女子プロレス観戦記 #02 on 2022.06.11
Ⅰ:WAVEという波に飲み込まれる前に。
2022年6月12日現在の話。僕が会場や体育館、道場、駐車場で観戦した女子プロレス団体(女子戦含む)は以下の通りで、ここに昨日、WAVEが加わった。
・全日本女子プロレス
・FMW
・スターダム
・覆面マニア
・センダイガールズプロレスリング
・PURE-J
・SEAdLINNNG
・WAVE←NEW!
団体合同開催のアッセンブルも含めると、上記にMarvelous、OZアカデミー、T-HEARTSも観たことに一応なる。
一応、現存する女子プロレス団体で観戦してないのは東京女子プロレスとディアナのみとなっていて、ここは日を改めて必ず観に行こうと思っているのだけれども、僕の女子プロレス観戦歴において唯一悔やまれるのが、NEO女子プロレスリングを観に行けなかったことなのです。なぜNEOかというと当時団体に所属していた宮崎有妃選手が大好きだったから。もちろん、当時はスター選手が他にもたくさんいましたけれども、やはり、宮崎有妃選手のルックスにやられていた訳です。
時は2009年とか2010年あたり。一度だけ、NEOの道場マッチを観に行くチャンスがあったのです。当時も群馬に住んでいたので電車を乗り継いで横浜の道場に行くのですが、遠かった。多分、経路をミスっていて、僕が道場に着いたタイミングで最後の試合の3カウント直前。受付にいたタニーマウス選手に「もう終わるけどどうします?」と言われて「観ます!買います!払います!」とお金を払った瞬間にゴング。リングサイドにいた宮崎選手をチラッと観れただけで十分の価値があるものなのでした。そのすぐぐらいにNEOの解散の話が持ち上がって、宮崎選手の引退を知りながらも、会場には行かずに、いつか宮崎選手が働いているBARに行くぞと思いながらも、12~3年の月日が流れての昨日(2022年6月11日)なのです。
Ⅱ:最初は観に行く予定ではなかった。
6月22日に新宿FACEでWAVEさんの大会があるのでその日のチケットは事前に入手していたのです。
WAVE会長のGAMIさんのこのツイートがきっかけ。
2020年から本格的に燃焼した僕の女子プロレス熱。いろんな団体を観ていくうちに、WAVEさんの興行システム?シリーズに興味が湧いていた。特にこのCATCH THE WAVE。もう何年も継続されている年に一度のお祭り。簡単に説明するとこのリーグ戦のファイナリストたちで優勝者を決めたら、優勝者に賞金100万円が出て、WAVEの最高峰のシングルベルトであるレジーナへの挑戦権が与えられるというもの。
色々な団体がリーグ形式でシングルマッチの大会を開催しているけれども、試合時間が15分1本勝負というのが好きだなあと思っていて、おざなり感がないのが素敵。(10分がダメとかじゃないですよ?シングルはサラッと終わるもんじゃないだろ?という気骨です!)
なのでいつかCTWの試合を見ようと思っていたので、上記のGAMIさんのツイートをみて、いいカードが観れそう!とチケットを購入したのです。とはいえ、その前にある大会で鈴季すず選手VS梅咲遙選手、高瀬みゆき選手VS優宇選手というCTWシングルは観たいなあと食指は動いていたのですが、売り切れ間近ということで断念したいたのです。が。
こんなツイートが流れてきました!
せっかくチケット完売の札止めが出たのに、キャンセルでそれが覆ってしまうのはなんとも惜しいし悔しいし!ということで、このツイートがされてすぐにDMでGAMIさんに連絡。チケットをおさえてもらって急遽観戦することにしたのです!(ちなみに大会前日の夕方です!)
