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クリエイティブの欠片をつかむ -「超クリエイティブ 『発想』×『実装』で現実を動かす」

今回は三浦崇宏さんの著書「超クリエイティブ 『発想』×『実装』で現実を動かす」について書きます。

実は私にとって内容が難しく・・・2~3回読んでも理解出来ていない部分が多いので、この記事を書くか迷っていました。ただ、このままでは他の本(素晴らしいけれど理解が及ばなかった)と同様に何年も寝かせてしまうことになりそうだったので、個人的な感想をまとめて書きます。内容を網羅した要約ではないので、ご了承くださいませ。

1.作品紹介

このページに以下説明がされています。

すぐ目の前のものに宿る本質的価値に気づくだけで、あなたの仕事は飛躍する!

仕事、会社、人生……
問題を解決し、あらゆる困難を超える
最高の思考法×実装術がここに。

・〈本質発見力×世界の複数性の理解〉が革新的な発想を生む
・「社会」「未来」「人生」3つのベクトルで本質を発見する
・米アウトドアブランドが一年でもっとも売上が立つ日に
全店舗をクローズしたのはなぜか?
・コアアイデアを実装するための最良のチームビルディング
・エッセンシャル消費へ――ポストコロナ時代の10の変化とは?

人気クリエイティブディレクターによる渾身の書!

まさしく渾身の書で、出てくる定義や例が本当に面白いです。その中でも印象に残ったことを書きます。

2.クリエイティブがなぜ大事なのか?

それまで「クリエイティブな人」という響きは恰好良いけれど、広告業界などに勤めるのに必要なイメージを持っていました。ただ、この本の以下部分を読んで自分にも関係あるなと気づきました。

平成は「企業」と「機能」の時代だったと言えます。(中略)
令和の時代は、「個人」と「思想」が優位に立つ時代になるでしょう。
機能で差がつかない時代は、思想で差がつく。その思想を体現するために必要なものが、クリエイティビティに他なりません。

また、冒頭に他の本と違っている点として以下3つが挙げられています。
 1)クリエイティブの力を汎用性の高い思考法として再定義し、どんな方でも使うことが出来る思考法として新しい意味を持たせていること。
 2)クリエイティブの核心を、コアアイディアという概念で刷新していること。
 ※コアアイディアとは「物事の本質を見抜いたうえで、〈状況を一変させる考え方〉」と定義されています。
 3)クリエイティブの役割を「発想」と「実装」の両方を含んだ「現実を動かす」力としてとらているところ。

そして、「トレーニング次第で、誰しもがコアアイディアを生み出し、実装する側にまわることは可能」であるとし、この本を読めば自力でクリエイティブになれるように書かれています。

このページでは本の要点が分かりやすく書かれています。

3.思わず唸ったコアアイディアの例

たくさん出てくる例の中で、COGYという足こぎ式の車いすのポスターに書かれた「あきらめない人の車いす」というものが印象的でした。この製品のコアアイディアは「自分の足で動くという夢をあきらめないための道具」だというもの。見た瞬間に「なぜ自動の車いすがあるのにわざわざ足こぎ式?」と思ったので、このフレーズになるほど!と衝撃を受けました。

他にも「おいしい生活」や「もはや戦後ではない」のキャッチコピーへの分析はすごく面白く、自分がこのコピーのすごさの本質を誤解していたことに気づきました。三浦さんと楠木建さんのこの対談でも触れてありました。対談の中のお互いの本への解説の深さが面白かったです。

4.2つの情報「インフォメーション」と「インテリジェンス」

情報には2種類あると書かれていたことからは、情報伝達について考えさせられました。

一つはインフォメーションで「10時に六本木に集合」など「記号的に伝えることが可能なもの」。もう一つはインテリジェンスで「愛とは何か」など「抽象的な情報」だそうです。

