Summicron 50mm F2 1st - 偏愛する沈胴ズミクロンのこと
新年を迎えて2日。なかなか正月気分が抜けません。そんな日は自分が一番好きなレンズのことを語りたい。
沈胴 Summicron 50mm F2 1st
Ernst Leitz GmbH Wetzlar - Summicron 50mm F2 1st Collapsible.
ライカMマウントの初代・沈胴ズミクロン。1954年に生まれたライカ黄金期のマスターピース。2018年にぼくが最も使ったレンズでもあります。
歴史とか写りとか、このレンズを語るときにフィーチャーする部分は人それぞれですが、ぼくはまず、M3と組み合わせたときのデザインを推します。
文句の付けどころがないスタイリングです。
歴史を振り返ると、M3が登場したのもズミクロンと同じ1954年。セットではないにせよ、開発段階からこの組み合わせが意識されていたことは間違いないでしょう。デザインにしろ操作性にしろ、マッチしないはずがないんです。
沈胴状態は非常にコンパクト。いつものカバンにスッと入ります。
撮るときは鏡胴を引き出して。上から見たときのクラシカルなフォルムがたまりません。
そもそも、レンズが沈胴するってとんでもない話です。ライカを手にしてから、こんな機構が存在するんだと初めて知りました。
見よ、この金属加工の美しさを。
見よ、このGermanyの刻印を。
「ライカを眺めて酒を飲む」はしていませんが、その気持ちはじゅうぶん理解できます。なんたってこの美しさです。「ズミクロンを使うために写真を撮る」というマインドも少なからずあります。そんなレンズ、なかなかないんじゃないでしょうか。
フィルムはぜひともモノクロを。
レンズが生まれた年代を考えても、フィルムはモノクロを使いたい。ぼくはこのズミクロンをほぼモノクロ専用レンズとしています。
オールドレンズらしい柔らかな描写はお手の物。実は、写真を趣味にし始めたときは、ここまでモノクロを撮ると思っていませんでした。
「カラーの合間に、気分転換として...」
モノクロ写真についてはそれくらいの気持ちでした。それが今ではこの描写と階調の虜。モノクロ写真にハマったのは間違いなくこのレンズのおかげです。
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一方で、オールドレンズらしからぬ解像力もズミクロンの特徴です。
ピント面は開放からしっかり解像し、モノクロであれば現代のレンズに劣らないシャープネスがあります。
またこの解像力のおかげか、被写体の質感も見事に描き分けてくれます。
50mm F2というスペックもマイルドで使いやすい。スナップシューターであれば付けっ放しにできる焦点距離ですし、ISO感度400以上のフィルムなら夜のスナップも可能です。
愛くるしいまん丸のボケ。
これなんか、信号待ちをする1人1人が見えるような写りです。こんなレンズが、今から65年も前に生まれています。当時の技術者たちには感謝です。
このズミクロンの開発に関わった人は、今でもライカにいるのでしょうか?いたとしたら、80歳のおじいさんになっている。いや、その前に。山あり谷ありのライカの経営です。途中でライカを離れる人も多かったはず...
おっと、話が逸れました。写りとはまったく関係のないこんな妄想をしたくなるのがライカレンズなんですよね。
カラーはコントラスト低めのあっさりした写り
フィルムで撮る場合、カラーは好みが分かれそうです。コントラストが低いので、オールドらしい雰囲気が好きな人にはハマると思います。
ご覧の通りポヤポヤッとした写りで、ぼくはあまり使いこなせませんでした。これまで2本の沈胴ズミクロンを使った結果、この傾向は共通です。
ボディの方で色調整ができるデジタルであれば、そんなに問題にならないかもしれません。実際、デジタルライカに付けた作例は好きなものばかりです。積極的にカラーで撮るのは...考えたくないけど、フィルムがなくなったときでしょうか。そうなったらミラーレスカメラに付けて遊んでみたいな。
最後に...
ライカについては、愛情ゆえに評価が甘くなる部分が多々あります。きっと、これは僕だけじゃないはずです。MF・最短1m・開放F2のレンズが何万円もします。
でも、ライカはスペックじゃないんです。歴史とかブランドとか、ライカにしかない魅力があって、それにやられた人たちが「ライカっていいよね!」って言い合ってます。僕らはさながらプロレスの悪徳レフェリーみたいなもの。都合の悪いことは見えないフリをしているし、気に入ったところは過剰に演出しています。このnoteも話半分で聞いてください。
観葉植物のラジオ 配信中です
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(追記)ライカMマウントのレンズはもう1本持っています。ズミクロンとは焦点距離を変えて、COLOR SKOPAR 35mm F2.5 P IIです。
・滑り込みで新レンズ。フォクトレンダー COLOR SKOPAR 35mm F2.5 P II
Canonのオールドレンズもなかなか侮れない写りをします。
・フィルムライカにCanonのオールドレンズ。Serenar 50mm F1.8という選択
ライカメーターもいいですよ。
・ライカのMCメーター購入と露出の悩み