Ⅲ:初めての川崎駅、下車。そして見つけた良い喫茶店。
急遽チケットを入手したのは神奈川県川崎市にあるポスト・ディ・アミスタ(以下アミスタ)が会場。アミスタは井上京子選手の団体である「ディアナ」の道場でもあるので、いつか、ディアナの道場マッチで訪れるだろうと思ったいたのだけれども、まさかレンタルでの初来場とは。世の中、何が起きるかわからないものだなあ。
17時より整理券を配布するとのことので早めに行動していたところ、思っていたよりも早く川崎駅に到着してしまったので、どこか喫茶店でアイスコーヒーでもと歩いていると、まあ、見当たらない。駅ナカかラゾーナ川崎でどこかお店に入っておくべきでした。15分ほどふらふらと街中を歩いて見つけたのが「フレッシュサロン じん」さん。思わず入店。昭和の喫茶店。もちろん、煙草も吸い放題。店内のお客様も年配の方ばかりで最高。
京都にいた頃を思い出す店内。年配のおじいさん、つまり先輩たちの憩いの店になっていて、もう、「うはぁ〜」となる。隣の席のOM(オールドマン。つまり先輩)たちはずうっとガスライターのガスがすぐ無くなる話と壊れた洗濯機を修理してみると紫色の埃の玉がたくさん出てきた話で盛り上がってて、いいなあ、川崎っぽいなあとなる。
じんさんでオムドリアとアイスコーヒーを注文してご満悦。喜び勇んでアミスタに向かう。ここから徒歩3分ぐらいでアミスタなので、今後、川崎のアミスタに来るときはこの店を常駐の店にしようと決めたのでした。
Ⅳ:初めてのアミスタ、初めてのWAVE、初めての宮崎有妃選手。
整理券は15番。とはいえ、ファンクラブ会員は優先整理券を貰えるので、入場はファンクラブ会員の後に一般が入場という形。なので、結果的には30番ぐらいの感じで中に入ると最前列はほぼ埋まっていて、撮影の感じからしてあえて後方列を選ぶ。そうこうしているうちに席はどんどん埋まっていき、満席御礼札止め。しかも席のない人が3人ぐらい出てくる始末。
「あー。わたしのミスだわー!」とGAMIさんが椅子の手配をしているので「
入れすぎた」感じみたい。とはいえ、このサイズの会場で満席は最高な雰囲気なので否が応でもテンションが上がる。
リングアナの野中美智子さんによる前説。野中さんの前説がとてもありがいというかストーリーテラーとしての一種のナビゲーションが素晴らしく、今日時点でのWAVEの動向が要約説明されていて、試合への深度が深まる感じ。このシステムすごいいいと思うんですけど、なんで他の団体ではあまり観ないんだろう。そして最後に注意事項の説明があり、いよいよ、初めてのWAVE体験。これがWAVEだー!
第1試合、第3試合、第5試合は旧性・広田さくら選手、野崎渚選手、宮崎有妃選手、狐伯選手によるシャッフルWAVE。それぞれの試合でタッグメンバーがシャッフルされる試合形式。なので、この3試合をまとめて感想戦からスタート。
結論からいうと、安定の面白さ。非の打ちどころのないメンバーが縦横無尽にリングを駆け回り、投げ合い、技を決め合う。初めてのWAVEを楽しむにはこれ以上贅沢な話はないなあと試合を観ながら思う。
旧姓・広田さくら選手。他団体で何度も観ているけれども、やはり、自分の所属団体だと一味も二味も違うなという印象。全てのバランスが見えている人なんだなあと尊敬する感じ。どの業種に行っても成功する人のソレがある。こんなにもすごいとは思わなかった。旧姓・広田さくらが全力で輝けるリングがWAVEなんだなー!
狐伯選手。以前、アッセンブルで一度だけ拝見したことがあるのだけれども、この日見て印象がとても変わった選手の一人。こんなにも楽しそうにプロレスをする選手なんだ!この日、一番マットの音が大きかったと思う。思い切りの良さというか、楽しいんだろうなー!感が伝わってくる。それにこんなにもスピードのあるバキバキのプロレスに正直、びびる。これはすごいわ。狐伯選手に対してプロレス界に戻ってきてくれてありがとう!という声が多いのも頷けるし、これから数年でもっと化けるんだろうなあ。
野崎渚選手。やっと生で観れた。そりゃあ、あんた、昔から可愛いと思ってましたよ!という気持ちがどこか僕にはあって、デビュー当時からNEO解散まで、雑誌レディースリングとかでよく見ていた選手。そんな選手を生で観れるなんて夢のようでした。しかも喉をやってる系レスラーになっていて最高。華がある選手だよなあ。非常にアスリートらしい感じでザ・女子プロレスラー。技も大きいし、バネもあるし、その上、このルックス!あの当時、業界のスターレスラー候補としていろんな雑誌に取り上げられていたのも十分に頷けたりする。「あ。レジーナの防衛戦、観たい!」となりました。多分、この人、「殺し」があるはずだわという予感がすごい!
そして宮崎有妃選手。もう、全部、いい。もう、全部、好き。そんな選手だったけれども、初めて生で観て、もう、全部、いい。もう、全部、好きが揺らがなかった感じ。僕はNEO時代からしか認識がなかったけれども、JWP出身だとは知らなかったことを恥いる。生で動いている宮崎選手を観ながら、生きてりゃいいことあるなあとしみじみしたり。僕的人間国宝だったりするので、ほんと、生で観れて良かった。一度引退した選手が現役復帰するのって、今まであまりピンと来なかったけれども、こういうことがあるんだなあと改めてプロレスラーがリングに立っていることのありがたみを知ることができました。僕史上No.1女子プロレスラー、それが宮崎有妃選手。生で観ても1mmもブレなかったなー!
