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9.「光の質」と影の出方を使い分ける(ソフトボックスライティングと直当ての話)

結局のところ、被写体をきっちり、綺麗に写したければ、被写体のライティングにソフトボックスを使うのが手っ取り早くて一番いい。


【ヘッダー写真・初音ミク:ぷらるさん】(F7.1 1/200s ISO200)

ヘッダー写真では直径80cmの八角形(オクタゴン)ソフトボックス(画面左側、パワー強め)と、60cm×60cmの正方形ソフトボックス(画面右側、パワー弱め)で左右から挟んでの撮影。被写体の陰影がなだらかに出ている。


一発目の記事で直当てはいいぞおじさんになった僕も、撮影には必ずソフトボックスを持っていく。余計な影を出したくない時、光を少し足すときなど、光を「馴染ませる」ために重宝するからだ。


今回の記事では、ソフトボックスを用いる撮影の長所と短所、直当てとの使い分け方をまとめていく。


①影がはっきり出にくいソフトボックスと、影がはっきり出やすい直当て

これが一番の差だと思う。


ストロボ直当てではくっきりとした強い影が出るが、ソフトボックスを使った光では、影の縁にグラデーションがかかる「柔らかい光(ムラが少ない光)」になる。このとき、ソフトボックスの中心ではなく、縁に近い部分から出る光(周辺光)を被写体に使うことで、光は弱くなるが、光をより柔らかくすることができる(このように芯を避けるライティングは、「フェザリング」と呼ばれる)。

直当てをメインにした1つ目の記事でも少しその内容に触れている。

1.突然だけど、まぐろの話をしよう。(光の芯とストロボ直当ての話)

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【初音ミク:ぷらるさん】(F7.1 1/200s ISO200)

人物の上半身や顔のアップなどで撮影するときは、特に、ソフトボックスなどを使用してのなだらかな陰影が使いやすい。


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【Model:ゆよりさん】(F5.6 1/200s ISO2000)

逆に、影を出しての「印象的・オシャレな撮影」をする場合にはストロボの直当ても有効だ。ただし直当ての際には、ストロボから発せられる光がムラの強い「硬い光」になるので、顔など、「特に写したい部分」への光の当たり方や、角度には十分注意する必要がある。

また、影になる部分は「見せない箇所」とするなど、「あえて影にしている」理由をつける必要がある。見せたい衣装の柄などが影の部分にならないよう、注意しなければならない。


②多灯撮影での影の出方を調節する

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【巴御前:さやさん】(F2.2 1/40s ISO500)

被写体の前後から、直当てのストロボ二灯で撮影。床には、双方向に影が出ている。


多灯撮影の際には、すべてのライトが直当てだと、一灯ごとの影がくっきりと出やすいので、光量調整に注意したい。多灯撮影によって出る影が不自然になりにくいのは、ソフトボックスなどを通した柔らかい光を使用した場合なので、被写体を照らすためのライトとして光源を複数使う際には、アクセサリーの有無や、一灯ごとの強弱を入念に使い分ける必要がある。


多くの指南書でソフトボックスなどのアクセサリーを推奨されるのが多いのはこのためで、望まない影を出さず、「きれいに撮る」ためにはムラのない、柔らかい光のほうが扱いやすいためだ。


③光の範囲が制限される

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【しまっく:いろはさん】(F9 1/200s ISO200)

背景に影を出しつつ被写体を照らすため、メインのライトは直当てで画面右側から、影に色を付けるための紫のライトを60×60のソフトボックスで画面左側から、背景に向けて使用。

ソフトボックスの使用により、紫のライトは被写体にあまり当たっていない。


このように、ソフトボックスを使用することで、余計なところに光が当たらないように調整しやすい。

光源のアクセサリーとして、ルーセント(透過)アンブレラなどに比べ、ソフトボックスが使いやすいポイントはここだ。透過するタイプのアンブレラは、光が傘の面全体から放射状に広がるため、広範囲に届くのに比べ、ソフトボックスは白い面(発光面)から直線的に広がるため、光の範囲をある程度制限できる。

どの程度まで光が届くかは、被写体側に回って、ソフトボックスの白い部分がどのぐらい見えるかを基準に考えるとよい。白い面がギリギリ見える場所までは光が届く範囲だ。ソフトボックスの発光面にグリッドをつけると、光が届く範囲がさらに狭くなるので、必要に応じて使い分けよう。

一方で、光の範囲が制限されるため、一つのストロボで全身を撮影する場合にはそれに応じた大きさのソフトボックスが必要になる。

60cm×60cmのソフトボックスを使用して全身を撮ると、顔は明るいが足元だけが暗い、というケースがよくある。

全身を照らすには、120cm以上の縦長のソフトボックスを使用するか、複数のストロボとソフトボックスを組み合わせるとよい。


このように、直当ての光と、ソフトボックスを通しての光を使い分け、組み合わせると撮影の幅が広がる。

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【和泉守兼定:なかりんさん】(F3.5 1/200s ISO200)

後上方から赤フィルターをつけた直当てのストロボ、手前の画面左側から青緑フィルターとソフトボックスをつけたストロボを使用。

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【巴御前:袴さん】(F5.6 1/200s ISO200)

後上方から赤フィルターをつけた直当てのストロボ、手前の画面左側から青緑フィルターをつけたストロボを直当てで使用。


似たようなシチュエーションを撮った2枚だが、手前からのストロボがソフトボックスつき(1枚目)か直当てか(2枚目)で、ライティングによるキャラ付け、表情付けのようなものが変わってくる。

パワーの強弱、環境光などによってもこの組み立て方が変わってくるので、いろいろと試してみよう。


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