女子プロレス観戦記 #06 on 2022.07.17
Ⅰ:掴むこと。
2022年7月17日。女子プロレス団体のプロレスリングWAVEのビックマッチが後楽園ホールで開催されることは、6月から7月にかけての川崎・アミスタ大会、新宿FACE大会に足を運んでいた僕からすれば当然知っていた。
とはいえ、大会前週の7月10日、仙女の後楽園大会を観戦していたので、流石に毎週のプロレス観戦遠征(群馬県在住なので)はキツイなあと今回は見送るつもりでした。
ところが、ひょんなことから以下のツイートを発見し、運試しというかそういう気持ちで応募したこのチケットプレゼントキャンペーン。
大会前日の7月16日の朝方に僕のツイッターに通知が。タップしてみるとまるスポさんから。
なんと!チケット当選!おありがとうございます。という気持ちに。
急遽、WAVEさんの後楽園大会「CTW2022決勝戦」の観戦が決定したのです。まさか、チケットを掴むとは。まさにCATCH THE WAVE ならぬ CATCH THE TICKET な夏になったのです。
Ⅱ:野崎渚選手の負傷欠場!どうなるベルト戦!
最寄駅であるJR高崎線の熊谷駅から湘南新宿ラインE233系に乗って乗り継ぎ駅である新宿へと向かう途中に、野崎渚選手の膝の負傷により本大会を欠場する一報を知る。
野崎選手はメインカードで「CATCH THE WAVE」決勝戦と本人の意向での団体最高峰のベルト「レジーナ」をかけての選手権試合の出場者でもある。そして、女子プロレスラーの若手ナンバーワンとして成長著しい鈴季すず選手とのこのタイミングでのシングルマッチという、WAVEファンじゃなくてもほとんどの女子プロレスファンが注目するカードの対戦者でもある。この欠場は正直、キツい。
レスラーに怪我は付き物というけれど、この大一番を欠場するということはよっぽどの状態だということは容易に察しがつく。問題は決勝戦の対戦相手とベルト戦が消滅するかどうかだと思う。
この大会、まるスポさんのご好意での観戦なので、ツイートは控えたのだけれども、ここは野崎選手のレジーナ返上の上での空位でのタイトルマッチにしないと納得しないファンが多いんじゃないか?というのが正直な感想。
この女子プロレス曼荼羅の時流は完全に鈴季すず選手がメインストリームになる機運なので、ここで鈴季選手が優勝と戴冠が女子プロレス業界を盛り上げる分岐点になるのは必定。野崎選手には申し訳ないけれども、相手選手が誰であれタイトルマッチはすべきだと思った。
会場に着く頃には鈴季すず選手の対戦相手がリザーバーとして準備されていた高瀬みゆき選手に決定。昨年の波女(CTW2021優勝者)なので連覇か?という期待も加わり、とんでもない人材がちゃんとリザーバーになっていたなあとWAVEの強運を味わう。高瀬みゆき選手も何かを掴んだな!
後楽園ホール5Fへ直行して受付にて「まるスポさんのチケットプレゼントで当選した」ことを伝えてチケットをいただく。チケットペアだったのですが、前日の今日では観戦希望の友人をキャッチできず。流石に厳しかったです。せっかくなのに申し訳ない!
席はリングサイド西側!良い席です。後楽園ホールでチケットの席を選ばずに観戦に行くのってほぼほぼ初めてなので、もっと安い席でもよかったのになー!という気持ちにもなりますが、おありがとうございます!なのでした。
そうこうしているうちに野中美智子リングアナウンサーが登壇。野中リングアナウンサーの前説でテンションとカメラの調整を上げていく僕。今日もチョッキ型ベストが最高なのです。
野中アナの前説中から謎のカウントダウンがスタート!「え?まだ途中なのに?」と野中アナも困惑気味で恒例の腕を突き上げてのスタート大合唱!(心の中で)
そしてこの大会でBEST3に入る衝撃だったのがこのカウントダウン。なんと2:30までは分刻み!流石に0:30からは秒刻みになったのですが、なんか、すげえな。
大会最初のプログラムはGAMI会長と桜花由美社長からのご挨拶。スーツを着ているのでもちろん謝罪です。
野崎渚選手の病状は不明。野崎選手欠場のための払い戻しには応じるとのこと。そして野崎選手の代替として高瀬みゆき選手がリザーバー枠からの決勝進出。したがって高瀬みゆき選手VS鈴季すず選手戦が今年のCTW2022の決勝戦となることが発表。そして呼び込みがあってからの野崎選手の挨拶。
もちろん、当日開場2時間前での欠場発表に対する謝罪だけれども、前日の信州プロレス興行で膝をやった瞬間に脳内に巡った「やばい!」という気持ちに思いを馳せると泣けてくる。どういう気持ちで東京に戻ってきて、すぐに治療を始めて「私の膝、治れ!」と祈ったことか。そういうことはもちろん口には出さないけれども、所属団体の大一番の大会での欠場、しかもメインカードのチャンピオン、プレッシャーに押し潰されずに、きちんと完治してリングに戻ってきてほしい!
