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(2020/10/18)【SDGs-NY: Vol 17】米大手アパレルメーカーのリーバイス:サステナブルなサーキュラーエコノミー(循環型経済)に向け、古着の買取りと再販ウエブサイト開設

【SDGs NY】
(#9) 産業と技術革新の基礎をつくろう (♯12)つくる責任、つかう責任

9 産業と技術革新の基礎をつくろう

12  つくる責任 つかう責任

リーバイスといえば、世界大手の米国発リーバイ・ストラウス(アパレル・メーカー)として「ジーンズ」ブランドで有名である。

同社は1853年にリーバイ・ストラウスが、米国カリフォルニア州サンフランシスコを拠点に創業。現在も創業者の子孫であるバース家(株式75.6%、議決権99%)によって所有されている。現在167年の歴史を誇る米国を代表するアパレルメーカーとして存在する。

【過去のリーバイスのサステナビリティな取り組み】

リーバイスが、なぜ167年も続いてきたか。その理由は同社のウエブサイトをみれば明らかだ。ウエブサイトを開けた瞬間に「サステナビリティ」という大きな文字が目に飛び込出くる。

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リーバイスが167年も続いている理由は、企業理念としてサステナブルな社会貢献に則した活動を展開してきたこと、セカンドハンド化した商品販売を行ってきたことに他ならない。

つまり米国アパレル業界でも持続可能な事業再生を成功させている企業事例としても知られている。


今回の本題に入る前に、同社のサステナブルな社会貢献として知られているエピソードがあるのでご紹介しよう。


「現地途上国の工場では、まず子供達に学校をつくる」

リーバイスは早くから発展途上国(中国やカンボジア、ベトナム)に工場を持っており、その現地の児童労働の回避を含むガイドラインを制定していた。
しかし1992年、ある工場で就労年齢に達しない児童労働の実態が明らかになった。
この時リーバイスがとった方針は「現地に学校を作り、子供達を通わせて、就労年齢に達してから再雇用する」というものであった。

しかしこの方針に対して株主などステークホールダーから利益追求への批判が相次いだ。学校を建てる資金があるなら、株主やステークホールダーに、より多く還元するべきなのではないかという株主への利益優先を主張。

そうした批判を受けながらもリーバイスは、同社会長が理念するサステナブルな観点から、人権保護や差別撤廃、環境保全、フェアトレードなどといった社会的責任を追求する経営を貫いた。

「上場企業ほど株主利益に左右されない企業になることを選択する」として、リーバイスは、社会に貢献する企業であり続けるために、米国での株式上場を廃止したという経緯がある。
(注:その後、社会貢献への支持を得て同社は2019年3月21日にNY証券取引所に再上場している)

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【古着の買い取りと再商品化、そしてEコマース開設へ】

同社はこのコロナ禍の中10月8日に、リーバイス商品の古着の買取りと、商品再生化、そしてその販売のためのEコマースサイト「Levi’s® SecondHand」を立ち上げたと発表。従来の事業再生に和得て、古着販売にも力を入れ、同社の事業をサーキュラーエコノミー(循環型経済)に転換していく方針を示した。


リーバイスウエブサイト:
https://www.levi.com/US/en_US/features/sustainability

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同ウェブサイトでは、リーバイスが自社のジーンズやジャケットを買い取り、売り手には同サイトで活用できる商品券15ドル~25ドル分を還元するという特典付き。ビンテージものの場合は、30ドル~35ドル分を還元する。

買い取り方法は郵送で受け付ける。買い取った古着商品は、再度サステナブルなサーキュラーエコノミー(循環型経済)再生に向けて商品化したあと、自社のEコマースサイトで30ドル~100ドルで販売するという仕組み。

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もし、リサイクル商品として再生できないような使い古した古着商品であっても、5ドルの商品券がもらえる。それらの再生不可能な製品は、断熱材等の素材として新たにリサイクルするという持続可能な再利用を目指す。



【サーキュラーエコノミー(循環型経済)を目指して】


このリーバイスのサーキュラーエコノミー(循環型経済)への取り組みは、サステナブル(SDGs)なESG投資の骨幹でもあるE(Environmental)=環境問題への配慮も含まれている。

同社は自社の古着の買い取りと再生販売により、二酸化炭素排出量を約80%削減できるとともに、廃棄物も700g削減できるとみている。

今回のサーキュラーエコノミーを目指す同サイトは、まず米国で試験導入し、将来的にはグローバル展開していく予定だ。

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【誰もがクローゼットに眠っている古着で社会貢献できるチャンス】


リーバイスのジーンズは、もはや誰もが1本は持っている商品である。使い古した自分のクローゼットに眠っている着古したジーンズを、同社に買い取ってもらって、再度リサイクル商品として販売してもらうことで、1人ひとりが、リーバイスが展開するサーキュラーエコノミーという環境に優しいサステナブルな循環型経済に貢献することができる。

この取り組みは、SDGsの17目標の中の(#9)産業と技術革新の基礎をつくる、と (♯12)つくる責任・つかう責任に該当する。 

誰もが自分の古着を再提供することで、同社のサステナブルな活動を通して、持続可能な循環経済という社会貢献に参加できるチャンスだ。

 [ Let's Make Things Better ] 

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【参照ページ】
Making Levi’s® SecondHand Second Nature For Fans
Levi’s : https://www.levi.com/US/en_US
Levi’s Sustainability
https://www.levi.com/US/en_US/features/sustainability


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【SDGs NY】Vol. 17 
(2020/10/18) サステナビジネスNYから見た所感
Hiroko Furuichi
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執筆:古市裕子  (本文は個人の見解)
NY Marketing Business Action, Inc 代表取締役
US JAPAN Career Network
日米キャリアコンサルタント・厚労省国家資格
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国連フォーラム幹事・所属
SDGs NY(持続可能な)×次世代×事業再生・企業存在価値

(略歴)
NY市立大学大学院・政治経済学国際関係論修士課程卒。
1998年~2015年:ジェトロ・ニューヨーク(経済産業省貿易保険部NY)。
(⁂現在の NEXI 日本貿易保険)。 中南米各国カントリーリスク及び企業信用リスク調査に従事。当時「貿易保険」誌や「通商弘報」(METI刊行物)・「New American Policy」ジェトロ配信等にリスク分析レポを寄稿。

2015年独立起業。国連提唱SDGs×企業価値×キャリア支援の観点から、多数
日系企業のNYビジネス進出支援や市場調査、またキャリアコンサルタントとして次世代への日米キャリア支援も手掛ける。

オフィシャルサイト:https://ny-mba.com

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