【一晩で完成!】VSMSダッカスを最速で作る
・遂にGTMのお手頃可動モデルが出た!
待ちに待ったGTMのマスプロ立体物!今まで固定ポーズのガレージキットか、特殊な高級可動モデルしか選択肢がなかった時代も過去のもの。誰でも入手できる「VSMS ダッカス・ザ・ブラックナイト」が発売されたからね。嬉しいので、とにかく最速で完成させて可動を楽しもうと思う。
・フレームを塗装する
VSMSダッカスは内部フレームと外装の2色成型キット。つまり、内部フレームをランナーごとスプレー塗装できたらお手軽かつスピーディに質感を向上できるはずだ。しかし…
フレーム部は全てABS樹脂である。可動部に適した剛性を持っている反面、溶剤耐性があまり高くない素材である。PS樹脂と同じような気持ちでラッカースプレーをじゃぶじゃぶ吹き付けたら簡単に割れてしまうだろう。
そこで思いついた秘策がこちら。
とにかく薄く吹き付ける。以上。
塗装を乗せるのではなく、パーツの上をスプレーが一瞬横切る程度の爆速・極薄の塗装である。
そもそも元の成型色が焼鉄色なので、1回目は色が乗ったかどうかもよく分からない。
だが、薄いぶん乾くのも早いのがメリットだ。具体的には吹き付けが終わった後、すぐ触っても指に付着しないくらいが望ましい。
スピーディに塗り重ねていけるので、待ち時間はほとんど発生しない。スムーズに、そして少しずつだが着実にフレームに金属感を与えていく。
6回塗りでようやくこのくらいの質感が手に入る。
所要時間30分程度の労力に対する仕上がりとしては悪くない。
・外装を部分塗装する
部分塗装といっても、ダッカスは元々色分けの細かいデザインではない。印象的な眼とシンボルマークさえ彩色できれば、あとはパーツの質感の良さで上手くまとまるだろう。多分。
塗装箇所はどちらも朱色に近いオレンジ色ということで、下地に「アクリジョンベースカラー ベースイエロー」を採用。上塗りは手持ちのシタデルカラーでやってみよう。
アクリジョンベースカラーは瓶から直に筆塗りすればよいので、塗料皿は不要。筆もすぐ水洗いすればOKだ。下地にこれを塗っておくと、シタデルカラーの食いつきが良くなる。
蛍光色のコントラストカラー「MAGMADROTH FLAME」を塗ったところ。こちらも瓶から直塗りできる。シタデルのコントラストは発色がよく透け感がある塗料なので、この部品では下地のムラが気になってしまう。
そこで今度はレイヤーカラーの「EVIL SUNZ SCARLET」を重ね塗り。普段なら塗料パレットを使うところだが、少量なのでランナーの端で十分である。こちらは隠蔽力があって良い感じ。溝の蛍光色を残すように内側だけ塗装した。
・組み立てる
組み立てに関しては、説明書が親切丁寧なので素直に従うべし。
ちなみに接着剤に関して公式から訂正があったが、個人的には「タミヤセメント(流し込みタイプ)」が最適と考えている。
実はこの接着剤、PSのみならずABSにも対応しているのだ。ただし、速乾タイプはABSに使えないので注意。ランナーを使って手持ちの接着剤で実験しながら使ってみてほしい。
透明PS樹脂はかなり硬いので、ゲート処理は2度切りではなく3度切りで慎重に行う。また、ガラスやすりを使ってゲート跡を削ってやればツヤツヤの表面が復活する。100均の爪用ガラスやすりでも十分きれいになる。
正直、このキットの大変さの50%はクリアパーツを綺麗に切り取る工程かもしれない。強引にカットすると砕けて部品側がえぐれてしまうので、ニッパーでゲートを少しずつ削ぎ取る感覚が必要になってくる。
可動箇所については、全てシリコンメンテナンススプレーを使用するくらいの勢いで進めることにする。特に、保持力が低くても問題ない細かな装飾部はスムーズに動くのが理想的。あらゆるボールジョイントにシリコンスプレーを塗りつけよう。
説明書に従うとは言いつつも、頭部はこの形を先に組み立てた方がやりやすい……等の状況判断は必要になってくる。
…組み立てが面白すぎて途中経過を撮影し損ねた。過程が知りたい方はぜひ本キットを購入して体験してほしい。意外とシンプルでサクサク組み上がるぞ!
・完成!ダッカス・ザ・ブラックナイト
美しい。
そして何よりも…
ポーズつけるの難しすぎる。
可動域自体もそこまで広いわけではないのだが、それ以上にGTMで遊ぶことに手が慣れてない。
今まで数え切れないほどのアクションフィギュアや可動プラモデルを触ってきた人間にとって、この新鮮さは強烈だ。
幸運なことに、一度完成させてしまえばあとは自由に動かして遊べるのがVSMSダッカスの特長。パーツ形状ひとつひとつを味わいながら組み立てを完了したユーザーは、「可動デザインを触りながら理解する」というフェーズに移行できるのだ。理解を深めれば、もっと自由自在にアクションさせられるかもしれない。その頃にはVSMSでさらなる新商品が出ているかも…
・総評
本当に楽しい可動ロボットプラモデルです。
これはボークスというホビーメーカーの挑戦であり、ユーザーもまたその挑戦に巻き込まれるような感覚で遊べます。
なお、今回紹介した手法は「ぼちぼちの質感でガシガシ動かしたい」というおもちゃオタク的な思想で計画したものです。
外観を追求するモデラー的なアプローチや、可動域を活かして敢えて固定ポーズでジオラマ風に仕上げるなど、色々遊べる題材だと思います。GTM立体物として史上最安値、かつフル可動という仕様のおかげで多様な遊びの可能性が生まれたのではないでしょうか。ぜひ手に取って、目新しさと美しさに打ちひしがれてみてください。
おわり
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