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33.「スモーク撮影」をやってみよう!(簡単なスモークの使い方3選)
いわゆる「特殊撮影」と呼ばれるものの中でも、コスプレ撮影で最もチャレンジの機会を得やすいのが「スモーク撮影」だろう。
スモークを使い、ライトと組み合わせることで幻想的な効果を得られたり、燃えているような状況を作り出すことができる。
水撮影などと同様、スタジオによってスモーク撮影ができる・できないは分かれるものの、スモークマシンの貸出を行っていたり、申請をすればスモークを使えるスタジオは他の特殊撮影に比べるとかなり多い。
【ヘッダー写真・水妃モルガン:Kioさん】
スモークは水撮影などと違い、濡れたりするリスクが少ない。
その一方で、スタジオの特徴やスモークマシンの特徴を正しく把握できなければ、スモークの使いすぎでスタジオが真っ白になり、換気が終わるまで次のカットに入れなくなってしまう……ということも起こりかねない。
そこで今回は、スモーク初心者でもなんとか作品をカタチにするためのスモークの使い方をまとめてみる。
まずは使用するスモークマシンの特性を知る
スモークマシン全般の特徴と注意点
コスプレ撮影で使われるスモークマシンは、ライブや舞台、ステージなどでも使われるスモークマシンと同様のものだ。
スモークの粒子は光を反射しやすいので、ライトを当てることで、スモークが写真の中に映えやすくなる。
また、ライト用のカラーフィルターと併せて使用されることが多い。
マシンから放出される「スモーク」の正体は、燃焼による「煙」ではなく、粘度の高い液体を熱し、霧状の細かく飛散させることによる「フォグ」。
火気としての危険はないし、スモークに触れたからといって体や衣装などが汚れることもほとんどない。
液体の危険性も低いので、スモークを多少吸っても体に不調が出ることは少ない。ただ、機械自体が熱されるため、触れる際は機械の注意書きに従う必要がある。
また、火災報知器に反応したり、窓から漏れるスモークを見てご近所の方が火事と勘違いされるケースもあるため、スタジオごとの注意事項に従って使用する必要がある。
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熱そうに見えますが燃えていません
スモークマシンは、電源を入れてすぐにスモークを出して撮影できるわけではない。
内部の液体が熱されて気化するまで待機する必要があるので、スモークマシンは予め電源を入れて、内部を熱しておこう。
しかし、不必要な場面でずっと電源をつけたままにしていると、熱による破損の恐れもあるので、スモークマシンを長時間使用しない場合は電源を切ろう。
スモークマシンの「止め方」を把握しておく
操作方法などは機種によって多少違うが、操作に関しては主に3つに分けられる。
・「ボタンを押している間だけ放出されるタイプ」
・「ボタンを押すと、一定時間放出されるタイプ」
・「ボタンを押すと、次にボタンが押されるまで放出が続くタイプ」
撮影前にスモークをテストで放出してみることも大切だが、止め方がわからないと撮影前にスモークを充満させてしまうことになるので、まずは「どうすればスモークが止まるのか」を把握しておこう。
また、連続して使用していると、スモークが再加熱に入り、しばらく操作できなくなることもある。
スモークや場所の性質を知る
液体を気化させたスモークは、主に液体の種類や機種、環境によって、スモークの「重さ」や「広がりやすさ」が変わる。
・スモークの「重さ」
空気よりも軽いスモークは次第に天井へと上がっていくが、空気よりも重いスモークは床に沿うように広がり、その場に留まりやすい。
画角のどこにスモークを配置したいかを計算する際には、スモークがどの方向に流れていくのかを把握しておく必要がある。
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床にスモークを沿わせた例
・スモークの「広がりやすさ」
「スモークが放出されてからどの程度の時間で、どの辺りまで広がるのか」は、スモークの性質によって変わるほか、スタジオの広さ、空調を含む空気の流れによっても変わる。
行いたい撮影の内容によっては、空調や換気の電源などをオフにしたり、オンにしたりの使い分けなども必要になる。
また、「放出から何秒後のスモークの質感」がイメージに合うかも見極めておこう。
たとえば、放出から3秒後のスモークの質感を写したければ、セルフタイマーやリモコンなどで、「スモークの放出が止まってから3秒後」にシャッターが切れるようにしよう。
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また、スモーク撮影を続けていると、撮影スペースにスモークが充満し、全体が真っ白になって、撮影が続行できなくなることがある。
