系統的脱感作法

 系統的脱感作法は、行動療法の代表的技法の一つである.系統的脱感作法は、新行動S-R理論を背景にした介入法で、刺激Sに対して反応R1がある場合に、刺激Sに対して新たな反応R2を引き出すことによってR1を除去する方法である.系統的脱感作法では、リラックスした状態で不安を引き起こす場面をイメージさせることによって.不適応を引き起こす刺激と反応の習慣を弱める.これはウォルピ(J. Wolpe)によって逆制止による心理療法(Psychotherapy by reciprocal inhibition)として独自に提唱されていたが、行動療法が提唱されたとき、行動療法の主要な介入法の一つとして加えられた.

 まずは恐怖や不安を感じる状況について10-15項目ほどの不安階層表を作成し、次にリラクセーションなどの拮抗反応を併用して不安の弱い状況から順番に取り扱っていく.不安と相容れない状態(拮抗反応)を獲得するスキルを獲得してもらうことが目標になる.ジェイコブソンの漸進的筋肉弛緩法を簡略化した方法や、自律訓練法によるリラクゼーションである.弛緩訓練は数セッションで行われ、訓練対象になっている筋肉群の弛緩感が得られるまで、弛緩と緊張を交互に行うことを十分繰り返す.

 最後に、十分に弛緩している患者に、自覚的障碍単位尺度(SUDS)の最も軽いものから順にイメージ早期してもらい、十分に想起できたら、不安の程度をSUDSで答えてもらう.総項目に対するSUDSが十分低下したのを確かめながら徐々にSUDSの高い項目を脱感作法してゆく.

 系統的脱感作法は、構造も変容のメカニズムも明らかであるため柔軟な応用が可能である.系統的脱感作法の構成要素の一つとして、セルフコントロール脱感作法や、現実世界脱感作法といった変法は生まれた..これがもととなって暴露法の研究が進んでいる.Systematic Desensitisation.

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