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ウーバーイーツ

都会に住んでいるとウーバーイーツがやたらと便利だ。これは地方に住んでいた時、近所のコンビニにも車に乗って行くのが当たり前だった感覚と自分の中では近い。それぐらい歩けよという距離も「なんかめんどくさい」からつい車を使ってしまう。車なら自分の部屋の延長のような気もするので気が楽だったり。

今日は急遽とある都合で昼の仕事を休むことになり、最近寝不足がたたっていたこともあり、午前に昼寝をしてから、昼過ぎ13時ごろ近所に郵便物を出しに出かけ用を済ませ、歩いて15分ほど先のスターバックスに昼食もかねて行こうと思ったが、思いのほか日差しが強く暑い。しかしスタバのアイスコーヒーはどうしても飲みたいので自宅に戻りウーバーで注文することにした。

いつもスタバのコーヒーを飲んでいるわけではない。普段はケース買いしてるタリーズの缶コーヒーを飲んでいて、それはそれで好きなのだが、スタバのコーヒーは自分の脳との、身体との相性がバッチリで、カフェインの量がギリギリちょうど良い。頭を使った作業をしたい時飲むと、すこぶる効率が上がる。今日はこれから漫画のプロットを詰めたいので、ここはやはりスタバさんにお願いするしかない。

ウーバーを利用された方ならわかると思うが、注文するとアプリ上に、うちからお店までの地図が表示され、そこが黒いラインで結ばれ、その線上に配達員アイコンが表示される。配達員の動きに応じてその自転車かバイクのアイコンが移動する。これがなんか見てしまうのだ。「あー、今お店に品物を取りに行ったな」とか「お店から動かないな、混んでるんだな」とか「お!来た来た!こっちに向かってる」「あー!!通り過ぎた、今のとこ入らないと!」など妙に気になり見てしまう。配達員の仕事を上から俯瞰するちょっとした楽しさ。

ほぼ神の目線なのである。上空3000メートルから人々を、労働者を見下ろす神の高みの見物のような。全く悪趣味な優越感。涼しい部屋から配達員の労働を眺める小さな優越感。チップ制もあり、払いたい人は配達員に段階的な額の手間賃をあげることもできる仕組み。配達員の労働を優越感をもって眺めさせてくれたことへの投げ銭のようにも受け取れる。ウーバーイーツの本質はここなのかもしれない。「誰でも束の間の優越感を感じることができるサービス」こっちが本質で、「食べ物を運んでくれる」サービスはそれの名目にすぎないのかもしれない。

こんなことを書くと性格が悪い嫌な人間だと思うかもしれないが、いや、結構、そういういやらしいモチベーションが裏にある、人間の心理をよくわかったサービスなんじゃないかと。SNSだって人の悪意を利用してビジネスを回してるように見えるところもあり、最近は怒りを誘う記事などが目の前を通り過ぎても、「はいはい、またその手のやつね」と冷めてしまっていたりする。

自分の昼の労働の様子をアイコンで眺められたら?を考える。「こいつちょこちょこよく動くな」「職場と自宅の短い距離の間を毎日行ったり来たりしてるだけじゃん」「50年間で岩手から岐阜までしか移動の幅がない人生(笑)」などと思われるだろうし、そんな面白みのない人間にはチップも当然出ないだろう。配達員さんありがとうございます。


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佐藤達木
コンテンツは全て無料で提供していますが、なんか好きだわコレな方、これでコーヒーでも飲みなな方、これで筆ペンでも買いなな方、これでそろそろメガネ新調すればな方、え?40過ぎてまだ海外旅行したことないの?な方など、投げ銭よろしくお願いします。