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対人関係 Vol.1 「信頼」 

 他人を「信頼」することは難しい。
 本当の自分をさらけだすとき、「こいつに裏切られるかもしれない」という疑念と、「だったらさらけ出さない方がいいか」という逡巡が生まれる。

 それは自分を都合よく偽ることに繋がり、他人に見せたくない自分が、自分にしか見えないところで固着してきてしまう。自分を「守る」ために自分を「偽る」という形式だったはずなのに、いつのまにか自分を「偽る」ことでしか自分を「守れない」という観念に変形していく。結果的に自分を「偽りすぎる」ことで、自分を「攻撃している」ような状況になっていく。

 こうなってしまうのはすべて他人を「信頼」することができないからだ。

3つの「信頼」

 信頼は3種類ある。自己への信頼。他者への信頼。社会への信頼。
 自己への信頼が根底にあり、それがあるからこそ他者への信頼が成り立ち、それが集約して社会への信頼となる。つまり、信頼は階層の構造になっている。


信頼の構造

 根底にある自己への信頼はつまり、自分は大丈夫だ、自分を偽る必要はないと自覚し、隠したいと思っている恥ずかしいと認識している部分を自覚的に自らさらけ出すことだ。これがすべての信頼の前提になってくる。
 

「安全」と「信頼」

 自分には居場所があると思っているにもかかわらず、生きづらさを抱える人もいる。この場合は「安全」と「信頼」の混同してしまっている可能性がある。
 端的に言うと、安全は状態に着目し、信じることは行為に着目している。信頼と安全との本質的な違いは「理由づけ」が積極的か消極的かという点にある。安全は都合のいい状態を前提にした「委ね」である一方で、信頼はなにもない無条件の「委ね」である。安全は理性を働かせ、信頼は心を動かす。だから信頼は裏切られやすいし、裏切られた時の傷が深い。
 でも、だからこそ「信頼」が必要なのだ。他者が自分のコントロールできないものだからこそ他者になりえるし、コミュニケーションの意味がある。ある程度傷つくことを想定にいれなければ、信頼は生まれない。傷つく覚悟をもつことで、はじめて信頼が生まれ、それが自分の人生を歩むことにもつながる。

まとめ

  • 自己信頼がすべての信頼の基盤: 他者に心を開き、本当の自分をさらけ出すためには、まず自分自身を信頼し、受け入れることが重要。自己信頼がなければ、他者との関係においても偽りや臆病さが生じてしまう。

  • 「安全」と「信頼」は異なる: 「安全」は条件付きの委ねであり、理性に基づいた判断であるのに対し、「信頼」は無条件の委ねであり、心に基づいた行為である。信頼は裏切りに伴うリスクがある一方で、真の人間関係や自己成長には不可欠なもの。

  • 傷つく覚悟と信頼: 他者を信頼し、深い関係性を築くためには、傷つく可能性を受け入れる必要がある。 傷つくことを恐れていては、真の信頼関係は生まれない。

 対人関係Vol.2では「傷つくこと」を受け入れる方法を書く。

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