シャッフルWAVE。第1試合目から面白いが目白押しでした。この楽しい雰囲気。会場のアミスタの地下競技場館も相まってまるで海外にいるかのような空気感。プロレスのエンターテイメント性を十二分に味わう。考えてみれば第1試合からこのメンバーの試合が観れるのはすげえことだなあと思い出しながらしみじみ。ただ残念だったのは僕が座った席が背面に当たる感じだったこと。多分、選手の表情も含めて、明らかに正面の方がより楽しめる感じでした。次回、アミスタに行く時は正面で見るぞ!と心持ちを新たにしたのでした。
Ⅴ:梅咲遙VS鈴季すず。この世代の頂上決戦か?
みんなのちょちょたんこと梅咲遙選手と鈴季すず選手のシングルマッチ。多分、この試合と第4試合目の高瀬みゆきVS優宇戦を目当てにするお客様が多かったと思う。少なくとも僕の周りのお客様はそうだった。今、この世代で最もお客様を呼べる二人のシングルマッチ。場内の空気もガラリと変わる。
鈴季すず選手は生観戦が初めてだけれども、梅咲遙選手は何度か観ていたので、正直、あまり期待しないまま、ゴングが鳴るのをまっていたのだけれども、なんだ、二人とも殺気が出てて「ん?」となる。ひょっとして遺恨があるの?彼氏でも奪い合った感じの仲の悪さなの?という面持ち。実際試合が始まるともうバチバチでした。最初の5分ぐらいは多分、シュートじゃねえか?という攻防。どっちがガチで強いかを確かめあう感じ。二人とも一歩も譲らないまま試合が進んでいく。ぶっちゃけていうとMMAの試合を観てる感覚に近い。このリーグを勝ち残りたいとか、そういう競技的な香りではなく、どっちが強いか、この機会に白黒つけようや?感がすごい。鈴季すず選手はデスマッチ・ハードコアユニットの「プロミネンス」の所属なのでその傾向が強いのは分かるのだけれども、梅咲遙選手も引かねえなあー!という印象。負けん気の強いお嬢さんのイメージから殺しにかかるお姉さんに!お客さまを楽しませるエンタメ要素が結果としては生まれているけれども二人には皆無。そんな感じ。こんな試合をこの距離で観れる幸せ。
この世代の選手を他団体も含めてある程度は観て来ている自信が正直僕にはありましたし、ガチでやったらマドレーヌ選手が一番強いという確信もありましたけれども、この一戦で色々と改変が起きた感じでした。ここにきて女子プロレスの2020年代問題が生じてきてしまったな!という。猪木と馬場どっちが強いか?とかセメント最強レスラーは誰か?論争が起きてもいい感じの猫被りっぷり。この世代は器用なのかなあ?とも思うのですが、梅咲遙選手のプロレス巧者ぶりも、鈴季すず選手の試合=勝負=楽しい感も、この試合で全部吹き飛んで「私が一番強い!(お前にそれを知らしめる!)」が前面に出るという。こういう試合をシャッフルWAVEの間に挟んでくるGAMIさんの手腕よ!第4試合でもその手腕がキラリと光るのだけれども、とにかく、この世代のこんな試合観たことないです!
初見の鈴季すず選手は別として、何度も観ている俺たちのちょちょたんこと梅咲遙選手のこんなモード観たことないです!
