どの様なテクノロジーによって建築は変わらざるを得なくなるのだろうか?
建築やその業界が変化を余儀なくされるとした場合に、どの様なインプットによって、それはもたらされるのだろうか?
政治、経済、社会、テクノロジー(いわゆるPEST)、環境、人々の価値観、災害、ウイルス・・・
様々なインプット因子があるが、これらの中から影響が大きいものから検討していきたいと思う。
と、簡単に書いたが、どれが本当に影響が大きいのだろうか?
建築というのは、昔から存在してきた。そしてこれまで建築はあまり大きな変化を求められてこなかった。それは大きなインプットの変化がなかったからであり、いわば世の中は定常状態もしくは極めて緩やかな変化スピードで進んでいたからである。
しかし、ここにきて世の中はこれまでにないほど急激にそして大きく変わってきている。
それはどんなインプットによるのだろうか。
私たちの暮らしを大きく変えているものは一体何なのか?皆さんもお気づきの様に、最も大きな因子の1つは、テクノロジーである。
インターネット、スマホ、SNS、ロボット、AI、自動運転、ブロックチェーン、量子コンピューター・・・
挙げればキリがない。。。
これをどの様に考えていけば良いのだろうか?テクノロジーというのは、非常に不確実が高くてインパクトが大きい。それが将来、進化し広がるのか、それとも消えていくのか予測が非常に難しい。しかし影響が大きいので無視は出来ないという非常に厄介なものである。
だから、ここではプロの意見を参考にしようと思う。
「ガートナーのハイプ・サイクル」である。
これはテクノロジーやサービス、関連する概念、手法などの期待度・認知度と、成熟度、導入までの時間などをハイプカーブと呼ばれるグラフで視覚的に示したものである。最先端技術のハイプサイクルも示されており、それがよく目にすると思うが、ここでは世の中を変えていく因子を検討したいので、インフラテクノロジーに関する考察結果を用いたいと思う。
「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」(出典:ガートナージャパン)
見方としては、1つ1つの点が技術領域でありその主流になる時期がマークで示されている。まず技術は黎明期に実験やPoCなどを通じて期待感が高まっていく、そこから実際の使用場面などが具体的になるにつれ期待が落ちていく、それを乗り越えて実用例が増えていくとまた期待感が徐々に高まっていくというサイクルを辿っていくというのである。
2020年に発表されたものは、そこで考察されているが、Covid-19の影響を大いに受けているそうである。
デジタルヘルスやロボティクス•プロセス•オートメーションなどが、このハイプサイクルを一気に駆け抜け、多くのテクノロジーを抜き去り、早くも幻滅期を脱しつつあるそうである。
また特徴的だと思うのは下記である。
スマートロボットは、Covid-19で一気に駆け抜けた上記の2つほどは駆け抜けきれず、まだ普及に若干の不確実性があるかも知れないということ。
5Gが期待感Maxで、今後導入検討があちこちでされ、結果どちらに転ぶかが決まっていくという段階であること。
ブロックチェーンやAR(仮想現実)技術が、幻滅期を抜けつつあること。
IoTもまだ不確実要素があるものの、その関連要素を含め実用化検討が進んでいること。
デザインシンキングがインフラテクノロジーとして同じハイプサイクル上に表現され、しかも検討が進んでいること。
量子コンピューターは導入検討が進んでいる様だが普及までの年数はまだまだかかりそうだということ。個人的には時間がかかるため導入に向けて進んではいるものの、この先何が起こるか分からず不確実はまだ高いのではないかと思ったりもする。
そしてスマートワークスペースは、まだまだ検討段階だということ。
ちなみに、ここにインターネット、スマートフォン、SNS、AI、クラウドといった、私たちの周りにある超メジャーなテクノロジーがないことに気づくだろう。これはもはやこれからどうこうではなく、既に世の中に広まり、当たり前になっている技術と言うことである。
つまり、それらについては今後も更に進化や普及が進んでいくことが確実であるので、前提条件、必須条件くらいの要素として考えていかなければいけない。
これらから、現在当たり前になっている技術、及び将来導入の期待値が高いものについて検討を進めていく。
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