ドッペル原☆画たろう④
〜原画コメンタリー&雑談ノート〜
④原画「軟骨さん9p目(誕生編)」より
《 はじめに 》
押し入れにしまっていた自分の漫画の原画を引っ張り出してスマホで撮影してUPするという「原画を再撮」をつまみにして私、佐藤達木が漫画や創作に対して思ってる事、やりたい事、自分の中にある言語化しないで流しているような感情、日常生活のことやらなにやらを長すぎない程度に話してみようと。そんなわりとユルいシリーズです。
今回はその第4回目。
原画は「軟骨さん9p目(誕生編)」です。
●今回の主な内容
☆アリの出る部屋
☆ライブリィドゥ
☆リボ払い
☆音楽 ソフビ 映画 漫画 喫茶店 画材
●アリの出る部屋
自分が漫画でやりたいこととかは前回だいたい話したので、今回からはもうちょっと雑談的な事を話そうと思います。たいした思想も哲学も無いんで。オモチャのような漫画が描ければな〜なんて思ってるだけなんで。どんな漫画かっていうのはそれにつきますね。自分の漫画は人形劇だと思ってるし、面白くてちょっと抽象的で、遊んでる感覚とか。湿っぽさはあまり求めて無い。
さて、今回の原画は主人公のササトウがカード止められて頼みのリボ払いができなくて焦ってる場面です。貧乏フリーターの緊急事態ですが、これはもちろん実体験に基づいてます。自分が30代前半の頃は仙台で一人暮らししていたのですが、働く時間を4時間くらいにして安アパートで絵を描いたりしてたので金が無い。家賃2万7千円のボロアパートで。一階なのに雨が強いと壁の隙間から染み込んだ雨で天井から雨漏りするようなほったて小屋具合なわけです。朝起きるとアリが部屋の中を行列で行進していたり。穴をアクリルのジェッソなんかで塞いでもまた他の穴から出てきて行進していたり。皆さんの家にはアリは出たりしますか?アリはね、地味に精神に来ますね。あれはほんと嫌なもんですよ。精神を病んだ人が虫の幻覚を見たりするそうですがわかる気がしますね。塞いでも塞いでも小さな穴からアリが部屋に出てくるのはほんと精神的に良くないです。実家の2階の部屋にも出た時がありました。瞬間接着剤を流し込んで塞ぐのが一番なんですが。
●ライブリィドゥ
アリは出るし、コオロギは入ってくるし、隙間だらけなんですわ。パーパーに。冬は寒い。東北の寒さ。ほぼ外なんですよ。そんなに隙間だらけだと。ほぼ外の温度で朝起きなければならなかったりするわけです。入ってきたコオロギ飼っちゃいましたよ結局。フレンド。トイレットペーパーの芯を虫かごに入れたら居心地良かったらしくて脱皮してました。見たことありますコオロギの脱皮?白いんですよ脱皮したてのコオロギって。
そんで上の階の住人が洗濯機の排水すると都度、水漏れ。ダー!っと滝のように天井から水が降ってくるんですよ。アリも嫌だけど、水漏れも相当こたえます。注意しに行ったらその2階の部屋の玄関のドアが無いんです。布がぶら下げてあるだけで。どうも金が無さすぎて家賃滞納し過ぎて、不動産屋にドアを外されたみたいなんですね。借金取りがうちにも尋ねてきて「上の階の住人はいるか?」とか聞かれたりしましたね。それぐらい金のない人間が住むアパートだったわけです。そのアパートの名前が「ライブリィドゥー」っていって、調べると「元気に行こうぜ!」的な意味なんですよ。笑うしかないですよね。今もあるのかなぁあのアパート。
●リボ払い
そんな貧乏生活してたので、毎月カツカツでした。食費を切り詰めて贅沢は給料日に宅配ピザを注文するだけ。それでも個展資金を貯めて何回か個展してたりしましたが、それができたのもリボ払いを駆使してたからなんですね。働いてたスーパーで強制的にカード機能付き会員証を作らされたりしてカード持ってたので、収入以上の出費が必要になるとリボに頼っていたわけです。未来の自分を信用して。何かの手違いでカードが止められたことがあってその時はほんと焦りました。緊急事態でしたね。
リボ払いは借金なのでしないに越したことは無いんです。無いんですが、あの当時の自分には必要でした。無いとパソコンも買えなかったし。時間を金で買ってたんだと思います。自分は仕事は真面目に働くので、将来の自分なら何とかしてくれると思っていました。カード2枚でリボして膨らんで、その後東京に行くのですが、ひとまとめにしてコツコツ返してました。何年後かに完済しました。今はリボには手を出さないようにしてます。
●音楽 ソフビ 映画 漫画 喫茶店 画材
自分が当時何にお金を使ってたかはだいたい今と同じです。映画は最近前ほど見なくなりました。独り身じゃ無いとなかなか時間取れなくて。ソフビは金がなくても買ってましたね。食費を削って。音楽も好きですね。音楽は個人に寄り添ってくれる感じがします。画材もお金のこと気にしないで買ってしまいます。何にお金を使うかでその人が本当に好きなものが何なのかわかります。時間も同じく。その人が気がついたら時間を費やしてしまってるものがその人の好きなものじゃないでしょうか。
今回はこの辺で。
by 佐藤達木(2024年8月)
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