【足の付け根が痛い】
足の付け根(解剖学的には鼠径部)が痛い患者さん、時々いらっしゃいます。
年齢的にも若いし、筋肉の問題かなと思ったけれど、なんか痛み方が変だな。股関節・・・・大丈夫かな。
筋肉や靭帯など炎症などで一時的な痛みであれば、大きな問題にはなりにくいのですが、股関節の構造的な問題が関与している場合は注意が必要です。
患者さんの中には、先天性股関節脱臼、寛骨臼形成不全などで、そもそも股関節が構造的に弱い人もいます。
股関節は骨盤にある「寛骨臼蓋」がソケットの役割を果たし、大腿骨の骨頭がプラグのように組み合わさっています。
ソケットやプラグは一人ひとり形やサイズが異なるため、中にはハマりずらい組み合わせをもって生まれた人もいるのです。*先天性股関節脱臼は産後すぐの股関節のポジションも関係してる
このハマり方が浅いと摩擦や衝撃を受けやすくなるため、関節を補強する部分(関節唇、関節包、靭帯、脂肪体、軟骨)が傷つきやすくなります。
この状態がすすむと、骨の変形を伴う「変形性関節症」へと向かっていきます。
基本的に人の体は変形すると元に戻りません。変形した部分があると、そこ自体が問題にもなりますが、連鎖してほかの問題も発生しやすくなります。
なので、できる限り変形になる前で対処していくことが大切です。
日々の臨床でここを見落とすと、患者さんの関節が危うい状態なのに「運動して!筋肉つけて!」と間違ったアドバイスをしてしまい、負荷が増して状況を悪化させることもありうるのです。
ここを常に頭に入れておかなければいけません。
ということで、股関節、怪しいなと思ったら。
①股関節の可動域チェック *左右差 痛むポジション
②インピンジメントのチェック *股関節屈曲+内外旋
③日常生活動作の確認(立って靴下はける?足の爪切れる?)
④ホッピングテスト *衝撃加えて痛みがどこにでるか
⑤兄弟関節をチェック *膝J 足J アライメントはどうか
⑥股関節周囲筋のチェック
関節構造が問題の時は、積極的な運動はあまりおすすめできません。荷重がかかる下肢の関節ならなおさら。
運動するなら、プールや自転車など。日常生活では「股関節を深く曲げる姿勢」を避けて過ごしてもらいます。