スタジオ内からスモークをどうすれば排気できるかも、把握しておこう。
使い方①被写体の後ろにスモークを撒く
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多くの方が初めてのスモークに失敗するケースとして、被写体の手前にスモークを撒いた結果、顔などにスモークが被ってしまうケースが挙げられる。
そこで、初めは「後ろに撒く」のがオススメ。広範囲に撒いても、被写体側に被ることがそんなにない。
コツ①
撒くときの動作としては、被写体の後方から、被写体の左右や、輪郭に沿うように撒くのがオススメ。
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スモークを撒いたあとはマシンも人も画面外に撤収。
ひらみができると◎
コツ②
スモークの形をはっきりと写したい場合は、背景が黒や、暗い色になるよう、ライティングを調整するとよい。
コツ③
画角を全てスモークで埋めるのではなく、スモークが「ない」部分を作ることも大切。
写したい画角に応じて、どこに向けてどの程度のスモークを撒くか、調節しよう。
使い方②全体をかすませる
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スモークを少し充満させ、全体に靄がかかっているような状態を作り出す。
コツ①
「使い方①」を何度か繰り返しているうちに、スタジオ全体にスモークが充満してくる。
タイミングを見極めて、スモークの散布を続けるべきか、「全体がほどよく霞んでいる」状態での撮影を行うべきかを切り替えながら撮影しよう。
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植物にスモークがかかると、神秘的な演出がしやすい
コツ②
スタジオの奥側のスモークを濃く、被写体より手前側のスモークは薄くする。
特にカメラに対して逆光を作るようにストロボを配置した撮影の場合、スモークが逆光を反射するため、手前のスモークが濃いと、画面全体が真っ白になりやすい。
そのため、被写体とカメラの間のスモークは、この場合でも、薄い方が良い。
使い方③スモークをペットボトルに詰める
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刀に沿うようにスモークを配置。
被写体の手前にスモークを配置したい際にオススメの手法。
まず、スモークの噴出口にペットボトルの口を押し当てて、ペットボトルの中にスモークを充満させる。
このとき、ペットボトルを密閉することでスモークを閉じ込めておくこともできるが、放出されたスモークは時間経過とともにペットボトル内でも薄くなるので、できるだけすぐに使うこと。
画角内にスモークが欲しいところに向け、ペットボトルの側面をペコペコと押し、ペットボトルの口から少量のスモークを押し出す。
コツ①
ペットボトルはできるだけ大きい容量のもので、凹んでも戻りやすいものを選ぶこと。
ポカリスエットや炭酸飲料などの1.5リットルボトルがおすすめ。
空のペットボトルがないときには、持ってきた飲み物を飲み干し、洗って使おう。
また、ペットボトルは大きいに越したことはないが、500ミリリットルのペットボトルでも、充分に役割を果たすことができる。
コツ②
ペットボトルからスモークを押し出す際は、武器に沿って動かすなど、押し出しながら、スモークで作りたいラインに沿って動かそう。
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(スモークと、水を同時に使用)
コツ③
ペットボトルから放出されるスモークは少量だが、カメラの近くで放出すれば、写真には大きく、広く写る。
演出したいイメージに合わせて、レンズとの距離も調節しよう。
まとめ
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画角に対してナナメ、
対角線のラインに沿うようにスモークを配置
今回は、スモークの簡単な使い方として、
「被写体の後ろに撒く」
「全体をかすませる」
「スモークをペットボトルに詰める」
の3つを紹介した。
もちろん、今回紹介した複数の方法を組み合わせたり、レフ板を仰ぐ風で吹き飛ばしたりなど、スモークにはさまざまな使い方がある。
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後ろにスモークをたくさん撒くことで、
奥に配置したライトスタンドを覆い隠す役割もある
ステージ照明とスモークが組み合わさることで印象的な演出がされるように、スモーク撮影において大切なのは、スモークにライトを当てることによる「光の演出」でもある。
イメージを具現化するためには何度も実践あるのみだ。
💭<スモークぅぅぅ!スモークたんクンカクンカスーハースーハー!! クンカクンカ! あぁあ!
🔥<……過度に吸うのはダメ絶対。