試合結果はドローでしたけれどもとんでもない試合でした。その上、大会後の物販タイムでは二人とも端と端で並んでいて、いいぞ、試合後はノーサイドなんてそんな甘っちょろいこと言わない二人、いいぞ!となりました。
Ⅵ:高瀬みゆきVS優宇。こんな二人、初めて。
僕は高瀬みゆきストだったりします。WAVEの他でも売れっ子レスラーの高瀬さんがいるといないとでは満足感に大きな違いが出ると思っていて、観たい大会に高瀬さんが参戦していると完全に「あたり」と思う、そんな女子プロレスヲタクなのです。高瀬みゆき選手は太陽だと思っていて、その明るくて楽しい試合スタイルがまるで太陽!ということだけではなくて、引力がすごい。結局、太陽系の惑星がぐるぐる回るのも太陽の引力に引っ張られている途中だったりするので、そういう引力が高瀬みゆき選手にはある、と。そんな太陽な存在の高瀬みゆき選手に、これまた僕の大好きな優宇選手。特に仙女の橋本千尋選手とのタッグであるチーム200kgでの優宇選手が大好きなので、きっと楽しい試合になるだろうと思っていました。が。
もうお互い「舐めてんじゃねえぞ」モードで試合がスタート。剛腕ブロックのリーグ戦なので、まさに剛腕なやりとりなのですが、とにかく最初のロックアップから迫力がすごい。
こちらの試合も「どっちが強いかハッキリさせようや?」感溢れる攻防でプロレスの醍醐味に溢れていて、他団体で観る二人とは別次元の闘いを見せつけられる。こちらもガチ感があってMMA濃度が非常に高い。第2試合の梅咲遙選手VS鈴季すず選手と違うのは二人とも身体が大きいので迫力がヘヴィ級なのも最高。それにしても優宇選手のテクニシャンぶりがすごい光っていて序盤のグラウンドとか圧巻の一言。強い。
試合の全体の流れとしては、優宇選手の波状攻撃をいかに耐え忍びつつ、高瀬選手が逆転を狙うかという感じだったのですけれども、優宇選手のキラーモードはとにかくエグい。全部の技が相手を痛めつける技というか厳しい技が続く。それを全て耐え切った高瀬選手も凄いのだけれども、高瀬選手的にはなかなか厳しい内容だったように思える。撮影した写真を見返しても、チョップとかで反撃しているものは残っているけれども、基本的には優宇選手が徹底的に痛めつけている写真が多いので、防戦一方だった気がする。優宇選手から3カウントをとるためにはもう一つ決定打に欠ける感じだし、結局、優宇選手にも決定打が足りなかったということにもなるのだが。
僕はプロレスに「痛み」を求めるのだけれども、それは身体的な「痛み」から負けないで立ち向かう心の叫びで、それが「痛み」として表現されるのを非常に好みます。この試合の高瀬みゆき選手は痛みから一歩も逃げていないかったし、むしろそれが燃料になってファイトが熱くなる感じだけれども、それはつまり僕の求める「痛み」ではなくて、次元の違う勝負論みたいな、最終的に折れない方が強い、そんな印象を受けた。もうプライドとプライドの激突。そういう試合であった。お互い勝つ気だし、負ける気はないのだから、当然のドロー。
意地と意地のぶつかり合いから、結果、この野郎、次は絶対に負けねえぞ!という純粋な遺恨だけが残るという。これぞプロレス!ストロングスタイル!という内容でした。こんなにも試合中にお客様を喜ばせるムーブのない試合、初めて観たよ!という感じ!そんな二人も初めてみたし、こんな試合もやるんだなと意外でもあったのでした。
Ⅶ:知っている選手の知らない顔が見えるマッチメイク!
第2試合、第4試合の白熱感。熱量。そして第1・第3・第5試合の楽しさ、充実度。このバランス感覚がすごいなと思うのですね。
こうなることを想定してマッチメイクをしているのだとしたら、GAMIさんというのはとんでもない人だなあ!というのが、WAVEの印象。
もちろん、最高に面白かったし、最高の夜だったのですが、こうして当日の試合を言語化すればするほど、GAMIさんの怖さを思い知る感じになったりします。
詳しいことはわからないですけれども、今回のシングル2戦、ただのリーグ戦的な感じじゃないわけですよ、試合内容が。明らかに何かあるんじゃないか?という下地があってもおかしくないぐらいのバチバチ感。これ、本当に仲がよろしくない同士のマッチメイクで、しかも、この日の大会にぶち込んできたとしたら、相当ですよ、GAMIさん。まあ、僕の勝手の想像ですけど!
まあ、初めてのWAVE観戦だったので、こういう感じで毎大会が組まれているのかも知れないですけど、なんかある気がするんだよなー。こんなバチバチな試合がシングルだけで組まれるのって異常な感じがするんですよね。
今回のWAVEが立てた波。僕は今までの女子プロレス観をいい意味で飲み込まれたし、今後というかこの数年で、いろいろな勢力図を塗り替えるんじゃないかしら?そんな気にさせてもらった大会でした。
とりあえず、6月22日の新宿FACEのチケットは購入済みなので、今回の大会が異質だったのか、それとも通常運転だったのか、そこらへんも楽しみにして観戦したいと思います!
※狐伯選手のお名前表記が間違っているとご指摘を受けましたので修正い足しました。大変、失礼いたしました。
#女子プロレス曼荼羅
〈2022.06.12 記〉