3月になってゴジラ-1.0を映画館に見に行った話
TOHOシネマズ日比谷のIMAXシアターで、ゴジラ-1.0を鑑賞した。
公開から4か月程度経った今、ようやくである。
なぜ今見に行ったかと言われれば、言うまでもなくアカデミー賞を受賞したからで、つまるとこミーハーでしかないわけであるが、言い訳をさせてほしい。
見に行くことに勝手にハードルを感じていただけで、公開当時から気になっていたのではある。
ハードルというのは個人的に抱いていた心理的なもので、
昔から邦画の戦争もの、国内を舞台にしたショッキングな映像がイメージされる作品を苦手としており、この映画はまさしくそれに当てはまると考えていたからである。
(考えてみれば、戦争を題材とした洋画作品は見れるのに、邦画のそのような作品は見れないのは何事か、という話である。ふざけているにも程があると思うが、自国のことが描かれているからこそ感じとれるリアリティさが受け入れられなかったのかもしれない。この話については我ながら矛盾すると感じる点も多く、ここでこの話を続けると長引いて論点から逸脱してしまいそうなので、このあたりで終わりとする)
そんな背景もあり、映画館に足を運ぶことなく時間が過ぎていたのだが、ここ1カ月ほどで自身に変化が起きた。
3月末に公開が決まった映画オッペンハイマーの上映に向けて関連書籍を読んだり、都市計画の話から関東大震災や第二次世界大戦の話に触れる機会が多くなり、そういったものに対する心理的ハードルが少し下がってきたのである。
そんなタイミングでの、めでたいアカデミー賞受賞。
しかも邦画史上初の視覚効果賞で、ミーハーな自分にとっては、これ以上なく惹かれる響きにタイトルである。
上映側としても、この機を逃さんとばかりに上映回数を増やし、おまけにIMAX上映までも復活させている。
つまり、見に来いとお膳立てされている状況に突入したわけである。
これは、ぜひ見に行きたい。と思った。
ここで素直に見に行けるような単純な人間であればよかったのだが、
私にはもう一つ問題があった。
そう、非常に残念なことに私は捻くれており、ミーハーではあるが、
ミーハーであることに恥を感じる自意識過剰な人間であったのだ。
このタイミングで見に行くことは恥でしかない、と考えており、
そのような心境を恥もせず偉そうにXの鍵付きアカウントに投稿しまくっていたのである。
ここで見に行ったらミーハーでしかないじゃん、と自意識だだ漏れのありのまますぎる事を書いていた。
しかし、詳しい流れは覚えていないのだが、
"見た後には絶対に面白かった、とこれまたXに恥もせず投稿しているのだろう素直に見に行けばいい"、という思考にたどり着き、最終的には、
"いや、ここまでお膳立てされているのだ、
この状況に感謝して見に行けばいいと"自分に言い聞かせることに成功した。
改めて、これを書いていることも含めてだが、どこまでも恥ずかしくてださい思考である。
そしてこれを書くことでそのださい自分を昇華させようとしているのである。以下無限ループ。
そんな流れで自意識過剰ミーハー問題も解決し、
その勢いのままに前日深夜にチケットを取り、鑑賞する流れになった。
祝日ということもあり、中心付近の席は最前列しか空いてなかったので、仕方なくA列(最前列)。
IMAXGTの最前列で1.43:1の作品を鑑賞したことはあるのだが、1.90:1のシアターの最前列で鑑賞したことはなく、体験してみたいと思ってたしいい機会だとか思ってたのだが、寝て起きた後には冷静にこの作品はシネスコ制作だから意味ないじゃんと気付いた。
やはり深夜の衝動的行動は危険である。
まあ、なんにせよありがたくIMAXで鑑賞である。
結論から書いてしまえば、さすがにIMAXファンである私でさえ過去一番IMAXで見た意味を感じることはなく(座席的にも仕方がない)、期待される映像面(VFX)や音響面については完璧に楽しむことができなかったのだが、作品自体は、やはりというべきか、面白かった。
前述した通り、このような邦画作品を敬遠しがちであった自分には、おそらくこのような作品にはよく見られるであろう人間ドラマをしっかりと新鮮に楽しむことができてしまった。
それに加え、これも前述しているが、ちょうど第二次世界大戦後期、オッペンハイマー、原爆、核に関連する話によく触れていたことも、作品を理解する上で優位に働いたと思う。
核を示唆する多くの描写や、伝えたいとするところのメッセージを、おそらくではあるが理解することができていたと思う。
そう考えると、このゴジラ-1.0を11月の公開当初に鑑賞するのでなく、
3月のこのタイミングで作品を鑑賞したことは、自分的には得られるものが大きかったのではないかと思う。
めぐり合わせとは数奇なもので、このように見るべきタイミングで見るべき映画と巡り合える機会は少ないと思う。
この作品をそのように捉える人間はおそらく少ないとは思うが、少なくとも自分にとっては、自分について、ひいてはあらゆる物事について考えるきっかけになった、とても記憶に残る作品になった。
映画に限らず、あらゆる作品、コンテンツはまずそれに触れることで自身の中で始まり、意味が生まれる。
ミーハーでもなんでも、とりあえず触れることが大事なのだと改めて気付かされた。
ゴジラ-1.0、邦画初のアカデミー賞視覚効果賞受賞、改めておめでとうございます。
そしてこのタイミングで拡大上映に踏み切ってくれた映画館に、感謝。
映画は、映画館で、見よう。
あと自分に素直に生きようね…(草)
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