン思いついたのでまず1つ

1.再びあの伝言板に行くエンド

転校した後のシーン
「っていうことがあってさ…」
新しい学校の制服で新しい友人と下校しながら友人にその話をし終えたタイミングからスタート

友人「えっ?5年前?穴?今朝新聞でこんな記事見たんだけど…それと関係あるのかな…」

とここで山中で発見された穴と白骨のニュースを聞かされる。
友人「ねえ、その伝言板ってまだあるのかな…」
ここで能動的に主人公は友人と例の伝言板へ再度向かう


するとそこに「まだ待ってるよ」の文字
それを見て凍りつく主人公の耳元で怪異が囁いておしまい


これよくないか?
主人公が能動的に伝言板に再度向かうことによって怪異に正式に取り憑かれるという形

友人を登場させることで主人公が新天地では上手くやれているという説明にもなるしいいと思うんだよな…


2.自宅で親に憑依エンド

あれから5年…のモノローグの後
親とリビングでテレビを見ていると山中で穴と白骨のニュース


「おい、これって前に通っていた学校のあたりじゃないのか…?」

主人公
「…え、うん。そうだね…怖いね。穴…なんだろうね。けど人が落ちたりしたら危ないし、埋められたなら安心だよね」


「誰か待っていたのかな」

主人公
「え?」

親(憑依顔)
「まだ待ってるよ」

おしまい


怖っ…書いてて怖かった。
ただこのパターンだと憑依ポイントと主人公の能動による因果ポイントは解消されていないんだけど、怪異が親族に取り憑いて執念でここまできた感がめちゃくちゃ怖くていいなあ…と思って書きました。


おしまい

そんなわけでこんなふうに色々考えてしまうくらい途中までめちゃくちゃ好きな回でした。

これが書きたかっただけなので、書いたのでもう終わります。

闇芝居は期を重ねるごとにネタ切れに抗い試行錯誤しつつ、現代の実話怪談やオカルトコンテンツを意識した表現も増えてきていて12期なんかはなかなかいい回もあったので、13期も「かわいがり」目線でも単純なオカルト好きとしての目線でも楽しんでいけたらと思います。

では
おしまい

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