インテリジェンスの方が共有することが難しいですが、「表現者の内面で湧き上がった、どうしても他者に伝えたい何か。その膨大な情報量を、時間と空間を超えて、解像度高く転送する技術の模索がアートの歴史」と書かれています。

この説明がとても心に残ったのは、まず、インテリジェンスって読み解くのに手間がかかるんだなと再認識したからです。大人になってから活字についてはフィクションよりノンフィクションをよく読むようになりました。好みが変わったのかもしれませんが、よほど面白くなければ手間をかけてまで抽象的な架空の話を読み解きたくなくなったのかも?と気づきました。

また、インフォメーションといえどもその記号の前提条件や知識が共有されていないと正しく伝わらないな、とも思う自分がいました。リモート勤務の推奨でメールでのコミュニケーションが増え、単純な話も気を付けないと間違いを生むことを経験したからです。

例えば、メールで「次の金曜日の夕方」に会議を設定するよう月曜日に依頼が来たことがあるのですが、「次の金曜日って今週の金曜日だよね?夕方って17時ごろ?」と思って念のため確認したことがあります。

具体的に長く説明し過ぎるとくどくなって逆に伝わらない。その一方で、同じ経験をした人同士は少ない言葉から同じ気持ちを共有出来たりする。「情報伝達」って難しいし、インフォメーションとインテリジェンスが混在していることも多いのかもとこの説明個所から感じたりしました。

5.その他の面白かった点

ページをめくるごとに刺激的な定義や説明がされているのですが、「第5章 コアアイデアを検証し、プレゼンする」には、アイディア検証に必要な10のポイントが書かれていました。このポイントに沿って実際自分の仕事の1つを想定して箇条書きで書いてみたら、意外に工夫出来ることがあるなーと気づきました。

また、「第7章 ポスト・コロナ時代のクリエーション」の「売り場は“スタジオ化”する」のページも面白かったです。そこでは基本的にはデジタルでのショッピングが増えることを前提に考えることや、「店舗は、実際にモノを売る売り場としての『ショップ』から、ライブ配信(放送)するための場所、商品の魅力を体験する場所としての「スタジオ」へと変容していくのでは」ということが書いてありました。

ここから思い出したのは家電量販店や洋服屋さんです。店によるのですが、入った瞬間に店員さんの目が光り、商品を10秒くらい見つめただけで話しかけられることがあります。最初はゆっくり見たい私には余り嬉しくない接客の仕方です。また、店内を見て回っていると後ろからつけてくる方もいて、「ある意味ホラー・・・」と思ったり。話しかけられやんわりと「見てるだけなので大丈夫です。」というと、がっかりされたりするのも苦痛だったりしました。

その定員さんも来店したら必ず声をかけたり、売り上げを伸ばすように指導を受けていると思うので大変だなーと思います。ただ、もう昔と同じ接客方法でお客さんが買わないことも多いし、店舗のスタッフの一部をネット対応に充てたほうが良いような・・とぼんやり思っていたので、ここの説明はものすごく納得しました。

6.終わりに:ビジネス書との向きあい方

この記事を書くことで、あることに気づきました。それは私がビジネス書に対して2つの向き合い方をしているというものです。

一つは「読み物」としてで、書いてあることを小説のように読んで楽しむ方法です。もう一つは「テキスト」としてで、書いてあることを何回も読んで理解して、実生活で応用出来るようにする方法です。理想的なのは後者なのですが、たいていの本は「読み物」として楽しむだけのことが多く・・・。生活に活かせることがたくさんあるなと思うのに、印象的なキーワードだけメモして力尽き、少し罪悪感が生まれていました。

今回「理解出来るまで何回も読む」から「読む回数と時間を決めてその時点の理解や気づきを書く」という方法をとってみました。熟読する本を限定し血肉になるまで読み込む、というのも良いのですが、そうすると接する本が減ってしまって少し寂しい・・・。その中間の付き合い方が模索したいなーと思い、自分の考えの整理にもなるので、今後もこのブログを通して試行錯誤していきたいです。