そして野崎選手の口からのお願いとして、レジーナのベルトを返上させて欲しいとの申し入れ。トップ二人で一言二言相談した後、ベルト返上を渋々承諾の上で今日の決勝戦は告知通りのレジーナベルト戦を行うことを発表。
「そっちの方がみんないいでしょ?」というGAMI会長の言葉に拍手で応える観客たち。鈴季すず選手の戴冠が見たいというファンも多いと思うけれども、僕的にはやはりタイトルマッチというのは団体極上の試合な訳で、CTW2022の波女の称号がかかってはいても、やはり、タイトルマッチというのは特別なのです。
Ⅲ:第一試合は世羅りさ選手が主役を張る内容に
第一試合は狐伯選手&世羅りさ選手組VS川畑梨瑚選手&志田光選手組。初っ端から極上のマッチカード!
こういうカードを最初に切れるWAVEの凄さというか、厚み。恐れ入るなあと思いながら観戦しました。この四人の中で主役を張ったのはやはり世羅りさ選手だったような気がします。世羅りさ選手VS志田光選手、世羅りさ選手VS川畑梨瑚選手、この対戦がやはり会場的に映える。
志田光選手の剣道歴、世羅りさ選手の剣道歴。なんか女子プロレスラーのバッグボーンにある競技で対決させるのって面白いかも?と思ってみたり。アマレス、柔道、剣道、ダンスなどなど、ROOTS WAVEとかどうでしょうか?
Ⅳ:第二試合。団体対抗戦の雰囲気をどうする?
この試合、PURE-J対COLOR'Sの団体?対抗戦の雰囲気があったと思うのです。まあ、他団体のリングの上なのでそこはあまり注視しないでいいかも知れないのですが、PURE-Jファンとしてはやはりそういう視点になってしまう。なので、撮ってきた写真を見ても、ほとんどがPURE-Jの中森華子選手、大空ちえ選手ばかりで、COLOR'SのSAKI選手、清水ひかり選手の写真が少ない。特にSAKI選手。申し訳。
正直言ってこの試合はPURE-J勢の芯の太さを体感できた気がする。完全にPURE-Jスタイルの試合。こんなことを言ってはダメかも知れないけれども、団体の看板をこっそりと背中に隠して持ち込んできたな感がCOLOR'Sさんとはダンチだった気がする。
ハッキリ言ってPURE-J贔屓の僕だけれどもやはり清水ひかり選手はいいなあと思う。とにかく蹴り姿が美しい。サッカーで鍛えたというよりも女優業からの身体表現っぽさも良い感じ。是非とも、相手選手をコーナーポストに乗せてのオーバーヘッドシュートも観たい!
試合は清水ひかり選手が大空ちえ選手からピンホール!今、勢いのあるユニットだけになかなか止めるのは難しそう。けれども、試合開始すぐの大空選手の目に宿る「殺し」とか、そういう所に中森イズムというかそういう血脈を感じることのできた試合でした。PURE-Jの他のヤング組にも言えることかも知れないけれども。僕は大空ちえ選手にコマンド・ボリショイ代表の遺伝子をより濃く感じるし、そこに中森華子選手の怖さが加わればもっともっと上に行けると思う。僕が初めてみたじゃじゃ馬の参加時の大空選手よりもこの日の大空選手は何倍にも成長しているように思えました。PURE-Jを観る上で「大空ちえ物語」は割と重要かも知れない。
Ⅴ:第三試合。注目すべきは夏実もち選手の緊急参戦と伏線回収!
セミの第三試合。僕のいた席の後ろのカップルさんは「剛腕」という言葉に爆笑していたので「剛腕」は面白ワードなのかも知れない。 この試合、高瀬みゆき選手がリザーバーとしてメインの決勝戦への出場となったので、代替出場としてプロミネンスの夏実もち選手が出場。憎い選出だなあー!という気持ちになる。 まずは青木いつ希選手と旧姓・広田さくら選手がリングイン。この試合は5分毎に両チームの選手が登場し、タッチなしでも試合権利を持っている選手がリング外に行けば試合権利がリング上の選手に移動するルチャ・リブレ方式。しかも、ピンホールやギブアップなどによる勝敗はポイント制になり、無制限30分以内により多くのポイントをとったチームの勝ちとなる。
出場選手は剛腕ブロックチームが、青木いつ希選手、笹村あやめ選手、優宇選手、夏実もち選手の順番で入場。もう、みんな最高な布陣。
コミカルブロックチームが、旧姓・広田さくら選手、米山香織選手、松本都選手、宮崎有妃選手の順番で入場。宮崎選手は負傷欠場からの復帰戦。待ってました!
