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プロスポーツクラブで働いて分かったこと

「スポーツ業界で働きたい。」
「自分の好きなこと(スポーツ)を仕事にしたい、、、」
大学に入るときに漠然と思っていたこと。

しかし、スポーツ業界といっても広すぎるし色々な関わり方がある中でどのような職種があるのか。そう考えた時に、頭の中に真っ先にプロスポーツクラブが思いついた。今まで子供の頃は選手としてプロになりたく目指し、それが難しいと分かってからは沢山試合を見ている身としてはこの考えはある意味当然なのかもしれない。

じゃあ、実際に経験してみよう。

この決断は、大学生活のテーマを明確にしていた自分にとって容易な決断だった。
(自分の大学生活のテーマに関してはコチラをご覧ください。)

そして現在は日本のプロサッカー、Jリーグのプロスポーツクラブの内、とある2つのクラブに携わらせていただいている。実際の試合の運営は勿論のこと、事務作業や社会貢献活動などにも参加して経験を積んでいる。この活動の中で様々な事が刺激になり、今後自分がどのように大学生活を送っていけばいいのかを何となくつかみかけているのでそれについて自分の考えをまとめていこうと思う。

※監督、コーチ等の強化部ではなく、試合運営等を主とする事業部側の視点なので悪しからず。

【注意事項】
・クラブ名は控えさせていただきます。
・内容は全て実体験による個人の見解です。無知な事柄もありますのであくまでも参考程度にお願いします。

①働くこととは

まず、「働く」ということを知った。アルバイトでは飲食店の接客や商品を詰めたり等の単純作業、同じことの繰り返しの業務になることが多いのだが、それとは違う、いわゆる「社会人として働く」経験ができたのは大きかった。
いわゆる事務業務というもの。自分のパソコンでgoogleの機能等を使って仕事をし、定期的なミーティングで資料を使用して活動実績を共有する。一日のタスクを決めて時間内に終わらせることができるように取り組む。
そして、周りに同じ境遇の人がいない。全員社員。自分の二倍以上も生きている方もいて最年少でやらせていただいている。

ああ、これが社会人か。
これが仕事の本質ということなのか。

働き方はいろいろあるし、それぞれを否定することは全くないが、学生のうちにこのような経験を積んでいる人はなかなかいないのではないかと勝手に思っている。

これらは就活を目の前にした大学三年生がインターンシップなどに参加して経験することが多いと思うが、二年生からこのような経験を積むことができているのは個人的に良いな~と思っている。

②プロサッカークラブの実態

ここからは説明できる範囲でプロサッカークラブの現状をお伝えしていく。
ご存じの方も多いと思うが、他の企業と比較した時の大きな特徴が

・中小企業
・無形サービス業

の二点であり、これがプロサッカークラブで働く際の最大の壁ともいえるだろう。

・中小企業

細かい規模感はカテゴリーや歴史などによって差はあるが、基本的に中小企業として会社を運営している。試合日もクラブスタッフのほかに外部の企業と連携したりボランティアスタッフを活用しているクラブもある。だからこそ一人一人のタスクが多く、責任も問われる重要な職業だ。
下記は鹿島アントラーズの採用情報HPにのっていた組織図だが、J1の常勝軍団と言われているクラブでもこの規模感なのだ。

鹿島アントラーズ 採用情報ページより抜粋

そしてどの企業でも言えることだと思うが、知らないこと、出来ないことがあると他人に聞くことになり、周りに負担をかけてしまう。単純に自分の仕事+分からない人の作業&指導が業務に入るため、負担になってしまう。ただでさえ忙しい中でかなりストレスになるのではないかと個人的には感じている。

私も実際に初めて操作するJクラブのソフトの設定に戸惑い、担当の方の時間をとってしまった時があった。オンラインでのミーティング中に話しかけてしまい、タスクを増やしてしまったのだ。だからこそ出来ることを増やした状態で働き、分からない作業はなるべく一回で覚えるということが必要になってくる。新卒採用が少なく、転職で中途採用が多いという現状も何となくだが理解できた気がする。

・無形サービス業

プロスポーツクラブは、主に体験型のサービスを提供している。一度作った商品が大ヒットして累計売上…というようなものではなく、時間がたてば消失してしまうサービスを提供している。これが難しい点だ。

まず、ビジネスの基本についておさらい。
ビジネスは「価値と価値の交換」が基本。プロスポーツではお客さんが試合を見に来る際にチケット代などを払う対価として試合を始めとするサービスを提供している。そして試合が終わるとサービスは直接的な形を残さずに消失してしまう。(間接的には写真や動画、脳の記憶として残る)

なのでプロスポーツクラブのビジネスでは試合が最も重要。選手がメイン。選手が気持ちよくプレーできるようにサポートし、試合に勝ってもらえることが一番。そして我々はホームゲームがある際は試合運営、イベント、冠スポンサーなど様々な準備が必要。お客さんやスポンサー等関わってくださる全ての方あっての運営なので、試合に対する付加価値としてどれだけ楽しい空間を創り上げて満足して帰って頂くかが重要になる。

この「無形」というのがコントロールが難しい。試合に負けた時の満足度はどうしても下がってしまう。我々ではどうしようもできない部分が、最も重要なのだ。
では、出来ることは何か。それは、

勝っても負けてもお客さんの心を動かす

事だ。試合以外のイベント、スタジアムの雰囲気、スタッフの対応などいわゆる「ホスピタリティ」の向上を行う必要がある。

これらの大きく分けて二点がプロスポーツクラブの現状であり難しい側面でもある。

③プロスポーツクラブで働くためには

基本的には就活サイトにプロスポーツクラブが掲載されることは無く、人脈やコネが必要になる業界ではあるが最近では多くのプロスポーツクラブがオープンに募集をしている。働き方改革や優秀な人材を企業の成長のために取り合う近年の仕事に対する変化がこのような変化を生んでいるのかもしれない。

