ノーコードスタートアップ大全【NoCode Summitイベントレポ】
NoCode Summit 2021 A/Wが、2021年12月3日に開催されました。当イベントは、国内最大規模のノーコードコミュニティを運営する一般社団法人ノーコーダーズ・ジャパン協会と、一般社団法人スタートアップスタジオ協会の共催イベントです。
今回は、大盛況に終えた当イベントの様子を一部お届けします。
▪「ノーコードスタートアップ大全2021」
登壇者:三好 翔氏(One Capital株式会社 プロダクトマネージャー)
当セッションでは、「Low-Code・No-Code大全2021」と題して、ノーコード/ローコードに関心が集まっている背景や、資金調達の動向、注目のプロダクトについて学びました。
<Low-Code、No-Code(LCNC)とは>
▪ノーコード:プログラミングのスキル/知識を必要としないシステム開発手法。誰でもアプリケーション開発は可能だが、開発に制約がある。
▪ローコード:プログラミングのスキル/知識をほとんど必要としないシステム開発手法。エンジニアの負担を軽減できる。ノーコードよりも拡張性はあるため、用途は社内用に限らない。
▪プロコード:プログラミングのスキル/知識を必要とするシステム開発手法。独自性が高く、複雑なアプリ開発が可能。ただし、その分コストがかかる。
LCNCは、①エンジニア不足の解消、②スピード間を持った開発、③ITリテラシーの向上といった面で抱える課題を解決することが期待される。
<Low-Code、No-Codeがホットなワケ>
■ LCNCに対する関心の高まり
Googleトレンドの検索の結果を見ると、2020年頃からLCNCの検索数が上昇傾向にある。(青線:No-Code、赤線:Low-Code)パンデミックによってリモートワークが定着してきたというマクロ的な要因が背景にあるのかもしれない。
国内におけるLCNCの利用状況を見ると、すでに40%近くの企業が導入しているというデータが見られた。導入理由としては、開発スピードの向上や開発の内製化の必要性が求められているという事があげられる。
また、逆にいえば60%以上はまだ導入していない状況であり、そのうちの約35%の企業が導入検討段階にあるということで、まだまだポテンシャルのある領域であると言える。
市場規模でみると、2019年には103億ドルであったLCNCのグローバル市場規模は、2030年には1,870億ドルにまで伸びると言われている。
また、LCNCの登場により、人の仕事が奪われるというような議論も一部で囁かれているが、新たな技術の登場とともに新たなソリューションを活用できる人材も求められている。新たなソリューションや新たな産業を生み出すといった意味で、社会に与えるインパクトは非常に大きい。
■ LCNCカテゴリー別の資金調達動向
・グレー:昨年の累計調達額
・ネイビー:今年の累計調達額
最も調達額が大きいのが、データベース分野。ただし、昨年からの成長率で見てみると、アプリケーション開発、オートメーション、コラボレーションといった分野に急速にリスクマネーが流入しているのが分かる。
最近ではLCNCの“超大型”資金調達が増えてきている。(例:Notion、Canva)
背景として、リモートワークの定着により、コラボレーションの需要が高まったことなどが影響していると言える。
現在、IPOやM&AによってExitしたNoCodeサービスがいくつか見られてはいるものの、ほとんどのLCNCサービスは未上場となっている。また、現状としてLCNCのスタートアップはほとんどが海外企業であることから、日本企業向けのLCNCサービスを立ち上げるという点で、起業のチャンスがあるとも言える。
<注目のLow-Code、No-Codeプロダクト紹介>
■ データベース
「Immuta」:データアクセスのコントロールを自動化するプラットフォーム
-企業が扱うデータ量の増加に伴って表面化したデータ管理の課題に対し、クラウドサービスと連携し、センシティブな情報を自動で見つけてタグ付けし、ルールの作成まで自動化して行うソリューションを提供している。
■ アプリケーション開発
「Unqork」:保険・金融向けのアプリケーション開発プラットフォーム
-ドラック&ドロップでアプリ開発が可能。(例:銀行口座開設のアプリをNo-Codeで作るなど)業界内のプロダクト支持は熱い。
■ オートメーション
「BRYTER」:ワークフローやアプリケーション開発を自動化する
-経費精算や社内の稟議など、複雑なワークフローを自動化し、より早く正確に実行することができる。
■ コラボレーション
「Coda」:コラボレーション可能なAll in Oneプラットフォーム
-機能的には、ほとんどNotionと変わらない。ドキュメント作成やタスク管理、営業などのパイプラインの管理など、コラボレーションしながら進めることが可能なツール。特徴としては、GoogleカレンダーやSlackなどのアプリケーションと連携して業務フローを自動化できる点がある。
■ Webサイト
「PORY」:Airtableやスプレットシートから製作できるWebサイトビルダー
-データベースから、Webサイトやアプリケーションを簡単に作成できる。機能としてはまだまだ発展途上だが、Product HuntでDaily2位を獲るなど、注目を集めているサービス。
■デザイン
「Moqups」:コラボレーションしながら作成できるプロトタイピングツール
-Figmaの競合とも言える。All in Oneを謳っている。アイデア整理や豊富なアイコン作成といった面で、プロトタイプをスピーディーにできるツールとなっている。
■ Marketing
「Octane AI」:EC事業者向けのマーケティング支援プラットフォーム
-特に、Shopifyユーザー向けにサービスを展開している。特定の質問に回答していくことで、パーソナライズ化されたマーケティングを実施することが可能となっているサービス。コンバージョンや顧客単価の向上を支援するプラットフォーム。
■ 決済
「Buy Me a Coffee」:クリエイター向けコミュニティ運営プラットフォーム
-世界で最も有名なアクセラレーターである「Y Combinator」にも採用されたプロダクト。名前の通り、コーヒーを買ってあげるような感覚でクリエイターに投げ銭ができる。クリエイターエコノミーの拡大している中で、注目のサービスとなっている。
<まとめ>
Saas市場はますます伸びているが、その中でもLCNCの存在感はますます伸びてくる。
また、エンジニアの不足が解消されて開発スピードが向上すると、日本のデジタル化への遅れを取り戻すことができるヒントになる。
最後に、LCNCの普及によって、アイデアを持っていながらも起業を躊躇されている方にとってもチャンスが広がる。
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いかがだったでしょうか?
今回は、No-CodeやLow-Codeに関心が集まった背景から、今後の展開、そして今注目のNo-Codeツール・サービスについて知ることが出来ました。
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URL:https://onecapital.jp/perspectives
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