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雪山登山、始めました。

2024年もいろいろな山行を楽しみました。中でも感慨深かったのは、

  • 残雪の南八ヶ岳(権現、網笠)テント泊

  • 炎天下の南岳-槍ヶ岳の稜線歩き

  • 苦労してたどり着いた、霧の雲ノ平

  • 晩秋の北岳-間ノ岳縦走

などなど、それなりに登山を楽しんできた僕ですが、冬の雪山に限っては、これまで一度も行ったことがありません。決して興味がなかったわけではなく、行けなかった理由はいくつかあります。中でも最大の障壁は、

「雪山装備をもってない」

という点です。冬用ウエア、冬用シューズ、アイゼン、ピッケル、、、いずれも何万円もします。一式揃えるとなると、この初期投資の高額さが、やはり高いハードルとなります。そんな僕が雪山を初めようと思い立ったのは、とあるユーチューブ動画を見たのがきっかけでした。

「冬の雪山装備も、通常山行+αで十分です!」

当初は半信半疑でした。そこで雪山講習に参加してみました。講師の登山ガイドも行動着のほとんどをスリーシーズン用を流用していて、冬専用ウエアはむしろ特例、とおっしゃっていました。

「たしかに、今の装備だけでも行けそうだ。」

果たして疑心は希望へと変わりました。そこで具体的な計画に入ったのです。

計画

どんな装備で行くか?
行動着は、夏服+αです。+αというのは、①普段着のフリースジャケット、②薄手のメリノウールのタイツです。寒ければレインウエアの上下を、その上から羽織ることにしました。防寒着として、厚手のダウンジャケットをザックに入れておきました。
足元は、スリーシーズン用ミドルカットシューズ。さらに残雪期用のチェーンスパイクとゲイターです。アイゼンも、ピッケルも、冬用トレッキングシューズもありません。
このほかに講師のガイドさんに勧めていただいたこととして、

  • 耳まで覆えるニット帽

  • 日焼け止め、サングラス

  • 首元が寒いので、ネックゲイター(薄手のもので十分)

  • 手袋二枚重ね

結局、準備してみると、新たに買い揃えた用具は一つもありません。

どの山に登るか?
とはいえ、安全面は看過できません。初回の山行には、いくつかの条件を設定しました。

①天気が安定している
②森林限界を超えない低山

そこで浮上した案が、入笠山でした。

入笠山

南アルプス最北端の山。標高は1,955mですが、併設されたスキー場のゴンドラで1,780mの山頂駅まで到達できます。
山頂駅を降り立つと、くるぶしくらいまでの積雪があり、さっそくチェーンスパイクを着用しました。

夏用トレッキングパンツ、ゲイター、トレッキングシューズ、チェーンスパイク

日曜日にも関わらず、登山者は僕を含めて6人。シーンと静まり返った雪景色の中、ギュッ、ギュッと雪を踏みしめる音だけが響きます。静謐の登山道。喧騒の夏登山とはまるで違う世界が広がっていました。

静謐の登山道

冬は空気が澄んでていて、空の青さがとても鮮やかです。雲の切れ間から差し込む光が、カラマツ林のてっぺんを照らしていました。

カラマツ林

この日の気温は-5℃。レインジャケット+フリースジャケットで全く寒くない、どころかむしろ暑く、レインジャケットを脱ごうが迷っていました。ただ体の末端はすこし冷えます。手には手袋、首元にはネックゲイターが欠かせません。
ほどなく山頂に到達。360°の展望台は、見晴らし抜群です。スノーホワイトとスカイブルーが混じり合う、冬独特の色彩がとても印象的でした。

入笠山山頂

入笠山は、高低差が非常に少なく、勾配のきつい登坂もありません。雪山登山というよりは、スノーハイクといった印象でした。初回にはちょうどよかったのですが、少し物足りなさもありました。そこで次は赤城山に登ることにしました。

赤城山(黒櫃山~駒ヶ岳周回)

主峰の黒櫃山は標高1,828m。登山口の標高が1,365mなので標高差は463m。場所によっては少し傾斜もあります。そこから駒ヶ岳への周回ルートを登ることにしました。

黒櫃山

登山口が山深く、気温も-10℃。それでも登り始めると、体はぽかぽかと温まってきます。傾斜もやや急ですが、チェーンスパイクで十分でした。

霧氷

この日は日差しが強く、枝に絡みつく霧氷が光り輝き、とてもきれいでした。真っ白な雪面に照り返す陽光がとても眩しく、サングラスは必需品でした。

陽光が雪面に反射

黒櫃山山頂から、駒ヶ岳まで稜線を歩きます。この日は展望もよく、雲上の雪道をのんびりと闊歩できました。

駒ヶ岳までの稜線歩き

まとめ

夏の登山と言えば、「暑い、汗だく、喧騒」と言った言葉が連想されます。一方の今回の冬登山は、「肌寒い、さっぱり、静謐」でした。もちろん夏の登山も大好きです。しかし冬には、それとは違った良さがありました。
今回の経験で学んだこと、
それは「山の四季をいくつしむ」ことの奥深さでした。

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