試合内容は正直、いろんなところでいろんなことが起きてます!推しの選手を追っていると同時多発的に面白いことがあちらこちらで連発しているので、よく覚えていないのですが、まず、夏実もち選手の入場をみた瞬間は局地的に大爆笑が!
夏実もち選手のこのコスチュームは宮崎有妃選手の落とし物?というか略奪したもの?という流れで夏実選手がずうっと保有していたもの。返せ、返さないのSNSプロレスは各自参照のほど!とはいえ、まさか、これで入場するとは!宮崎選手からすると数ヶ月ぶりの自分のコスチュームとの邂逅なのですよ!
実力者レスラーの祭典といった内容のこの試合。一番、どキモを抜かれたのが、囲碁板へのこの攻撃。一瞬、囲碁板がくの字に曲がったからね!
試合は同ポイントで時間切れドローになるも決着をつけるとのことでサドンデスに突入!案の定、一連の流れで旧姓・広田さくら選手がカウントをとられて試合終了。こんな情報量の多い試合が観れるのはWAVEだけだよ!
Ⅵ:メイン。波女&レジーナ決定戦!
さあ、紆余曲折あった今回のCTW2022リーグ。何人もの選手が負傷欠場する中、1敗のみで勝ち残った鈴季すず選手とリザーバーで幸運の決勝チケットを掴んだ高瀬みゆき選手の決戦。図らずとも、剛腕ブロックとFUTUREブロックの対戦になるものの、二人とも剛腕なのは間違いなく、俗にいうストロングな試合になるのは予想される。
詳しい試合の内容は公式さんのブログを見ていただくとして、とにかく熱い試合でした。この二人、初シングルだったとはこの公式ブログで知りましたけれども、なるほど、このタイミングがこのスリリングな試合を生んだ一因でもあるのだなと膝を打つ感じです。
なんかねえ、二人とも勝利を「野崎渚選手」に捧げる戦いだったと思うんです。レジーナの名を汚すわけにはいかないし、野崎渚選手の名も汚すわけにはいかない。そういう熱い試合でした。
特に高瀬みゆき選手。負けてしまったけれども確実に名を上げた試合でした。名勝負でした。
今回は鈴季すず選手がCTW2022・波女の称号と団体最高峰のベルト「レジーナ」を掴み取った。次はわからないぞ、高瀬みゆき選手は強いぜと思いながらも、表彰式を見守る。鈴季すず選手おめでとうございます!
Ⅶ:掴んだこと。女子プロレスラーはカッコいい。
今回のCTW2022を通して、初めてWAVEさんの試合を連続して、しっかりと観ることができました。
この夏、僕がWAVEさんから学ばせて頂いたのは女子プロレスラーのプライド。波女の称号にかける思いとか、団体最高峰のベルトに対する気持ちとか、およそ二ヶ月間にわたる長い戦いの中で築かれる関係だったりとか、そして何よりも怪我をおして通す女子プロレスラーの仁義とか、そういうもの。
この大会の直後に、さまざまな選手が昼夜興行でそれぞれの大会へ向かっていく。タイトルマッチに挑む選手もいれば、団体のナンバー大会に出場する者もいる。こんなにもすごい試合の後で、お客様の待つ会場へと移動する感じ、トラベリングバンドのようでカッコいい。
鈴季すず選手はこの試合での怪我により、夜の自主興行の試合を欠場することになったけれども、痛みに耐えながらも決勝戦のメインをお客様全員が納得する形で勤め上げたこと、頭が下がる。
この大会で色々な選手が何かを掴んだのだろうなあと思う。
大会後のツイートを見ていると、みんなこのCTW2022に関する気持ちを呟いているし、それはだいたい、感謝の言葉が多い。
僕はこの大会のプレゼントチケットを掴み、高瀬みゆき選手は決勝の舞台のチケットを掴んだ。鈴季すず選手は波女の称号と賞金100万円とレジーナのベルトを掴んだ。そして、志田光選手は第19代レジーナチャンピオンの座を掴みにくる。
女子プロレスは結局、カッコいい。当たり前だけれども本当に大事なことを学ばせていただけました。
WAVEは最高だ。
#女子プロレス曼荼羅
〈2022.07.20 記〉