「with コロナ」の住まいとはどんなものかを考えてみる!
2021年9月。
まだまだ先の見えない状況が続いている。
当初は、ワクチンが出来た時点から、かなり急激に世の中が回復?していき、「after コロナ」の世界になると考えられていたと思う。
けれども蓋を開けてみると、やはりそう簡単にはいっていない状況だった。
ワクチンが出来ても、それは富裕国にしか届けられずに、それ以外へはなかなか広がっていかない状況。(アフリカの摂取率はほぼゼロ)
そうこうしているうちに、ウイルスも黙ってはいない。アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、ミュー・・・と常に変異し続けている。
ワクチンを打っても罹患するというブレークスルー感染や、2度の接種では足りずに3度目の摂取が行われたりという状況になりつつある。
現段階では「after コロナ」というのは妄想であり、特効薬が出来たりしないと実現できない、つまりかなり先の話だと考えておいた方が良さそうです。
であるなら、「after コロナ」の世界をイメージするのと並行して、
「with コロナ」について、もう少し現実的に/具体的に何ができるかを考えていく必要がある。
ということで
ここでは
withコロナの住まいはどうあるべきか
を具体的に考えてみる。
まずは現在の住まいの課題を探ってみる。
多くの住宅は、玄関→リビング、玄関→トイレ、玄関→子供部屋、玄関→洗面 という具合に玄関からどこへもストレートに行ける間取りが多い。またリビングを中心にした生活が想定されており、リビング→洗面・トイレ・子供部屋 などへも導線もあるというのが一般的ではないだろうか?
そして「with コロナ」の住まいを考えると、大きな課題が2つ見えてくる。
1つは外部からのリスク(コロナウイルス)が、容易に各部屋へ持ち込まれてしまうこと。
外部から帰ってきて、まず手を洗い・・・ということで現在は対応していると思うが、完璧に持ち込まないことがなかなか難しい。
玄関ドアやドアノブや水栓などには触るしかない。
汚染されているかもしれないマスク、洋服、髪の毛などは普通に生活スペースまで持ち込まれているところが多いだろう。
持ち込まれたウイルスに関しては、現在の換気回数0.5回/hrでは対応できない。すぐに外に排出されるというのは期待できず、飛沫や浮遊して感染するというリスクを排除できていない。
いかに持ち込ませないかを建築側のシステムとして考えるべきである。
そして、もう1つは罹患者を隔離出来ないということ。
医療体制が崩壊している(もしくは崩壊しつつある)状況で、罹患者が自宅待機を余儀なくされている。ここでは罹患者と、罹患していない家族をしっかり隔離していくことが求められているのが、これは上記以上にもっと厳しい。
全ての部屋は密閉されておらず、むしろ換気のために住宅内部は一つに繋がっている状況である。
洗面、トイレ、お風呂などの住宅設備は、基本的に家族が共同で使うことが想定されている。
このような中で、罹患者と非罹患者が共存できる仕組みが求められているのである。(厳しい要求だが・・・)
では、この2つの課題に対して、住宅側はどんなことが出来るだろうか?
まず1つ目の持ち込まないに対して。
一番大事なのは、水際対策ができる住まいの実現だろう。
空港検疫のようなイメージだが、家では玄関が重要な役割を果たすことになる。玄関はこれまで靴を脱いで泥などを持ち込まない機能があったが、これからはウイルスを持ち込ませない機能も求められる。
手洗いやうがいができる水場。
洋服や髪の毛についたウイルスを落とすエアーや殺菌設備。
マスクや洋服を脱いで、出来れば殺菌などをしてくれるようなクローゼット設備。
玄関は家の中で一番汚染された場になる。
そして、ここから室内の奥にいくにつれて、汚染レベルもグラデーション的に良くなっていく(改善されていく)のが良いだろう。リビングはかなり奥に作ることで衛生的に安心した暮らしが実現できるはずである。
そして換気についても変えるべきところがあると思う。現在の住宅換気システムは、基本的に外気を各部屋で取り込みつつ、排出はお風呂や押し入れなどどこか1箇所から強制的に行うという第3種換気が一般的である。これは住宅内を一つの空間と見做して、かつ内部が負圧になるので、汚染された空気が拡散していくということは防げておりその面では良いのだろう。しかし、一方で排気箇所に全ての空気が流れていくという事で、その出口付近は汚染されやすくなっている。この排気の出口は一番汚染された場所にあるのが良いのが現状は浴室や居室の押し入れなどになっている。これについては、今後は玄関付近にあるのが理想ではないだろうか。
そして触らない住まいの実現も必要になる。
ドアノブ、カギ(クレセント等)、水栓レバー、様々な機器のボタン・・・これらのタッチレス化や自動化も必要だと思う。設備機器メーカーさんや建材メーカーさんへ期待するところである。
更には触ってしまった場合への対応である。
抗菌などでウイルス退治できるのか分からないが、出来れば接触感染が防げるような表面コーティング技術などあるといいなと素人ながら思うところである。
続いて、2つ目の罹患者と暮らせる住まいの実現について。
現在は、家族に全ての皺寄せが来ており、やれる範囲で頑張ってと言われているに等しい。けれどもこれでは限界がある。
ここも建築側で少しでもなんとかできないだろうか!
罹患者の隔離に関しては、空気環境的な汚染と、接触感染を防がなければならない。
空気感染については、罹患者の部屋を一番負圧にして独自経路で汚染空気を排気するのが理想だが、そういった設備を入れるのは難しそうである。だとしたら、やはり空気の流れをコントロールして、前述のように玄関などへ流しての排出させたい。そして出来たら現在の空気汚染レベルの可視化などもできるようになってほしいと思う。
接触感染については、家族との接触を避けられるようにしたい。罹患者が今ところにいるのかがリアルタイムで把握できる様な仕組みが望まれる。スマホ上でも良いし、罹患者がいる時は同じ部屋には入れない様な、室内の新たなセキュリティシステムなどがあってもよいと思う。そしてもちろん前述の触らない住まいの実現も必要になる。
これら対策の実現性についてだが、これから建てる新築では積極的に導入していくべきだし、実際にそれは実現可能なレベルだと思う。
が、問題は既築の住宅である。既にある住宅のリフォームも推進しなければ、市場も少なく、そして効果も微々たるものになってしまう。ここについては、是非とも国策として「コロナ対策リフォーム補助金」などを作っていただきたいと思う。もしくは民間でここを促進するビジネスモデルなどが出来てくると良いのかもしれない。
医療業界と、罹患者とその家族だけでの対応は限界に来ている。
そして建築側にできることはまだ残されている。
あらゆる業界が協力してこの難局を乗り越えなければならないはずである!
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