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ドッペル原☆画たろう②
〜原画コメンタリー&雑談ノート〜
②原画「軟骨さん1p目」より
《 はじめに 》
押し入れにしまっていた自分の漫画の原画を引っ張り出してスマホで撮影してUPするという「原画を再撮」をつまみにして私、佐藤達木が漫画や創作に対して思ってる事、やりたい事、自分の中にある言語化しないで流しているような感情、日常生活のことやらなにやらを長すぎない程度に話してみようと。そんなわりとユルいシリーズです。
今回はその第2回目。
原画は「軟骨さん1p目」です。
●今回の主な内容
☆原稿用紙を探して
☆MMケント
☆仙台からの紙
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● 原稿用紙を探して
B4の原稿用紙に描きました。でもこのページだけ他のこれ以降のページと紙の種類が違うんですよね。というのも、この軟骨さんの漫画を描くにあたって、せっかく自分の漫画を商業で発表できるのなら徹底的に最善のものを、ベストなものを出したいと思ったので、原稿用紙も最適なものを選ぼうと。画材屋の原稿用紙コーナーに売ってるものを買って試し描きしてみました。自分はメインで筆ペンを使うので筆ペンの線が一番映える紙を探していたのです。とりあえず手持ちの紙の中で最も筆ペンの線が映える紙がこの1p目に使った紙(種類は忘れてしまいました)だったのです。
ところがですね、ネットで紙を、ケント紙を検索すると、聞いたことがない知らなかったケント紙も続々みつかり、ちょっと待てよと。つけペンは金属製のペン先から顔料系インクを紙に乗せていくけど、自分が使ってるのは筆ペンだぞと。筆ペンの種類は《ゼブラの筆サイン 細字》というやつで、一応《水性顔料》とは書いているが、紙に染み込んでる部分が大きいので、実際のところは染料系と考えた方がいいのではないか。だとすると、染料系に向いているケント紙をとりよせて試し描きしてみてもいいのでは?とこの1p目を描きながら思ったわけです。
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● MMケント
それで取り寄せたケント紙の中から最終的に選んだのが《MMケント》というやつでした。これが筆ペンには最適で、線が綺麗に残り、キレもいい(繊維の密度?解像度?が高いと言えばいいのか)。つけペン用のケント紙だと逆に筆ペンのインクが弾かれ過ぎる感じはしたのですが、MMケントは綺麗ににじみもなく染み込む感覚でした。ミリペンも点を打つのに使うのですが、極小の点もきちんと乗る。点って無数に打つので、にじむと画面全体がボヤけたりしがちなんですよ。それも無かった。
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じゃあこの1p目はなんなんだと。MMケント紙じゃないのに問題ないじゃないかと。そうなんですよねー。この紙も名前は忘れましたが、手持ちの中では最適でした。結局ね、気持ちの問題なのかなと。この後200枚くらい原稿描くわけじゃないですか。途中で「あー、この紙違うかも、なんか嫌かも」とか思いたく無いじゃないですか。無意識にそれを気にしながら描くのノイズでしょ?後で道具のせいにしたくも無いし。だから「あらゆる紙の中で自分の漫画にベストな紙に描いてる」って思いたいじゃないですか。ね?
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● 仙台からの紙
あとね、このMMケント紙には縁があって、この紙がネットで入手できるのがその時調べた時はある画材専門の通販サイト一つしかなくて、この通販サイトが提携してる全国の画材屋(実店舗)から注文したものが送られるシステムみたいなんですけど。送られてきた紙が入った箱にある送り主の店に驚きました。それは自分が昔東京に出てくるまで住んでいた仙台の画材屋の名前でした。自分は岩手の盛岡で生まれて、色々あって仙台で一人暮らししながら絵を描いたりしてたのですが、その時よく通っていた仙台の画材屋から届いたものでした。偶然ですけど、なんか修行時代の過去が今の自分に力を貸してくれてる気がして不思議な気持ちでしたね。仙台時代は孤独に創作に打ち込んでいた時代であの時期に創作の面白さの核みたいなものに触れたのが今でも自分の土台になっています。
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そんなわけで自分の原稿用紙は「漫画用原稿用紙」のようにトンボや青い枠線が入ってないので、毎回自分で枠線から引かなきゃならないので手間なんですが、紙はベストなのでしょうがないなと思って使っています。
前回がちょっと長かったので今回はこれくらいで。原稿用紙の話でした。
by 佐藤達木(2024年6月)
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