ではプロスポーツクラブで働くためには何が必要なのか。
まだ就職先も決まっていないただの学生が言うのもあれだが、今までの経験からずばりスポーツ+αだと考えている。

・スポーツ+α

まず、スポーツが好きであることが必須。
まだほかの企業もすべて把握しきれていないし、仕事はどれも大変だ。しかもまだ就職を決めていない大学生がこんなことを言うのはおかしいと思う方もいらっしゃるだろうが、正直個人的にはかなりブラックな業界だと思っている。収入も大企業と比較すると少ないし、土日に試合が入るので休みが不定期。基本的に平日が休みになるので様々な予定を合わせにくい。任せられるタスクも多く、雨の日の試合運営は正直地獄だ。だからこそクラブやスポーツへの愛がないと続けるのは難しいのではないかと思う。
そして、これに加えて別の武器が必要になってくる。

例をいくつか挙げるが、まずは
スポーツ×プログラミング。プログラミングができるとスタジアム内の大型
ビジョンの制作やホームページ作業ができる。

スポーツ×営業。オペレーター経験や営業職の経験があると新規のスポンサー獲得に向けてスムーズに仕事ができ、一気にクラブの規模を大きくできるポテンシャルがある。

スポーツ×発想力。誰も思いつかないユニークな考えができる人は、新グッズの開発や新イベント等の企画運営で顧客満足という点で大きな武器になる。

このように、プロスポーツクラブで仕事をするにはスポーツ+αの自分にしかない武器を見につける必要があると実感した。
この背景には中小企業であったり中途採用が多いということも関係してくる。

④今後の自分

このようになんとなーく言われていたプロスポーツ業界の現実を大学生のうちに実際に現場に入って知ることができたということは大きなことだと思う。

じゃあ結局どうするの?
これらを経験してきて今言えるアンサーは、

①今の自分はプロスポーツクラブで本格的に働く想像ができない
②様々な選択肢を持っておくことが必要
③けど今の環境で頑張ってやりきれば能力は確実についてくる

ということ。

・プロスポーツクラブで本格的に働く想像ができない

実際に内部に入ってみて
「まだ自分には足りない」
「絶対どこかで挫折するだろう」
と強く感じた。

本格的にプロスポーツクラブで働くことを一本化して目指しているわけではないが、少なくとも難しいという考えだ。

端的にまとめると、そもそもの能力と「スポーツ+α」で武器になるものが無い。
正直、今の自分はそもそもの能力が無さすぎる。これはクラブスタッフの方と共に働いて感じたことだが、仕事面、人間面のどちらも劣っている。パソコンの技術や実行力、言葉遣いや語彙の量など、様々な能力に長けている。だからこそ今は自分の好きな事や興味のあることに全力で取り組んで、成長していくことが必要だ。

そして、先程述べたスポーツ+αの武器になるものが無い。
平均よりは勝っている事柄もあるとは思うが、いざ一人前かと言われるとそうではないのが正直な感想だ。

この道に限らず、他の選択肢でも自分の武器を何か一つ持っておくことは重要だと思うので、大学生活のうちに他の人にはない武器を持ちたいと思っている。

・様々な選択肢を持っておくことが必要

まだ具体的な将来像が決まっていないのもあるが、実際に経験した中で今の段階で「この仕事一本で一生頑張る」と決めつけるのは危険だと思った。

どうしても叶えたい大きな夢があるのであれば決断することも重要であるが、今の自分にとってはそれは適切ではない。
プロスポーツクラブの働き方は今の理想か?と言われるとそうではないのが本音。
土日に休みは欲しいし、何ならプライベートで試合観戦にだって行きたい。
好きな仕事ではあるけど給料が…と、様々な要因が重なって決めることができない現状があるのだ。

だからこそ今は様々な事に取り組んで、スキルや経験を積む時間にしようと思う。決めるのは卒業する前でいいと思う。
そしてこの様々な事というのはとても広義で、仕事関係はもちろんのこと資格勉強や遊び、旅行、運動なども含まれる。色々なチャレンジや経験をして、一人の人間として成長していけたらと思う。

・今の環境で頑張ってやりきれば能力は確実についてくる


このように今のところは厳しい状況と分析してはいるが、逆を返せば今のプロスポーツクラブに携わらさせていただいている環境は成長するための絶好の機会なのではないかと思っている。上記のような厳しい環境で通用するようになれば、別の選択肢を選ぶ際にも苦労はあまりしないだろう。責任感ややりがいを感じながら業務出来るということも大きな特徴である。

そして、責任ややりがいを感じることができるこの環境で頑張ってやり抜くことができれば仕事や対人の能力は確実についてくると思うし、それなりのポテンシャルがある分野だと思っている。だからまずはやりきる。クラブのために全力を尽くす。これが自分には必要だ。

これからの自分がどのような道に進むかは正直分からない。けど、今は確実に成長している実感がある。今は自分が置かせていただいている環境で必死に研鑽することが必要であり、好奇心を忘れずに生活していきたい。


そしてこのnoteが、一人でも多くのスポーツ業界で働きたいと思っている学生に届けばいいと思っている。参考になるかは分からないが将来の自分のため、読んでくださった他人のために少しでもなればいいなと思っている。




最後まで読んでいただきありがとうございました。
※ヘッダー写真は「体験チケット」を使用して撮影したものです。

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